JR三ノ宮新駅ビル開発 計画概要が発表

JR三ノ宮新駅ビル開発について

 現在、神戸市は三宮周辺地区において、神戸の玄関口としてふさわしくにぎわいのある「人が主役の居心地のよいまち」を目指し、官民連携のもと様々な再整備を進めています。
令和3年10月5日にJR三ノ宮新駅ビル開発計画と三宮周辺地区の再整備についてJR西日本・UR都市機構・神戸市の三者が連携・協力して取り組みを進めるための協定を締結しました。
 このたび新駅ビルにおいて、JR西日本グループ・UR都市機構との共同事業としての推進並びに開発方針の方向性がまとまりましたので、計画の概要についてお知らせします。

(神戸市記者資料提供 2022/4/30)

 

 これまでベールに包まれてきた新JR三ノ宮駅ビルが、とうとう姿を明らかにした。

 計画の概要、スケジュールは次のとおりである。

 

(計画概要・スケジュール)

所在地   神戸市中央区雲井通8丁目1-2
用途    商業、ホテル、オフィス
総事業費  約500億円
敷地面積  約8,600㎡
延床面積  約100,000㎡
階数    地下2階、地上32階、塔屋2階
高さ    約160m

商業施設 :店舗面積約19,000㎡
ホテル  :客室数約 250室
オフィス :賃貸面積約 6,000㎡
広場空間 :面積約 2,500㎡(駅前広場上空デッキ)

着工予定 2023年度
開業予定 2029年

 

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 現在の三ノ宮のランドマークであるミント神戸(地上18階、地下2階、高さ90.6m、延床面積41,000㎡)と比較をすると、高さは約1.8倍、延床面積は約2.5倍と、完成後の姿を現地で想像してみると、その巨大さが実感できる。

 開業予定は2029年とのことで、やはり現在建設が進行している新広島駅ビルの完成(2025年)後に建設が本格化する形となりそうだ。しかしながら、これまで姿形がまったくわからなかった新三ノ宮駅ビルが具体的な形となって姿を現したことの意味は大きい。完成するのはまだまだ先だが、その存在を前提として様々な計画が進んでいくことになるだろう。

 

 いうまでもなく、三ノ宮駅の立地条件は非常にすばらしい。JR、阪急、阪神の各鉄道がターミナルを構え、京都、大阪、姫路と高速・大量・多頻度の鉄道で1時間以内で結ばれ、東海道・山陽・九州新幹線の全列車が停車する新神戸駅まで地下鉄で1駅、札幌、青森、仙台、新潟、東京、松本、高知、長崎、鹿児島、那覇等とを結ぶ神戸空港ともポートライナー1本で直結するという、長距離交通機関からのツーウェイアクセスが可能である。さらに、今後、西日本最大級のバスターミナルの建設計画(2026年供用開始予定)も進んでいる。まさに、中国、四国、九州との関西の玄関口というポジションにある。すべての道は神戸に通じている。神戸は、この交通条件を生かし、これらの地方の第一の都市、地方ブロックをも超える超広域の中枢都市を目指すべきだ。競合都市に対して、質で凌駕することはもちろん、質を高めるためには量を確保することも必要だろう。量があるから質も確保される。

 そのように捉えるならば、新JR三ノ宮駅ビルは、確かに巨大であるが、これで十分だろうか。その競合先として見据えないといけないのは、広島や福岡、大阪である。神戸の目指すべきは、これらの中の第一の都市である。これは中々容易いことではない。これらの都市の近年の発展はめざましいものがある。神戸の市民は、実際にそれらの発展ぶりを自分の目で確かめる必要があるだろう。

 新三ノ宮駅ビルは、三ノ宮の潜在的な立地条件の優位性を具現化する第一歩というべきもので、これを皮切りに、周辺をも含め、大胆に都市改造を進めていかなければならない。

 新幹線と空港のツーウェイアクセスは、今は三ノ宮駅という「点」にすぎないが、新神戸三ノ宮駅神戸空港を一本の交通機関で結べば、「線」にすることができる。この線上に都市機能を集中的に立地させ、国内有数の機能性を持つ都市を形成すべきだというのが筆者のビジョンだ。

 

 

 神戸空港に対する人々の目が変わりつつある。神戸空港の活用について、様々な場所で議論されるようになってきた。

 今年の3月9日に一般社団法人 日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)が国土・未来プロジェクト研究会を開催し、「神戸空港の機能強化と関西三空港一体運用」というレポートを発表している。その中で、神戸空港滑走路の3,000mへの延伸、国際化、24時間運用、アクセス鉄道の整備を提言している。

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 また、神戸空港の活用について、久元市長の次のような発言もあった。

 神戸市の久元喜造市長(写真)は27日、フジドリームエアラインズ(FDA)の神戸〜新潟便の就航記念セレモニーであいさつし、「新潟などから神戸に来ていただいたら、神戸で乗り継いで、海外に行けるようになる日はそんなに遠いことではない」と述べ、改めて神戸空港への国際線就航への意欲を示した。神戸市としても「(空港の運営会社の)関西エアポートとしっかり連携して、神戸空港の利活用、神戸空港のアクセス」の整備を進めることを強調した。

(神戸経済ニュース 2022/3/27)

 

 神戸空港の国際化は、もはや既定路線となっているようだ。神戸空港の国際化は、それと直結する三ノ宮の拠点性をますます高めていくに違いない。神戸が再び世界への窓口として脚光を浴びる日は、そう遠くないだろう。