「こんな新幹線の駅はない」 神戸市が新神戸駅前広場・生田川公園の再整備計画を発表

新神戸駅前が生まれ変わります!新神戸駅前広場・生田川公園の再整備

 

 神戸市では、新神戸駅前広場について、令和3年9月に、再整備の基本方針等をまとめた「新神戸駅前広場再整備の進め方」を策定しました。また、駅前広場に隣接する生田川公園についても再整備を予定しており、令和3年12月には、これらの施設のデザインを検討する事業者を、公募型プロポーザル方式により選定しました。
 このたび、デザインコンセプトや再整備のイメージ等を取りまとめましたので、「新神戸駅前広場再整備の進め方」とあわせた新神戸駅前広場・生田川公園の再整備計画をお知らせします。

 

1.新神戸駅前広場再整備の位置付けについて
 新神戸駅は、広域的な交通における神戸の玄関口であり、神戸空港や都心・ウォーターフロントへのアクセスをはじめとした重要な交通結節点です。
 また、六甲山系の麓に位置し、北野エリアや布引ハーブ園、布引の滝などの周辺観光スポットへのアクセス拠点でもあります。
 そこで、都心エリアの再整備の一環として、三宮駅神戸駅周辺と合わせて、再整備に取り組みます。
 
2.現状と課題
① 新神戸駅前広場
 「公共交通と一般車が混在し、バスの乗り場が点在して分かりづらい」「北野や布引の滝等の周辺エリアへのアクセスが分かりづらい」「神戸を感じられる雰囲気づくりができていない」等の課題があり、「リノベーション・神戸」の一つとして、再整備を行います。

② 生田川公園
 「施設の老朽化」「水路により広場が分断されており、広場としての機能を有効に活用できていない」「河川との一体感やサクラ、連翼亭といった既存の資源を生かしきれていない」等の課題があり、現在の特徴を残しつつ、新たな賑わいを生む公園として再整備を行います。
 

3.新神戸駅前広場再整備の基本方針
 駅前広場再整備にあたり、令和3年9月に「新神戸駅前広場再整備の進め方」を策定し、3つの基本方針を示しました。

【基本方針】
方向性1 公共交通の利便性向上(交通機能の再編)
 新幹線改札口と同じ2階に公共交通(バス・タクシー)の乗降場所を集約するとともに、待合環境等の向上を図るなど、乗換え利便性を向上させます。
 バス乗降場は将来的な神戸空港方面等へのBRTの導入にも対応できるようにします。
1階と2階で一般車と公共交通を分離することで、交通の円滑化を図ります。


方向性2 周辺エリアへの歩行者動線の改善
 初めて訪れる方が目的地にスムーズに移動できるように、新幹線改札前の出入口部において、あらゆる方面への歩行者動線の起点となる結節点を整備します。
 北野や布引の滝等の周辺エリアへのアクセス改善を図るため、案内サインや、高架下空間のリニューアルを含む歩行者動線を改良します。


方向性3 玄関口としてふさわしい空間の創出
 駅南側に新設する駐車場の上部にデッキを整備し、新幹線改札から生田川公園にかけて一体となった、神戸らしさを感じられるシンボル空間を整備します。

 

4.デザインコンセプトと再整備計画(イメージ)
① デザインコンセプト 「山と街をつなぐ新神戸ハーブガーデン」
 新神戸駅フラワーロードの起終点であるとともに、山麓部には布引ハーブ園が隣接しています。また北野エリアは多様な文化を取り入れてきた歴史から西洋文化を感じられるハーブと親和性が高いと考えられます。
 このため、山と街をつなぐ駅前広場にするための象徴として、ハーブをコンセプトに用いることにしました。
 
② シンボル空間・生田川公園の再整備計画(イメージ)
【シンボル空間①】
 改札口南側のシンボル空間①では、神戸の街に降り立った人々を出迎える新たなシンボルとして、ハーブの花々が鏡面の屋根、壁に映り込む花のゲートを設置します。初めて訪れる方が、このゲートを起点として周辺の目的地にスムーズに移動できるよう案内機能の充実を図ります。

 

【シンボル空間②】
 新設するデッキ上のシンボル空間②は、駅や周辺の観光スポットなど周辺施設の前庭空間として、休憩や散策に訪れ、神戸らしさを感じられる空間にします。
 ハーブを中心に四季を通じて変化する様々な花や緑を植栽するとともに、記念撮影のスポットとしてBE KOBEモニュメント等を設置します。
 光のミュージアムの起終点として、連続する植栽帯の間接照明としての活用や、ルーバーの照明による光のスポット空間の創出等により、印象的な夜間景観を形成します。

【生田川公園】
 生田川公園は駅前広場と一体となり、フラワーロードの起終点として、またサクラの名所としてより魅力ある空間へ再整備します。

 湧水を活用した親水広場をリニューアルし、連翼亭など今ある資源を活かした親水空間とします。

 また、駅前広場の一区画として、イベントの開催やキッチンカーの設置が可能な広場を設けて、新たなにぎわいを創出し新神戸周辺の回遊性向上を図ります。

 

5.まちの活性化に向けて
 駅前広場の再整備を周辺エリアの活性化に波及させるため、地域の皆さんや周辺施設の事業者と連携し、新設デッキ上のシンボル空間や生田川公園等を、店舗の設置やイベント開催等によるにぎわい創出の場として活用します。また、店舗等の運営事業者が日常管理を行うスキームや、整備・管理費を抑えるデザインを検討し、ライフサイクルコストにも配慮した計画とします。
 登山の準備スペースなどの周辺エリアへの起点となる空間を整備することで、駅の拠点性や回遊性の向上を図ります。

 

(神戸市記者提供資料 2022/1/28) 

 

 

 1月28日、新神戸駅周辺の活性化を目指す神戸市は、新神戸駅前広場・生田川公園の再整備計画をまとめ、発表した。これについての意見を述べてみよう。

 

 周辺を美しく整備すること自体は結構なことだが、これが神戸全体の活性化につながるだろうか。

 美しく整備して、そこがイベントに利用され、多少、周辺に人のにぎわいができるとしても、それが神戸全体のにぎわいを高める効果があるだろうか。全体の人出が増えなければ、単にイベントを行う場所が増えるだけで、かえってにぎわいが拡散し、薄まるだけではないだろうか。大切なことは都市のパイを増やすことだ。特に、神戸は、これまで、開発地ごとにセンターを設けようとするので、都市全体の都心機能が分散し、弱くなってしまったのではないかということが都市づくりの反省点としてあったのではなかっただろうか。

 

 新神戸駅は、神戸の玄関口であることはもちろんだが、それだけにとどまらないはずだ。新神戸駅は、兵庫県、関西、中国・四国の玄関口でなければならない。しかるに、この計画では、

1.新神戸駅前広場再整備の位置付けについて
 新神戸駅は、広域的な交通における神戸の玄関口であり、神戸空港や都心・ウォーターフロントへのアクセスをはじめとした重要な交通結節点です。
 また、六甲山系の麓に位置し、北野エリアや布引ハーブ園、布引の滝などの周辺観光スポットへのアクセス拠点でもあります。

(神戸市記者提供資料(抜粋) 2022/1/28) 

 と、「神戸」から一歩も視野が広がっていない。新神戸駅は、広く、兵庫県下、淡路、四国、西日本から乗降客を集め、送り出す、兵庫県、関西、中国・四国の交通拠点でなければならない。それによって、年中、多くの人々が乗降し、通過し、滞在し、それらの需要を満たすホテルやサービスの機能が集積する場所、さらにはその広域の利便性を求めて企業が拠点を置く場所であるべきだ。新神戸駅東海道・山陽・九州新幹線の全列車が停車するのは一体何のためなのだろうか。

 ここに、現在の神戸市の視野の狭さと、おそらくは計画に携わる者の偏りを感じる。

 

 では、新神戸駅が、名実ともに、兵庫県、関西、中国・四国の交通拠点となるためにはどうしたらよいのだろうか。それは、新神戸駅と、できるかぎり多くの交通機関を結びつけることだ。とは言うものの、今から、新神戸駅交通機関を物理的に結びつけることは現実的ではない。しかし、幸いなことに、神戸には、すでに鉄道や道路などの交通網が集積している。それは山が海に迫る神戸の地理的属性によるものであるとともに、神戸が幕末の開港以後、日本の窓口として神戸港を起点とする鉄道網や道路網が構築されたという都市の歴史的な遺産である。あとは、それらの交通網と新神戸駅をいかに結びつけるかだけである。その点にこそ知恵を絞るべきだ。

 新神戸駅とそれらを結びつける手段はすでに存在している。市営地下鉄である。この乗り継ぎの利便性、経済性の向上こそが重要である。最大のネックになっているものは、都心までの2キロ、乗車時間わずか1分のところを追加料金の支払いが必要なことである。わずかな額と思うかもしれないが、交通は合理性がものを言う世界であり、不合理なものは選択されない定めにある。これは、日本全国の大都市で、新神戸駅だけの特徴だ。(その他の都市では、新幹線の駅とJRの在来線とが接続しているので、この費用が無料となるからだ。)久元神戸市長は1月28日の会見で、「こんな新幹線の駅はほかにない」と述べたようだが、それは、「すぐ北側に六甲の山並みが迫り、観光名所「布引の滝」までは徒歩15分ほど、また、南側の生田川沿いが桜の名所」(2022/1/30 Lmaga.jp)であることが理由のようだ。しかし、それは交通機関としての価値と何の関係もないことだ。新神戸駅のほかにはない特徴をもう少し考えてみてほしいところだ。

 筆者は、これまでも、新幹線の利用客について市営地下鉄の三宮、新神戸駅間の料金の無料化を提案してきた。久元市長のこの発言に対して、筆者と同様に無料化を提案する意見が多く寄せられており、この意見は多くの人々の意見であることがわかる。都市の交通拠点の盛衰は、都市の命運を左右する。そのために、経済的負担を行うことは決して無駄なことではなく、トータルとして考えると大きな利益を生むと考えられる。大きな費用をかけて、効果の定かでない様々な施策、モニュメントや登山の準備スペースの設置などを行うよりも、よほど根本的で重要な問題である。

 

 最近、三宮、神戸と再整備の計画が次々と打ち出されるが、それぞれの駅が持っている性格は異なるはずだ。にもかかわらず、どうして、どの駅でも周辺に歩いていけること、神戸を感じられることばかりを目標に整備をしているのか、その辺のセンスが、いつもながら、よくわからない。

 

firemountain.hatenablog.jp

 

firemountain.hatenablog.jp

 

firemountain.hatenablog.jp

 

firemountain.hatenablog.jp

 

 

firemountain.hatenablog.jp