神戸メガ・キャノピー構想

 神戸の都心には、三宮センター街と元町商店街という大きな商店街があり、神戸の商業の背骨とも言える繁華街となっている。その特徴は巨大なアーケードである。アーケードは風雨を防ぎ、直射日光や炎暑、あるいは寒風から人々を守り、路上にありながら全天候で快適に利用が可能な空間を生み出している。この二つの商店街が神戸の都心のメインストリートとなっているのは、このアーケードが果たすところが大きいと考えられる。

 こうしたアーケードについては、時代の流行り廃りがあり、近年は、より開放的な空間こそ大事であるとの考えから、撤去される例もみられる。こうした事例として、横浜の伊勢崎モールや神戸の新開地商店街などがある。その一方、高松市街の商店街のようにアーケードの十字路部分に巨大なガラスのドームを新設するなど、機能性だけではなく街のシンボルとして再生する例もある。

 このアーケードについて、都市の機能を高めるインフラとして、再度、その価値を見直してもよいのではないかと感じる。

 神戸には前述のように、三宮センター街、元町商店街という、全国的に見ても巨大なアーケード型の商店街がある。これらの商店街はJR三ノ宮駅、元町駅、神戸駅にちょうど沿うように存在している。この立地条件を活かして、もっと機能性の高い都市空間を作ることができないだろうか。

 上記の二大商店街はそれぞれ、アーケードで覆われ、全天候型の環境を有している。しかし、この商店街相互の間および最寄りの三ノ宮駅、元町駅、神戸駅との間は、せいぜい数百メートルではあるが一定の距離があるため、その間の移動においては風雨や直射日光にさらされることになる。これでは、せっかくの全天候型の環境も、価値は半減してしまう。そこで、これらの相互をつなぐ大型のキャノピーを新たに設置して、三ノ宮駅から元町駅、神戸駅まで一体の全天候型の巨大な空間を生み出してはどうかというのが今回の提案である。

 昨今、神戸市は、都心の回遊性を高めるために、歩きやすい街づくりとして、車線の縮小、歩道の拡幅等の施策を行っている。その一環として、街路樹により木陰の創出を行う「こうべ木陰プロジェクト」や新型の日よけ(スマートシェード等)を設置などを進めている。こうした新たな路上の大型キャノピーの設置は、神戸市が進める方向性と合致すると思われる。このキャノピーを「メガ・キャノピー」と名付け、三ノ宮駅前、元町駅前、神戸駅前の三ケ所に設けようとするのが「神戸メガ・キャノピー構想」である。

 

 三か所のメガ・キャノピーはそれぞれ次のようなものを想定している。

(1)神戸駅前キャノピー

 JR神戸駅から元町商店街の西門までの歩道上を覆う。現在、神戸駅から元町商店街までの動線が確立されておらず西元町地区の回遊性実現の大きなネックになっている。この部分については、JRの高架下を活用し、神戸駅から高架下を北上して多聞通に面するところまでをモール化し、そこに神戸駅の東口を設けて、そこから元町商店街西ゲートまでのキャノピーを設置する。これにより、現在ミッシングリンクとなっている部分の動線の確立効果が見込まれる。全天候の動線が確立すると人通りが増加し、沿道の活性化に大きく寄与すると考えられる。

 

(2)元町駅前キャノピー

 JR元町駅から大丸百貨店までの舗道上を覆う。ここに元町駅前キャノピーを設置する。従来、三宮の阪急百貨店が地下道で駅と結ばれていることと比べて、神戸第一の大丸百貨店がそうでないことは残念なことであった。元町駅から元町商店街、大丸百貨店の間も雨に濡れずに移動できればというのは、神戸市民なら一度は考えたことがあることではないだろうか。天候にかかわらない安定した動線の確立は元町地区、旧居留地の発展に大きく寄与すると考えられる。

 具体的には、今後予想される元町駅の改修計画と合わせて、現在の元町駅の中二階に新たなコンコース、改札階を設け、そこから南側に屋根付きのペデストリアンデッキで中央幹線を跨ぎ、エスカレーターで地上に降り、元町駅前の交差点の南西部から恋川筋の西側歩道に沿って、元町商店街の東側ゲート前までの間にキャノピーを設置する。また、大丸前の横断歩道上にも天蓋を構築する。

 

(3)三ノ宮駅前キャノピー

 三ノ宮駅から三宮センター街東ゲートまでの歩道上を覆う。三宮センター街から三ノ宮駅前の間は「さんちか」があるので、今でも雨天の対応はできている。しかし、さんちかは手狭で、本来なら大幅に拡張したいところであるが、費用の面からも実現は難しいだろう。雨が降ると、すべての人流が地下街に流れ込み、人があふれ、とても快適な歩行空間とは言えない。そこで三ノ宮駅南側にメガ・キャノピーをつくる。これにより雨の日も地上を快適に通行できるようにする。具体的には、交通センタービル南側のペデストリアンデッキに屋根を設置し、さらに三宮交差点の南東部から三宮センター街の東ゲート前までの歩道上にキャノピーを設置する。

 

 キャノピーは、デザイン性を追求し、街のシンボルとなるようなものを作る。屋根材は透光性の高いものを採用し、明るく清潔な空間とする。さらに、屋根にはソーラーパネルを設置するなど、資源循環に適合したものとする。また、夜間にはライトアップして、観光資源とする。

 

 最後に、神戸メガ・キャノピー構想の効果を整理すると次の通りである。

・風雨や直射日光を遮り、三ノ宮駅から元町駅、神戸駅までの巨大な全天候型の快適性の高い歩行者空間を確立する。

・動線の明瞭化。特に、神戸駅と元町商店街の動線がわかりにくく、街が分断されているが、これを解消し、街の回遊性を高める。

・エキナカ、駅前空間の不足を補う。神戸は主要駅が非常に狭く、駅前空間が不足している。これらのあまりの狭隘さは、来街者を拒絶するかのように感じさせる。これが神戸が広域の中枢都市でありうるためのボトルネックになっている。

・地上のキャノピーは建設費は、地下街を新たに建設、拡張するのに比べ、格段に安い。

 

 もし、この構想が実現すれば、神戸の街はかつての面目を一新し、市街地の中にあって機能性、快適性の高い空間を実現し、ボトルネックを解消し、回遊性が高まり、その利便性を求めて多くの人が訪れ、活動をする、西日本有数の大都市として、発展することが期待できる。

 

 

ノートルダム神戸の噴水ショー

 

ヴェルサイユ宮殿の噴水

 

世界遺産「ヴェルサイユ宮殿」の庭園で催される噴水ショーを、

日本最大級のスケールでノートルダム神戸に再現。

 

ダイナミックでありながら繊細な水の動きは、

まるで、様々な表情を見せながら華やかに舞うバレリーナのよう。

 

水と光、そして音が織りなす幻想的な光景は、

ロマンティックで心に深く刻まれる美しさ。

その鮮やかな輝きは、いつまでも記憶に残ることでしょう。

 

(ノートルダム神戸の前面に設置された看板の銘文)

 

 神戸のウオーターフロントに「ノートルダム神戸」という結婚式場があり、特定の曜日を除いて毎日、日没後に噴水ショーを行っている。噴水ショーは式場の建物に面した南側の庭園で行われ、式場の利用者だけではなく、そこを通りかかった一般の者も自由に観覧することができる。

 噴水は、鮮やかな七色の色彩でライトアップされ、それらが、向きを変え、渦巻きのように回転し、まるで生き物のように縦横に動きまわる。水は、最高でビルの4階に達する付近まで吹き上げられ、非常に迫力がある。噴水は音楽に合わせて動きや色調を変え、音楽と光は互いに魅力を高めあい、見る者の心を動かす。もしも筆者が神戸を訪れた旅行者であったなら、このショーを見ることができた一点をもって、神戸を訪れて良かったと思うだろう。その素晴らしさをどのように表現したらいいだろうかと、頭を巡らしていると、冒頭の銘文に出くわした。銘文は、このショーのすばらしさを巧みに表現している。

 

 ショーは、全体で15分間ほどで、3部構成となっている。

 第1部は、華やかな宮廷の舞踏会のような軽やかなワルツである。音楽に合わせて、美しいバレリーナが、しなやかに舞い踊るようだ。華やかに、明るく始まった音楽であるが、進むにつれ次第に愁いを帯び、移ろう美しさとはかなさが感じられる。明るさともの悲しさがせめぎあう。しかし、最後には音楽は明るさ、力強さを取り戻し、人生のすばらしさを讃えるかのように壮大に音楽は締めくくられる。

 第2部は、第1部と舞台が変わって、中近東風というのであろうか、エスニックなムードである。やはり、異国の踊り子が激しく舞い踊るようで、美しく幻想的な印象である。しかし、終盤に向けて、大いに盛り上がりを見せて終わる。

 第3部は、おなじみの、Sarah Brightman & Andrea Bocelli - Time to Say Goodbye である。華やかな祝宴を締めくくるかのような、静かで厳かな美しい音楽である。そして、ここで出会った人々との別れを惜しむかのようだ。音楽は。女声から男声、男女の二重唱と次第に高揚の度合いを高め、それに応じて噴水も、次第に激しさを増し、高揚の上に高揚を重ねるようにして噴水ショーはついにクライマックスを迎える。

 

 このショーの成功は、まず音楽の選曲が優れているところにあるように思われる。もともとが人々の感情を揺さぶる系統の音楽であり、さらに屋外で聞く音楽の感動と噴水の鮮やかな光の連動が相乗効果となって、一層感動を高めることに成功している。

 

 ところで、この噴水ショーを見る観客の数が決して多くないのが、やや残念なところだ。

 その原因は、ショーが行われる環境にあると思われる。

 ノートルダム神戸は、神戸のウオーターフロントのハーバーランドとポートタワーのあるメリケンパークとの中間点に位置し、観光客が絶え間なく往来する人通りの多い場所にある。ところが、ノートルダム神戸と人々が往来する動線との間に歩行者用の陸橋が立ちはだかり、また、船客待合所(かもめりあ)が斜め前方にせり出し、往来からは目隠しされた状態となり、ショーが行われていても、気づくことなく人々は通り過ぎて行ってしまう。この状態はなんとか解消できないだろうか。往来からも気が付きやすいよう、できれば前方の障害となる陸橋の配置も見直し、多くの人が鑑賞できるような環境整備をしてほしい。

 また、神戸市の観光当局でも、神戸のウオーターフロントの観光資源の一つとして、場所や上演時間などをもっと広く周知すべきであろう。

 せっかく、これだけの素晴らしい噴水ショーなのであるから、神戸を訪れるできるだけ多くの者が鑑賞することができるならば、神戸のウオーターフロントの観光地としての地位は一層確かなものになるのではないだろうか。

 

 

 

法治主義と民主主義(斎藤兵庫県知事の公益通報者保護法違反問題に寄せて)

 斎藤兵庫県知事の公益通報者保護法違反問題については、これまでの県の第三者委員会の報告や、主務官庁である消費者庁や総務省の技術的助言が行われたことなどからも明らかなように、斎藤知事の法令違反はすでに明白であり、議論の余地はない。にもかかわらず、いまだに斎藤知事は、自らの非を一切認めず、誤りを是正しようとせず、その地位にとどまり続けている。これに対して、兵庫県知事の定例記者会見が開かれる際には、毎週、大勢の人々が県庁前に集まり抗議の声を上げるということが1年以上にわたって続いている。

 

 この問題について論じる有識者といわれる人達の中でも、斎藤知事の法令違反を認め、辞職を求める意見を述べる一方、辞職後、再度出馬して「県民の信を問え」と結論づける論説が散見される。こうした考え方は、2024年9月の不信任案可決、出直し再選挙の際にも見られたものであるが、筆者は、こうした主張に強く違和感を感じるものである。その違和感の原因こそ、今回の問題の解決を阻み、混乱を招いている原因だと考えられる。それは、民主主義と法治主義の関係についての問題である。

 

 法治主義と民主主義はどちらが優先されるべきか。一般に、法治主義と民主主義は車の両輪であり、どちらも不可欠であるということが言われるかもしれない。

 一般論としては、上の議論は誤ってはいない。しかし、「ニワトリと卵」の次元で考えるならば、法治主義が優先されるべきだ。行政の長は適正な手続きで選ばれなければ民主主義は成り立たない。不適正な手続きで選ばれた者には行政を執り行う正当性はない。

 現代の民主主義社会は法治主義が前提である。つまり法治主義の優先である。一般の公務員が、着任にあたって、日本国憲法、法令の遵守への宣誓が義務付けられているのは、その具体化の一つである。県知事などの公選で選ばれる特別職の公務員も当然、一般の公務員以上に厳しくそれが求められなければならない。そもそも、それが守れない人は、公職の欠格者というべきである。(一般社会においても、法令を遵守しない人は社会の構成員として問題はあるが、「欠格」という概念があてはまらない。)

 

 兵庫県知事の問題は、つまるところこの問題に行き着く。斎藤元彦氏の存在は、この原則、すなわち法治主義の優先のアンチテーゼとなっている。

 

 市民の側にこの点についての理解の混乱があるように思われる。しかし、この問題については有識者にすら混乱があり、問題を正しく整理できていない。つまり、冒頭で紹介した事例のように、最終的な判断を有権者の投票に委ねようとする傾向である。違法行為が投票によって適法となることなどありえない。民主的な正当性と個々の行為の法的な正当性は別次元の問題である。「広義の民主主義」と法治主義と民主主義(多数決原理)という場合の「狭義の民主主義」を区別して考え、法治主義の優先を再確認しないと、それは「独裁国家」になってしまう。兵庫県の問題が深刻であるのはこの点である。そして、斎藤知事の居座りの「成功」により、こうした傾向が全国的に拡散しつつあるように思われる。

 選挙は法に従って行政を執行する権限を与えるための手続きと理解されるべきである。法律を守れない人は公職の欠格者なのだ。安易に、出直し選挙、禊を求める論説は強く戒められるべきである。この「有識者」の混乱が、社会の混乱に拍車をかけている。法律を尊重しない人に公職の資格はない。この考え方を有識者、市民が広く再確認をする必要がある。欠格者が選挙に出馬することを当然のように受け入れる風潮は決してあるべきではない。

 

水辺のイルミネーション『KOBE BUBBLUMI 2026(コウベバブルミ)』が開催

 

イベント名   KOBE BUBBLUMI 2026

開催日     2026.3.20-4.19

時間      イルミネーション:日没~21:30

イベント概要  アリーナ西側・マリーナ開業予定地の水辺をアートキャンバスに見立て、オーストラリア最大級のカルチャーイベント:Vivid Sydneyでも好評を博したアーティスト:Atelier Sisu(アトリエシス)を招聘し開催。昼はシャボン玉のようなきらめくバブルアート、夜はライトアップしたカラフルなイルミネーションとして、BUBBLE×ILLUMINATION が訪れる時間帯によって異なる印象で楽しめます。アジア初開催となる神戸ウォーターフロントの「新感覚なイマーシブアート体験」にご期待ください。

 

(TOTTEI KOBE ホームページ)

 

【観覧無料】イマーシブな水辺のイルミネーション『KOBE BUBBLUMI 2026(コウベバブルミ)』 | EVENT : TOTTEI | GLION ARENA KOBE

 

 3月20日から4月19日までの1か月間の会期で、新港第一突堤と第二突堤の間のエリアにおいて、『KOBE BUBBLUMI 2026(コウベバブルミ)』が開催されている。

 このイベントは、海外の新進気鋭のアーティストを招聘し、アジア初開催となる挑戦的な取り組みであり、非常に注目される。

 

 実際に現地を訪れてみた。

 夜の波静かな港の水面を、無数の発光する球体が、時間とともに様々に色調を変えながら、ゆらゆらと漂っているその姿は、非常に美しくまた神秘的である。わずかな波が光を揺らし、ただ静かに、護岸を洗うかすかな波音が心地よい。周囲は、アリーナや、メリケンパーク、三宮のビル群に囲まれて、美しい夜景も楽しむことができる。

 今回のイベントは、都心に隣接して、広大な灯りのない空間を抱えるという神戸の街の特性にきわめて相応しいものであるように感じる。

 初日であったせいか、それほどの人出もなかったが、もっと多くの人が訪れてもよい、とても上質のイベントであると思われた。できれば、今回だけに限らず、毎年、恒例で実施すれば、神戸の観光名所になるのではないだろうか。

 

 今回のイベントでは、神戸ゆかりの企業が多く協賛をしている。

 その中に、大手商社の兼松株式会社が入っており、同社は次のようにプレスをしている。

 

兼松、神戸・新港町にて開催されるイルミネーションイベント「KOBE BUBBLUMI」 に協賛

 

 兼松株式会社(以下、「兼松」)は、2026年3月20日(金・祝)から4月19日(日)まで神戸・新港町にて開催されるイルミネーションイベント「KOBE BUBBLUMI 2026」に協賛いたします。

 兼松は、創業の地である神戸にルーツを持つ企業です。 現在、新港町を中心とするウォーターフロントエリアでは、アリーナやスーパーヨットマリーナの整備などを含む再開発が進められています。創業の地である「みなとまち神戸」のにぎわい創出に向けた取り組みに共感し、本イベントへの協賛を決定しました。

(中略)

 兼松は本協賛を通じて、神戸ウォーターフロントエリアのにぎわい創出に貢献するとともに、今後も地域のステークホルダーと連携しながら、その発展に寄与してまいります。

 

(同社ホームページ (2026.03.19))

 

兼松、神戸・新港町にて開催されるイルミネーションイベント「KOBE BUBBLUMI」 に協賛

 

 その記載にもあるように、兼松は神戸で創業、発展した企業で、今でも登記上の本店は神戸市中央区伊藤町に置いている。海岸通に現在も残る「海岸ビルヂング」はかつての兼松商店の本社である。また、神戸大学内にある兼松記念館のクラシカルな建物は1934年に兼松商店が商業研究所として大学に寄贈したものである。このような神戸ゆかりの企業が、神戸の活性化のために協賛をしてくれているのは、心強い限りだ。

 

 

 

 

 以下、蛇足ながら、静かなイベントなので賛否はあるかもしれないが、ところどころにBGMを流す時間があってもよいかもしれないと感じた。美しい光景と感動的な音楽の相乗効果で、より強い印象を残すのではないだろうか。音楽はできるだけ、静かな抒情的なものがよいと思う。例えば、ベートーベンの「皇帝」の第二楽章や、リストの「慰め」、ポップなところでは、10CCの「I’m Not In Love」、セリーヌ・ディオンの「My Heart Will Go On]などがよいのではないだろうか。

 

 

見失われた宝石 神戸の再発見

 先日、イギリスの大手メディア「インデペンデント」に神戸が取り上げられた。「神戸でするべきこと:過小評価されている日本の都市、オーバーツーリズムからの脱出に最適」として神戸が紹介されている。

 

What to do in Kobe: the underrated Japanese city that’s perfect for escaping overtourism | The Independent

 

 その要旨は次のとおりである。


 日本は今、オーバーツーリズムに喘いでいて、大阪、京都、東京といった有名都市では、観光スポットの混雑やホテルの満室が当たり前となっている。その中で神戸という穴場があるという内容である。大阪、京都から1時間以内という近さにあり、日本第6位の都市でありながら、驚くほど正当な評価を受けていない。外国人の宿泊客数は100万人にも満たず(2024年)、神戸がかつて歴史的に世界への玄関口であったことを考えると皮肉なことだと述べている。


 そして、具体的には、神戸でするべきこととして次の事項を紹介している。

1)歴史と癒やしの「有馬温泉」 日本最古かつ最もアクセスの良い温泉、泉質のよい金泉、古い歴史を持つ魅力的な芸妓文化

2)神戸牛の真髄を味わう 神戸牛の品質の確かさと圧倒的で比類のない美味しさ

3)日本酒の聖地、灘五郷 神戸は日本酒生産の中心地、地元の宮水、山田錦が生み出す旨さ

4)高級ブティックからストリートブランド、古着屋まで充実かつ落ち着いたショッピング

5)散策も楽しい街 北野地区のドイツ風の「風見鶏の館」、アメリカ風の「萌黄の館」、多文化な過去を物語る建築物「神戸ムスリムモスク」、生田神社、新幹線でわずか15分の日本最大で最も保存状態の良い「姫路城」

 

 そして、上記を総括し、国内の賑やかな観光拠点を巡った後に、静かでゆったりとした神戸は素晴らしい休息の場であるという。最後に、「独自の文化、美味しい食事、便利な温泉、そして最高のショッピング、これほど魅力が詰まった街が、いつまでも「秘密の場所」のままでいるとは思えない。」と締めくくっている。

 

 インデペンデントはイギリスの新聞で、2016年に紙媒体は終了して完全オンライン化し、デジタルでは英有力紙の中で最大級の到達規模を誇る。イギリス、アメリカを中心にカナダやオーストラリアなど英語圏で広く閲覧され、読者は世界で1億人程度あり、世界的な影響力を有するグローバルメディアであるとのことだ。

 

 上記の記事を見ての感想を述べる。

(1)現在の神戸はどうみられているか
 まずは、神戸は「過小評価」されているのだという点。過小評価であるということは、つまり、海外ではあまり知られておらず、海外からの観光客も非常に少なく、観光都市としても認知度が低いということである。神戸はかつて歴史的に世界への玄関口であったにもかかわらず、この現状は皮肉であると述べられている。その現状を前提として、もっと評価されてよいはず、というのがこの記事である。かつては世界最大のコンテナターミナルを誇る国際港湾都市は、神戸港の地盤沈下とともにはるか昔のことであるようだ。


(2)外国人がみる神戸の魅力

 記者が挙げる「神戸の魅力」が、有馬温泉、神戸ビーフ、灘の酒と、大昔から言われていたものと全く変わらないということに少し驚きを感じる。近年神戸市が力を入れている、六甲山や里山、下町などは外国人にとって関心外のようだ。

 

(3)この記事による影響
 この記事は、当該メディアの有する影響力から考えて、今後、神戸への海外の観光客の来訪、宿泊が大幅に増える可能性は高まると考えられる。記事にあるとおり、京都、大阪、姫路が近いという情報から、神戸が滞在拠点となり、周辺を周遊するプランも増えることが予想される。筆者が以前にも論じたように、神戸は長期間滞在し、周囲を周遊観光するのに非常に適合的な都市である。なぜならば、神戸は住むのに適した都市であるといわれているからだ。住むように滞在して、神戸市民と同様に日帰り観光を楽しむのは神戸の最も上手な活用に仕方であろう。

 

firemountain.hatenablog.jp

 

 神戸空港開港後、外国人の観光客が顕著に増加したように感じられる。特に目に付くのは、単身ではなく、家族連れで、夜間、日本人がいなくなってしまう午後8時以降に、子供をつれて街中を散策する姿である。皆、ラフな服装で、ゆったりと歩いている。その姿は、京都や大阪で見る姿とは少し異なって、ゆっくりとくつろいでいるように見える。まるでリゾート地のようだ。神戸は、それらの都市と比べると観光客も少ないせいもあるが、歩行者空間が確保されて安全で、治安もよいと認識されているのではないか。筆者は、通りかかった際に、外国人観光客から道を尋ねられたり、写真撮影を頼まれたりしたことが何度かある。それほど、神戸は警戒感なく気ままに散策できる街なのだろう。

 そうした中で、この記事には触れられていない、ウオーターフロントや六甲山、須磨、舞子などの神戸の自然、風土に対する魅力も次第に理解されてくるのではないか。

 

firemountain.hatenablog.jp

 

 

 海外旅行の魅力は、その国の観光地を見ることももちろんであるが、その国の社会や生活を見るのも大きな楽しみだ。これまで、外国人が多く訪れたのは東京、京都、大阪であるが、それらは日本の歴史や文化の誇張されたものであって日本の日常とは決して言えない。そうした戯画的な日本ではなく、本当に日常的な穏やかな日本人の生活を見るのに、過度に観光地化されておらず、海、山、都会がほどよく集まった神戸の街は最も適した都市であると言えるだろう。

 外国人の間で神戸が居住に適した都市であるとの理解が高まれば、かつてのように、欧米や中国から多くの人々が神戸に居を構えて生活することもまた復活するかもしれない。さらに、生活の拠点を神戸に移し、神戸でビジネスを行うものも増えるかもしれない。外国の企業が、従業員の生活環境の観点から、神戸に拠点を構えることも増えてくるかもしれない。

 

 神戸は国際都市として発展してきたが、神戸港の相対的地位の低下とともに、海外の人々の視界から消え、「見失われた都市」となっていた。しかし、再び神戸を発見する者が現れ始めた。記者は「これほど魅力が詰まった街が、いつまでも「秘密の場所」のままでいるとは思えない。」と述べている。この記事は、神戸が世界の人々から「再発見」されつつあるという兆候として注目すべきであろう。

 

三宮再開発がもたらす効果

 

 

 現在、三宮再開発の工事が諸々進められているが、その完成後の姿を、神戸市の予想図から想像してみた。

 西から、阪急三宮ビル、JR三ノ宮ターミナルビル、バスタ三宮2期、バスタ三宮1期で、手前の薄緑色の小ぶりなビルが現在のミント神戸である。そして、その前面に、それらのビルを一直線に結ぶペデストリアンデッキがある。実際に現地に立ち、ミント神戸を基準にその姿を想像してみると、ミント神戸の倍近い高さのビルが3棟並ぶことになり、それぞれの低層部においてもミント神戸の半分程度の高さがあることになる。それらに囲まれた東急インはもはや小さくさえ見える。それらのビル群はまさに壮観で、それを目の当たりにする人々に強烈なインパクトを与えないではおかないだろう。

 

(三ノ宮ターミナルビル)




(三ノ宮駅ターミナルビルとペデストリアンデッキ)




(バスタ三宮1期)

 


 三宮再開発は、新ターミナルビルおよびバスタ三宮1期、2期の完成によって、単なる交通利便性の向上や施設更新にとどまらず、神戸という都市の位置づけそのものに影響を与える可能性を持っている。

 これまでの三宮は、鉄道・バスが集中する交通結節点でありながら、「都市の中心」としての視覚的・象徴的な存在感を十分に備えていたとは言い難かった。多くの来訪者にとって三宮は通過点であり、滞留や集積の核として強く認識される場所ではなかった。この点において、三宮は機能的中心ではあっても、直感的に理解される都市の顔を欠いていた。

 しかし、新たなターミナルビルと大規模バスターミナルの整備によって、三宮は明確な都市の中心を獲得する。建築ボリュームや都市空間の構成がもたらす視覚的効果は、神戸が大都市であることを強く印象づける。都市における「見え方」は、人々の認知や行動選択に大きな影響を与える。三宮再開発は、神戸を視覚的にも第一級の都市として認識させる契機となるだろう。

 この点で重要なのが、西から関西圏へ流入する交通流動の存在である。新幹線、在来線、高速バスなど、西日本からの人の流れは一度神戸を通過し、その多くが大阪へ向かってきた。これまで神戸は、その流動を十分に受け止める都市的吸引力を持ちえなかったが、三宮が明確な大都市的中心として立ち上がれば、「とりあえず大阪へ行く」という惰性的選択は揺らぐ可能性がある。視覚的に都市の格を示すことは、人の流れを引き留める力として決定的に作用する。

 この効果は、人の流動にとどまらず、企業の拠点選択行動にも波及する。三宮の業務都心としての核が明確化すれば、市内に分散していた事業所や本社機能の三宮集積が進むことが予想される。また、関西圏への新規進出を検討する企業にとっても、三宮は梅田や難波と同様の選択肢として現実味を帯びるだろう。大阪とは異なる都市イメージを持ちながら、高度な交通利便性と最新の機能的な業務環境を備えた拠点としての評価が形成されるからである。

 こうした変化が積み重なれば、神戸は観光都市や住宅都市という従来の枠を超え、関西圏における業務都心の一角として再定義される可能性を持つ。三宮再開発の意義は、短期的な利用者数や経済効果では測りきれない。人々の認識を変え、選択行動そのものに影響を与える可能性がある。

 三宮再開発の効果は、現在考えられている以上に大きく、かつ長期的に継続するものであると考えられる。神戸が再び関西圏の中で存在感を高めるか否かは、この新たな都市の顔をいかに定着させ、周辺地区と連動させていけるかにかかっている。三宮再開発は、その分岐点に位置する事業である。

The Eight Scenic Views of Kobe

Kobe is a beautiful city. Moreover, its scenery is not uniform but remarkably diverse, its many changing faces comparable to a kaleidoscope. This essay attempts to express the charm of these varied landscapes through the traditional format of the “Eight Views,” as seen in such celebrated sets as the Eight Views of Ōmi and the Eight Views of Kanazawa.

Kobe’s richly contoured terrain—where land, sea, and sky contend with one another—creates numerous magnificent vistas at their points of convergence. Yet this very abundance can sometimes diffuse the city’s overall image. By deliberately framing the subject within the discipline of a set form, we seek to carefully select and present representative scenes. The “Eight Views of Kobe” are eight carefully chosen locations that together offer a three-dimensional understanding of the city and highlight a beauty unique to Kobe, born of its geography and history.

 

View One: Meriken Park as Seen from Harborland

The first view presents Kobe Port as seen from the urban district. The familiar Kobe Port Tower and the sweeping roof of the Kobe Maritime Museum stand beautifully against the blue sea and sky. This angle corresponds to that of the famous ukiyo-e print Sesshū Kobe Kaigan Han'ei no Zu (Prosperity of the Kobe Coast in Settsu Province).

 

 

View Two: Kobe Ohashi Bridge and the City from North Park

The second view is the cityscape of Kobe as seen from the sea. From Port Island, an artificial island, one sees the vast Kobe Ohashi Bridge stretching toward the city center, backed by the Rokko mountain range rising like a folding screen—an unmistakably Kobe landscape. When a large passenger ship is in port, it further enhances the scene.

Although other vantage points on Port Island—such as Shiosai Park with its “BE KOBE” monument and the Portopia Hotel—offer fine views, North Park, with Kobe Ohashi Bridge directly before it and the striking contrast of blue sea and sky, is chosen as the foremost.

 

 

View Three: The Kobe Cityscape from Mount Shishō

The third view looks down upon Kobe from the Rokko mountain range. One can clearly see how the city spreads out around the harbor. From here, the Port Tower seen in the first view, Port Island and Kobe Ohashi Bridge from the second view, and the full extent of the cityscape can all be grasped at a glance. One can also perceive how Hyōgo-no-Tsu, and later Kobe Port, developed within the inlet protected by Wada Misaki, stretching eastward from the Akashi Strait.

There are many viewpoints in the Rokko range—Mount Rokko, Mount Maya, and Nunobiki Herb Garden among them. Yet Mount Shishō, facing directly over the heart of Kobe Port, may offer the most beautiful perspective. Notably, illustrations in The Illustrated London News documenting the opening of Kobe Port in the late Edo period were drawn from this direction.

Though slightly less accessible than the first two sites, Venus Bridge at the foot of Mount Shishō provides a convenient alternative, with a nearby bus stop. While lower in elevation, its proximity to the city offers a more dynamic panorama.

 

 

View Four: The Modern Architecture of Kaigan-dōri

Kaigan-dōri in Kobe refers to the area along the harbor south of the former foreign settlement established at the opening of Kobe Port. Although the settlement was returned to Japan in 1899 (Meiji 32), the district continued to flourish as the central business area of the port, where shipping companies competed to erect imposing stone office buildings.

Today, with port functions shifted offshore to artificial islands, most shipping firms have relocated. Nevertheless, the district retains special status as one of Kobe’s premier office areas. Within the former settlement stands the Daimaru department store, which has repurposed historic stone buildings into retail spaces housing numerous luxury brands, forming a major shopping district. At night, illuminated façades heighten the beauty of the stone architecture. The annual Kobe Luminarie light festival is also held here. Nearby to the west lies Nankinmachi, one of Japan’s three great Chinatowns.

 

 

View Five: The Kitano Ijinkan District

After the opening of Kobe Port, many foreign residents settled in the city, building homes along the hillside. A representative example is the former Thomas House, popularly known as the Weathercock House. Though many have been lost, dozens of Western-style residences remain, forming what is known as the Kitano Ijinkan district. Located midway up the slope of Kitano, the area still overlooks the port.

Compared to the famous Glover Garden residences in Nagasaki, Kobe’s ijinkan are notable for their vivid colors and diverse, distinctive designs.

 

 

View Six: The Akashi Strait and the Akashi Kaikyo Bridge

Maiko Beach, long famed for its scenic beauty and once lined with villas, faces Awaji Island across the Akashi Strait, which is about two kilometers wide. Today preserved as Maiko Park, it retains the villa Ijōkaku, built in the Taishō era by the Kobe trader Wu Jintang, evoking memories of bygone days.

Spanning between Maiko and Awaji Island is the Akashi Kaikyo Bridge, with a total length of 3,911 meters and a central span of 1,991 meters. When opened in 1998, it was the world’s longest suspension bridge. Though it has since yielded that title, its twin towers rising from the sea and massive truss deck remain overwhelmingly impressive. This site marks the western edge of Kobe’s municipal boundary, beyond which lies Akashi.

 

 

View Seven: Suma Beach

Suma Beach lies west of central Kobe, east of the Akashi Strait. Known for its white sands and green pines—its sands derived from the granite of the Rokko range—the beach is backed by pine groves. To the west rises Mount Hachibuse, where the Rokko range begins. The composition of mountain thrusting into sea, viewed across the sandy shore, resembles a mirror image of Hawaii’s Diamond Head.

A ropeway ascends Mount Hachibuse to the Sumaura Sanjo Amusement Park, from which one can see the Akashi Kaikyo Bridge to the west and the long stretch of Suma Beach extending toward Kobe’s city center to the east. As the only swimming beach in the Hanshin area, it is lively with marine sports such as yachting and windsurfing. Nearby stands Suma Sea World, where orcas and dolphins swim.

 

 

View Eight: Kobe and Osaka from Mount Rokko


Right Panel: Kobe Side

 

Left Panel: Osaka Side

 

The eighth view is the panorama of Kobe and Osaka seen from atop Mount Rokko. From elevations exceeding 900 meters along the Rokko range, which runs east–west along the northern shore of Osaka Bay, one can take in an immense panorama: Awaji Island to the west, central Kobe, Port Island, Kobe Airport, Rokko Island, the city of Osaka, and the entirety of Osaka Bay.

At night, city lights begin to glow, and the bay appears like a sea of light—long celebrated as the “ten-million-dollar night view.” Since capturing this full expanse in a single photograph is difficult, it may be likened to a folding screen, with the western half as the right panel and the eastern half as the left.

Visitors who behold this grand panorama can survey the entirety of the Eight Views of Kobe. Standing atop the long Rokko range connected to the Akashi Kaikyo Bridge, facing Awaji Island across Osaka Bay, one can grasp in vivid clarity the full figure of Kobe stretching along the mountain’s foothills—as if holding the city in the palm of one’s hand.

 

 

Kobe boasts a multitude of beautiful landscapes, each of the highest order. Yet none alone fully defines the city. Rather, its charm lies in the concentration of diverse scenic beauties within a remarkably narrow area, unified by the Rokko mountains as its backbone. The “Eight Views of Kobe” seek to crystallize this multifaceted beauty into a single coherent whole—rendering it visible, as though placed gently upon one’s palm.