メリケンパークのドローンショーの可能性

神戸メリケンクリスマス(ドローンショー)

 

ドローンショー : MERIKEN Xmas Drone Show ー希望の灯(ともしび)と海の光ー

 

 約500機のドローンが夜空に織りなす光のシンフォニーが、メリケンパークの冬の夜を幻想的なキャンバスに変えていきます。一つひとつの光が音楽に呼応しながら織り成す物語は、見る者すべての心に温かな灯をともすでしょう。神戸の港に降り注ぐ幻想的な光のショーをぜひ体験してください。

 

(神戸市HP)

 

神戸市:神戸メリケンクリスマス(ドローンショー)

 


www.youtube.com

 

 12月20日から12月25日にかけてメリケンパークでドローンショー(神戸メリケンクリスマス)が開催された。

 ドローンショーは、数百から数千機のLEDライトを搭載したドローンをコンピューターで制御し、夜空に文字、図形、アニメーションなどを描く光のアトラクションである。

 

 ドローンショーを行うにあたっては、次のような条件が必要とされる。

(1)多数のドローンが飛行するのに障害のない大空間が必要である。

(2)ドローンの落下・逸脱時に安全が確保できる安全距離を確保できる場所に観客エリアを設けることができること。

(3)大勢の観客を安全に収容、誘導できる広いスペースがあること。

(4)飛行エリアの周囲にも高い建物などがなく、漆黒の背景が確保できること。

(5)多数の観客を動員するためのアクセスが十分であること。

 

 この条件は、神戸のウオータフロントエリアに極めて適した条件だ。

 要するに、ビルや架線等により、飛行や視認が妨げられない、広大な空間が必要であり、その背景にも高層ビルの明かりなどが入り込まない環境が求められるのだ。

 メリケンパークやハーバーランドポートアイランド西北岸など、この条件を満たす場所は十分にある。
 おまけに、神戸のウォーターフロントは、交通のアクセスも抜群であり、市街地に隣接するところにあって、家族づれからお年寄りまで、だれでも簡単に足を運ぶことができる。

 さらに、神戸の市街地は港を囲むように広がる坂の街でもある。そのため、街中からでも港が見える地点がいくつもある。また、高層ビルで港が見えるビルならば、このショーを見ることができたはずだ。

 今後開催する場合には、メリケンパークの会場だけではなく、鑑賞スポットとしてビーナスブリッジの金星台や摩耶山の掬水台、北野町、元町通、ポートアイランドなど、事前に十分宣伝して、市街地全域から鑑賞する街ぐるみのイベントにすればより楽しいのではないか。また、BGMなどもライブ動画として配信すれば、遠くからでも、音声付きのショーを楽しむこともできる。


 このように、神戸は、京阪神の大都市圏にあって、すべての条件を兼ね備えた、全国的にも有数のドローンショーの適地であると考えられる。

 

 今回、特筆されるべきは、ショーの中にスポンサー名が描き出されたことだ。ドローンの強みは、一定時間の静止映像を夜空に描くことができることだ。つまり、ドローンショーは、巨大な広告塔になりうるのだ。これが意味するところは、ドローンショーは、スポンサーがつくならば、観客から料金を徴収することなく、開催することができるということだ。

 これが軌道に乗るならば、商業ベースでドローンショーが、継続的に開催できることになるだろう。評判が高まり、神戸のドローンショーが定番の観光アトラクションになるなら、恒常的にますます多くの人が集まり、広告価値も高まり、より多くの広告収入が得られることになる。広告収入が十分賄えるなら、ますます大規模なショーを行うことができるだろう。

 

 

 今後、ドローンショーの技術進歩や大規模化が予想される。今回のメリケンパークのショーは2次元映像であったが、関西万博で見られたような3次元映像や、花火やレーザー光線の併用などショーの複雑化が進んでいくだろう。継続的に実施することによって、ますます見ごたえのあるショーに進化していくことが期待できる。

 今回のドローンショーは、神戸のウォーターフロントが目指す、大規模エンターティメントゾーン化が新たな段階に達したという意味で特筆すべきである。神戸のウォーターフロントは、大きな可能性を持っている。今後、ドローンショーをはじめ、様々なエンターテイメントが商業ビジネスと融合して、神戸があらたな都市型エンターテイメントの中心地として発展していくことを期待したい。

 

 

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神戸の観光戦略について(神戸を拠点とする滞在・周遊型観光の提案)

 神戸って乗り換え便利!

 とにかく便利!アクセス抜群!神戸三宮からならどこへでも行けちゃう!おしゃれな神戸を満喫して関西を旅しよう!

 

(日本交通株式会社 高速バス の広告用リーフレット

 

 

 

 神戸の観光振興、観光客の誘致を促進する方策を考えてみた。

 一般に、ある都市における観光振興といえば、その都市にある観光資源を発掘、整備することと考えられるが、少し視点を変えて考えてみたい。題して、神戸市を拠点とする「滞在・周遊型観光」と名付けてみた。

 神戸は関西圏の一角にあり、周囲には我が国を代表する観光地がひしめき合う、おそらく国内最大の観光資源が集積する地域に位置する。周囲があまりにも強力な観光地に囲まれているため、神戸は、(神戸もすばらしい観光地であるとは思うが、)観光地としてはどうしても影が薄くなってしまう。このモデルは、神戸を関西圏あるいは我が国の一大観光拠点とすることを柱としている。

 すなわち、神戸に長期宿泊、すなわち「滞在」して、周囲にある観光地を巡る「周遊」を行う観光モデルである。神戸はそうした、「滞在」し、周囲の観光地を「周遊」するに最適な都市であると考える。なぜ、そのように考えるかというと、理由はいくつか挙げられる。


(1)神戸を中心に、1~2時間以内にきわめて強力な観光資源が集中している。京都、奈良などの古都、姫路城や彦根城、琵琶湖・竹生島等の国宝、USJ、天橋立、宮島(厳島神社)と、日本三景のうち二つまでが日帰り観光可能だ。神戸はこれらの観光地から中心地的な場所に位置している。(つまり、どこに行くにも便利な場所である。)

30分:大阪、明石、有馬(日本三名泉)
60分:京都、滋賀、姫路、淡路、岡山*
90分:奈良、福知山、広島*、名古屋*
120分:鳴門(渦潮、大塚国際美術館)、舞鶴、岩国(錦帯橋)*
150分:天橋立日本三景
180分:宮島(日本三景)*

 * は新幹線利用の場合

(2)実際に、神戸市民はこれらの観光地を観光するときは、まず、宿泊することはなく、日帰りで行くことが一般的だ。宿泊の必要性を感じることがないからだ。

(3)これを可能としているのは、神戸の交通の便が極めてよいからだ。JR神戸線京都線が一本で結ばれており、姫路から米原までが、新快速電車で高速かつ多頻度で結ばれている。阪急、阪神近鉄などの私鉄も三宮に乗り入れている。東京から鹿児島までが一本で連なる新幹線の新神戸駅にはすべての列車が停車する。そして、長距離バスの路線が西日本の主要都市とを結んでいる。現在、三宮に西日本最大級のバスターミナル(バスタ三宮)が整備されているが、これが完成すると、あらゆる方面のバスがすべて1か所から乗車できるため、わかりやすく、迷わず、きわめて便利である。

(4)関西圏、西日本には膨大な観光資源がひしめきあっているがため、とても1日や2日で見て回ることが難しい。遠方から何度も訪問することを考えると、こうした滞在・周遊型の観光は経済的にも合理性がある。

(5)京都や大阪はすでに観光地としても飽和状態であり、そこから少し距離がある、混雑の少ない、開放的で風光明媚な神戸で宿泊することは十分に合理的だ。混雑して宿泊費が高騰するそれらの都市と比べて、宿泊費用の点からも合理性がある。

(6)神戸(三宮)は、時刻表を意識する必要がほとんどない都市である。なぜならば、列車はほとんど待ち時間なしに次々とやって来るからだ。そのため、神戸には、「思いついたら」「時間ができたら」、すぐに出発できる自由さがある。この自由度も、神戸を滞在・周遊型観光の拠点とすることにふさわしい条件だ。

 

 このように、これまで、神戸が大阪や京都に近いため、日帰りで十分と言われていた条件を逆手にとり、神戸を関西圏、西日本の周遊観光のための拠点とする構想である。

 たとえば、関東や東北、北海道などの東日本の人たちが、関西圏、中国四国地方を周遊しようと思えば、神戸に宿泊し、連泊して大きな荷物はホテルに置いたまま、毎日、公共交通機関を使って、自由に気の向くままに周囲の観光地を巡ることができる。朝に出発し、半日行先の観光地を巡り、夜には神戸に戻って宿泊する。場合によれば、夜の神戸の街で神戸ビーフや中華料理、世界の料理を食べ、港を散策し、美しい夜景を楽しむのもよいだろう。翌朝には、神戸の街角の喫茶店でおいしいパンや珈琲、紅茶などの朝食を楽しむこともできる。考えてみれば、これらは神戸市民が日常的に享受している利便性そのものなのだ。

 期間は、2泊の連泊から、望めるなら5日、可能であれば1週間から2週間滞在すると、上記の観光地はおおよそ制覇することができるだろう。

 日程が長期になれば、中日(なかび)を設けて、神戸の市街地で散策したり、買い物したり、六甲や須磨など市内の観光地をめぐるのもよいだろう。

 こうしたスタイルの観光は、スケジュールの比較的自由がきく、学生やシニア層に適しているだろう。しかし、国内の観光客だけでなく、実は海外の観光客にこそ適合的であると考えられる。というのは、海外の観光客は長期の旅行日程を組んで来日する例が多いからだ。荷物も多く、1か所に長期滞在して観光するのは合理性がある。また、来日すること自体、時間もかかり、費用も高額になる。そうそう度々やって来ることも困難であるから、一度にあちらこちらを周遊することは合理的だ。外国人の観光客であれば、滞在中に、六甲山の早朝登山なども、人気があるかもしれない。

 神戸は外国人観光客、特に欧米の観光客に魅力がないといわれるが、海外旅行の魅力は観光地を見ることだけではない。それと同等、それ以上に、その国の日常の生活、文化を体験することも大きな楽しみのはずだ。神戸は日本の縮図といわれるほど多様性に富み、風光明媚で、明るく開放的で、また世界の食文化が集まる都市であり、日常品からブランド品まですべての買い物に対応でき、外国人にとって滞在するにきわめて便利な土地であるといえる。

 そのような神戸の属性は偶然ではなく、神戸が外国人を受け入れてきた都市であり、それこそが神戸を外国人が好んで定住をしてきた理由なのだろう。そうした歴史的な痕跡として、北野の異人館街がある。自分たちの先祖がはるか海をわたってきて、街を開き、定住し、文化を根付かせたという、歴史を物語る記念碑という位置づけを与えることができるだろう。その「祖先の歴史をたどる旅」、「異邦人の愛した神戸」という大きなテーマが成立しうるのではないか。このテーマの下に神戸への滞在・周遊モデルを普及させてはどうか。

 国内の観光客には、「おしゃれな神戸に住む体験」、これまで神戸を訪れた様々な人々のような「異邦人となる体験」を提供するという切り口もあるかもしれない。

 

 もしも、この滞在・周遊型モデルが普及し、神戸が関西地方、西日本の周遊拠点と認識されるようになるなら、神戸の宿泊需要が爆発的に増加することになるだろう。この宿泊需要の受け皿になるのは、三ノ宮駅から新神戸駅の間の地域が適地であろう。先日も、加納町の交差点の南東の空地に大規模なホテルチェーンが進出する計画が発表されたが、まさにそのさきがけといえるだろう。しかし、それだけでもまだ十分ではなく、こうしたホテルがもっと供給される必要がある。そうした方向性の下に新神戸駅周辺も再開発をすすめるとよいだろう。

 

 この構想の実現にあたっては、神戸を関西地方、西日本における滞在・周遊の拠点と認識してもらう必要がある。それには、やはり民間の事業者によるPR、たとえばホテル事業者や、旅行業者、交通事業者によるキャンペーンは重要だろう。

 

 このモデルを普及するには、旅行雑誌やインターネット動画等に、「関西の効率的な巡り方」という視点で記事にしてもらうのは有効ではないか。(従来、旅行雑誌が都市別、府県別になっていることが多かった。他の地方の人が思う以上に、関西圏の各都市は強い個別性を保ちつつ、関西圏として緊密に連携している。)

 また、旅行業者と連携して、神戸で一定以上の連泊をした場合に、なんらかの特典(地場産品のプレゼントなど)のインセンティブを設けることも考えられるかもしれない。

 

 

 滞在型の旅行になれば、これまで日程上カバーすることができなかった、小規模だが価値の高い観光資源にも脚光が当たることになる効果も考えられる。滞在日数が少なければ、どうしてもその地域を代表する観光資源が選択され、ある意味、定型化した表面を撫でるような観光スタイルとなってしまう。滞在型であれば、より幅広く、深い観光を行うことが可能となるはずだ。

斎藤知事 再選1年

(要約)

 斎藤兵庫県知事による公益通報者保護法違反等の疑惑をめぐる県政の混乱が続く。斎藤知事の行為は、公益通報者保護制度だけでなく、わが国の法秩序への信頼を著しく損なう重大な社会問題となっている。知事は、質問と異なる定型文の回答を延々と繰り返し、再選後1年経っても解決の目途が立たない。問題の根源は知事の「説明をしない」姿勢にあり、県議会は再度の不信任で県政を正常化すべきである。

 

 

 兵庫県知事選で斎藤元彦知事が再選されてから1年が経った。内部告発文書問題は収束せず、週1回開かれている知事の定例会見中にはいまも、県庁そばで知事への抗議活動が行われている。知事を支持する人たちとの溝は埋まらず、有権者の「分断」が続いている。
 県が設置した第三者調査委員会は3月、斎藤知事らによる「告発者捜し」などを「違法」と認定した。しかし、知事はこの結論を受け入れず、会見では記者と知事のかみ合わないやり取りが続く

(以下略)


朝日新聞 2025/11/21)

 

 

 斎藤元彦・兵庫県知事が県議会の不信任決議を受けて失職し、出直し知事選で再選されて1年がたった。記者会見で政策については歯切れ良く答える斎藤氏だが、自らを含めた疑惑を告発した文書への対応を巡る質疑などでは紋切り型の回答を続けている。記者会見の現場を報告する。

 「適切、適法、適正に対応している」

 斎藤元彦知事は再選から1年が過ぎた19日の定例記者会見で繰り返した。

 ただ、質問は県の対応についてではなく、公益通報者保護法の解釈を尋ねていた。同法は告発者への不利益処分を防止する措置を求めている。その場合、組織内部の窓口や行政機関への通報に加え、報道機関などに宛てた「3号通報」の告発者も対象に含まれるかどうか――。その答えが「適切」では議論がかみ合わない。

 ここには斎藤氏らの疑惑が文書で告発された問題が横たわる。

 

(以下略)

 

毎日新聞 2025/11/25)

 

 

 兵庫県の混乱は、斎藤知事の再選後1年を経過しても収まる気配がない。第三者委員会も認定している斎藤知事による公益通報者保護法違反の問題はきわめて重大である。決して、時間がたてば解消するという類の問題でない。それ故、議論が繰り返されることになる。

 この問題の社会的な影響は、公益通報者保護法に対する信頼感を著しく棄損したことであり、事実上、法律を無効化するというおそるべき効果を及ぼしている。そして、それは公益通報者保護法だけにとどまらず、社会全体の法秩序そのものへの信頼感を大きく破壊している。今回の兵庫県の問題の発生以後、全国で自治体のトップが不正の指弾を受けたときに、説明責任を果たさず居座る事例が頻発している。

 この問題は、単なる斎藤知事の「支持派」、「反対派」の争いではなく、「民主主義全体への脅威」の問題として、不可逆的に正常化される必要がある。

 

 実は、この間、この問題を解決できた人はただ一人しかいない。それは斎藤知事本人である。解決の方法とは、一つは「疑惑を十分に説明しきること」、もう一つは「疑惑を認め責任を負うこと」のいずれかである。もしも、このいずれかの努力があったなら、問題は解決に向かっていたはずだ。

 ところが、斎藤知事は、県議会や記者会見の場で、また第三者委員会、さらには国会の場で、さまざまな疑惑に対する指摘や質問を受けながら、それらを真正面から受け止めず、「真摯に受け止める」と言いつつ、質問に答えず、趣旨と異なる回答を繰り返し続け、一向に疑惑の解明に向かわない。通常、質問と回答をていねいに繰り返していけば、疑問は解消し、誤解が消え、いつかは正しい結論が得られるはずだ。少なくとも解決に向けて動き出していたはずだ。しかし、斎藤知事のような態度では、問題が解決することはありえない。

 

 つまり、兵庫県の混乱の問題は斎藤知事の問題なのである。

 

 斎藤知事は、なぜ質問に対して真摯に答えようとしないのか。議論を先送りしても、けっして問題が消えてなくなることはない。しかし、問題が解決されない間は、知事はそのままその地位にとどまり続ける利益を得ることができる。ここに、斎藤知事が議論をかわそうとする構図がある。知事が解決の努力を放棄して、その利益を受け続けることは許されることだろうか。

 

 1年間以上、兵庫県は混乱が続き、多くの犠牲を県民は払ってきた。斉藤知事にはもう十分な時間と機会が与えられたはずだ。客観的に言えることは、1年経っても、斎藤知事は問題を解決できなかったということだ。説明責任を果たさなかった責任は斎藤知事にある

 

 正当な議論が成り立たないところに民主主義はない。指摘されている疑惑は解明され、相応の責任を問われるべきだが、それを捨象するとしても、知事の「議論に対する誠実さ」という資質の欠如だけでも十分不信任に値する。つまり、「説明をしない」ということこそが、政治家として決定的に致命的な資質の欠如なのだ。斎藤知事が自らの問題を解消しないならば、あとは県議会がその責任を問うべきだ。それが二元代表制としての地方議会の役割である。県議会は再度の不信任を行い、県政を正常化すべきだ。県議会は自らの責任から逃げるべきではない。

 

 冒頭の記事にもあるように、兵庫県では有権者の「分断」が続いていると言われる。その表現には違和感を感じる。「分断」とは、一般に、意見や価値観の相違により、グループに分かれ、対立する状態を指す。

 問題の根本は、内部告発に対する斎藤知事による公益通報者保護法違反である。これについては、第三者委員会、国会等の議論でも、もう結論が出ている。斎藤知事の行為は「違法」である。もはや、問題についての意見を戦わす段階でなく、違法な行為を行った知事が、周囲の指摘に耳を貸さず、問題に真摯に向き合わず、質問から逃げ続け、その地位にしがみついて、なお知事として振舞おうとし続けているのが現在の状況だ。

 「違法」は不正常、異常であって、異常はすみやかに正されるべきものだ。その異常を支持する価値観と正常な価値観とが並列して対立するかのような「分断」という表現は妥当ではない。異常なものを異常なものとして捉えるのが公平な報道というものだ。

輝きを増す神戸のウオーターフロント

 近年、神戸港の再開発が進められ、ウオーターフロントの親水空間として整備されつつある。週末の夜に訪れると、神戸駅側のハーバーランドから元町南のメリケンパークにかけて多くの人々がそぞろ歩き、外国人観光客の姿も多くみかける。外国人の観光客は、神戸空港の国際化開始後、頓(とみ)に増えた印象がある。この界隈は、国際的に観光スポットとして認知されつつあるようだ。これまで、関係者が営々と地道な努力を積み重ねた結果、次第にその姿が現れてきたように思われる。

 鮮やかにライトアップされたポートタワー、海洋博物館の大屋根、メリケンパーク・オリエンタルホテル、ハーバーランドの大観覧車、その他無数の灯火が星のごとく輝き、ほんとうに美しい。帆柱(マスト)に電飾を渡した帆船が停泊し、時には、大型の外航客船が浮かぶ宮殿のように巨大な船体を横たえ、その姿を水面(みなも)に映して一層華やかである。

 

ハーバーランドからの夜景1)

 

ハーバーランドからの夜景2)

 

メリケンパークから見るモザイクの夜景)

 

メリケンパークの夜景)

 

(ポートタワーの夜景)

 


 そうした中、さらに今春には新港第2突堤に巨大なジーライオン・アリーナが誕生した。内外の人気アーティストが連日コンサートを行い、人気を博している。このアリーナの効果は絶大である。コンサートの前後には、これまで見られなかったような切れ目のない人波が京橋から京町にかけて出現するようになった。アリーナの成功は、神戸の集客都市としての発展の大きな足掛かりになるだろう。

 

 港といえば、一般に、街のはずれの工場や物流倉庫に囲まれ、夜になれば一人で歩くのは怖いようなイメージすらある場所である。しかし、神戸のウオーターフロントは、交通の便がよく、しかも市街地のすぐ隣り合わせに開けており、夜でも、親子連れや年配の人、障害のある人でも、安心して足を運ぶことができる。このような港の姿を見られるのは、港を中心に街が発展してきた神戸ならではであろう。

 神戸のウオータフロントは、神戸の誇るべき財産である。市街地に隣接したこのような大空間は、他都市との競争でも大きな武器である。今後も整備が進み、ますます魅力的なエリアになるだろう。

 

 

(KWD 神戸ウォーターフロント開発機構のホームページ)

【公式】KOBE WATERFRONT|ハーバーランド・メリケンパーク・ニューシーポートの観光情報

阪神高速道路の地下化構想(2)

 9月11日の神戸市長会見で、海軍操練所跡に展示施設を新たに整備することについて発表があったが、それに関する市長の説明の中で注目すべき発言があった。それは、阪神高速3号神戸線を「付け替える」計画があるとの発言だ。

 その一節を抜き出すと、次のとおりである。

 

どうして、これ、もう開発計画が固まれば、最初からこういう暫定的な展示施設ではなくて、初めから本格的な開発計画をつくり、そして1階に遺構を保存するという考え方も、これはあり得るんですけど、開発計画が固まらないんですよね。開発計画が固まらない理由は、阪神高速3号線を、これを付け替えることにしておりまして、付け替える場所と一部ここは重なります。ですから、阪神高速3号線が付け替わることに伴って、このウォーターフロント全体の開発計画を考えていかなければならないと。

 前、ウォーターフロントグランドデザインを御説明しましたけれども、あれも阪神高速3号線が付け替わる、そのことによって、神戸市のウォーターフロントの在り方としては、今の京橋の船だまりを埋め立てるということによって、暫定的に阪神高速3号線の仮のルートを取り、埋め立てるところを利用し、そして神戸市が埋め立てて、高度開発計画を考えるということで、連関をいたします。この計画に伴って影響を受けますから、まず暫定利用して、その付け替えなども見ながら、このエリアの開発計画を考えていくということになるわけです。


(神戸市HP:久元神戸市長会見 2025/9/11)

 

 阪神高速3号線の「付け替え」とは何のことだろうか。

 インターネットで検索をすると、次の資料が見つかった。

 

阪神高速道路の更新計画について(参考資料)阪神高速道路株式会社」

 

(出展:阪神高速道路株式会社「阪神高速道路の更新計画について(参考資料)」)

 

PowerPoint プレゼンテーション

 

 この資料を見ると、「阪神高速道路における大規模更新(3号神戸線京橋付近)」として、現在、高速道路の橋梁全体を架け替える計画が進められているようだ。さらに、「工事期間中の交通影響を軽減するためのう回路設置について関係機関と協議中」であると記されている。同資料の他のページを見ると、事業年度は「2021年度から2028年度」とされている。

 

 以上より、現在、阪神高速道路3号神戸線京橋付近の高架道路の架け替え計画が進められていることがわかる。

 この架け替えがどのような方向性で進められているのかの詳細まではわからないが、いったん現状の「構造物全体を架け替える」という大規模な工事であるようだ。つまりは、いったん既存のものを撤去し、あらたな構造物を設置するということが想定されているようだ。

 

 筆者は、以前より「阪神高速道路の地下化構想」を提唱している。阪神高速道路3号神戸線は、神戸の交通のために不可欠なものではあるが、神戸市の景観に対する最大の障害物であると考えるからだ。

 

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 このような構想は、これまで多くの人たちが考えてきたようだが、久元神戸市長もその一人であるようだ。

 

久元 その次のステップは、ちょっと夢のような話ですが…阪神高速3号神戸線の地下化です。震災後、必要性が言われていたものの早期の復旧が求められ実現はしませんでした。しかし、高速道路が神戸の街を分断していることは間違いなく、ウォーターフロントの活性化や南北の交通網を考える上でも重要な課題です。数十年かかるかもしれませんが、諦めることなく模索をしていくべきだと思っています


月刊神戸っ子 2017年2月号)

 

 阪神高速道路が開通したのは1968年であり、その時以来、60年近くにわたって神戸の市街地と神戸港を分断してきた。これまでも、阪神高速道路の高架の撤去を考えた人は多くいたと思われるが、その考えを阻んできたものは、これに要するだろう高額の費用である。しかし、今、50年以上たって、現実に阪神高速道路の高架が一時的とはいえ、撤去がされようとしている。これを千載一遇のチャンスといわずしてなんと言うべきであろうか。

 神戸という街が大きな変革期を迎え、神戸市は過去の神戸港の繁栄の中心地であった新港地区の再開発に取り組んでいる。そして、また、100年以上前の神戸港発祥の地ともいうべき幕末の神戸海軍操練所の遺構が発掘され、脚光を浴びようとしている。

 神戸港が開港したのが1868年で、その100年後の1968年から阪神高速道路が街を分断してきた。もしこの機会を逃したら、次の機会はいったいいつだろうか。この機会を逃すべきではない。

 

 何事も願うことなくして、また、誰かが言い出さなければ、誰かが動かさなければ実現することはない。それは、「人生すべからく夢なくしてはかないません」という言葉を遺した原口神戸市長の明石海峡大橋の実現の例にもあるとおりである。

 久元市長は、もし、「阪神高速3号神戸線の地下化」の夢を持っているのであれば、今後の100年の神戸のために、ぜひこれに取り組んでほしいと思う。

 

 

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神戸の土産物について

 久方ぶりに各地の主要都市を訪れると、その発展ぶりには目を見張るばかりだ。当時は古めかしく、のどかな地方都市という雰囲気を漂わせていたが、今では大規模な整備、都市改造が行われ、新しいターミナルビルには垢抜けた最新の商業施設が軒を連ね、多くの人たちが集まり大いに賑わっている。その様子を見ると、都市開発の点において神戸はすっかり遅れをとってしまったと思わざるを得ない。それらの都市の人々が、現在の神戸の中心市街地を見るとどのように感じるのだろうか。すべてのインフラが小規模で、古びており、もはや、神戸は憧れをもって見られるような存在ではなくなっているように思われる。それは、名古屋や福岡は言うに及ばず、広島、仙台など政令指定都市レベルだけではなく、県庁所在都市レベルと比べても言い得ることかもしれない。

 現在、神戸市でも三宮の再整備が行われているところではあるが、それが完成したとして、それらの地方主要都市を凌駕するレベルの都心が実現するのだろうか。神戸市は、過去の「先進都市」の慢心は捨て、虚心坦懐に他都市の先進事例を学び、取り入れられる点は取り入れ、斬新なアイデアを発明し、再び全国から注目を集めるような都心を作り上げなければならない。

 

 それはさておき、各地を訪れて感じることの一つに、各地方が主要ターミナルでの土産物の販売に非常に力を入れていることだ。例えば、駅や空港のターミナルビルの中の、人通りが多い一等地に広大なスペースを充てて土産物品を販売している。

 それらは品ぞろえが非常に豊富で、その地方で買える土産物のほとんどがここ1か所で間に合うと言えるほどである。古くからの特産品だけではなく、そこから派生した商品が数多く販売されている。たとえば、本来何の関係もなかった旧来の和菓子や洋菓子に、ご当地の特産品を原料として加えたり、名物のイメージ(仙台の伊達政宗、高知の坂本龍馬、鹿児島の西郷隆盛など)を援用した土産物を数多く新たに開発し、販売している。これらのターミナルでは、観光客が出発までの待ち時間に大量の土産物を購入している姿を見ることができる。土産物を購入することは、旅行の主要な目的の一つとも言え、その経済的な効果も大きなものがあると思われる。

 そうした各地の状況と比べると、新神戸駅三ノ宮駅神戸空港における土産物売り場は非常に小規模で品ぞろえも貧弱であることは否定できない。新たな商品を次々に開発し、売り込もうとする各地の行政、事業者、経済団体の貪欲さは、神戸の人々も大いに見習う必要がある。

 神戸には、何も販売するような土産物がないのではないかと思うかもしれないが、果たしてそうだろうか。神戸にも、洋菓子や和菓子、清酒神戸ビーフ、真珠などの名物がある。この他にも、元々食品工業が盛んなのだから、蒲鉾や竹輪、昆布の加工品、チーズやバターなどの乳製品も「ご当地」のイメージを乗せれば人気のある土産物になりうるのではないか。また、ゴム工業や鉄道車両、潜水艦などの工業製品も神戸の重要な産業なので、ミニチュアや模型、ブランドのロゴのついたグッズなどを工夫すれば土産物になりうる。

 さらに、神戸は兵庫県県都なのだから、兵庫県の特産品を、新神戸神戸空港で大いに販売してもよいのではないか。そうすれば、兵庫県県都として、県下の市町の発展に大いに寄与できるはずだ。例えば、赤穂の塩、塩味饅頭、姫路の和菓子、竜野の醤油、素麺、丹波の黒豆、栗、松茸、ぼたん鍋、豊岡の鞄、出石のそば、淡路の玉ねぎや琵琶、線香、西脇の播州織、明石の蛸や鯛、明石焼き明石焼きのミックスなど、もっと「ご当地色」をパッケージすると、土産物として非常に有望ではないか)。小野のそろばん、三木の金物等もミニチュア化して土産物にできないか。旅行者が全県を回って特産品を買い集めることは困難であるが、新神戸駅神戸空港の土産物品に集めて販売することは、大いに可能ではないだろうか。一方、観光客にとっても、新神戸駅神戸空港の魅力向上に多いに役立つと思われるので、神戸市はこうした取り組みを全県的に音頭をとって進めるべきである。そのためには、新神戸駅神戸空港三ノ宮駅に大規模なスペースを確保しなければならないので、これらのターミナルの大幅な拡張を行う必要がある。このように、土産物品の販売拡充は、神戸の交通拠点性の強化にも寄与するはずである。

 

 

 

 

 

WDBホールディングスが神戸に本社移転

 

 理系研究職の人材派遣大手、WDBホールディングス(HD、姫路市)は14日、神戸・旧居留地で建設中の自社ビルに、今年10月、本社を移すと発表した。事業拡大を目指す中、神戸への本社移転により、関西全域からの人材獲得を図る。

 

神戸新聞 2025/5/14)

 

 姫路に本社を置く人材派遣大手のWDBホールディングス株式会社が、今年の10月に本社を現在の姫路市から神戸市へ移転すると発表した。

  同社は、旧居留地内の江戸町に地上9階地下1階建ての自社ビルを建設し、本社を姫路市から神戸市に移すとともに、市内にある同社や関連会社の事業所を移す。同ビルでは数百人が勤務をすることになるそうだ。

 神戸市は、近年、都心部での企業誘致に力を入れているが、これまで発表されてきた実績では、従業員数が数人から10人未満の小規模の事業所の場合が多かったように思われる。そうした実績から考えると、今回のWDB社の神戸進出は、かなり大規模なものであり、神戸市の企業誘致政策にとって大きな成果であると評価されるだろう。

 同社の新本社ビル(写真)は、洋風の近代建築が建ち並ぶ旧居留地にふさわしく、外壁は石造りで、上部に装飾を戴く石柱が巡らされ、特に南面にはコリント式の円柱が用いられ、クラシカルで重厚なデザインである。旧居留地内で新しく建設されるビルは、周囲の景観になじむようクラシカルなデザインが選択されることが多いが、これほどまでに忠実に大正・昭和初期の近代建築が再現されることは稀である。既存の他の周囲の近代建築と比べても遜色がない程であり、現代においても、このような建築物が建設されうるということに驚きを覚える。その重厚な佇まいは、旧居留地に新たに本社を構え、大きく飛躍しようとする同社の意気込みを感じ取ることができる。今後、旧居留地内にこのような建築物が増えていけば、旧居留地、神戸の都市ブランドが一層高まるに違いない。

 

 神戸に本社を移すにいたった理由について、同社は次のとおり説明している。

 

 当社は、事業の更なる成長と企業価値の向上を目指し、本社を現在の姫路市から神戸市へ移転することを決定いたしました。

 神戸市は、新幹線、JR、私鉄、空路、高速道路網が充実しており、関西圏における交通の要衝であるため、広域アクセスに優れております。神戸市は多様な産業が集積する経済活動の中心地であり、既存顧客および潜在顧客への迅速なアクセス、並びに当社各拠点との連携強化や、新たなビジネスチャンスの創出、事業提携先の開拓にも有利な環境であると判断いたしました。また、神戸市は兵庫県内でも有数の人口を擁する都市であり、多様なスキルと経験を持つ人材が豊富に存在することを考慮いたしました。近隣の大阪や京都からの通勤も容易であり、より広範な人材プールへのアクセスが可能となります。

 神戸市の持つ都市としての魅力や多様なライフスタイルへの適合性は、従業員の満足度向上および優秀な人材の獲得に寄与するものと考えております。本社を神戸に移転することにより、当社グループの企業イメージ向上を図り、より一層優秀な人材を惹きつけることにより、今後の持続的な企業価値の向上を目指してまいります。 

 

( WDBホールディングス株式会社「本社移転に関するお知らせ」 2025/5/14)

 

本社移転に関するお知らせ

 

 これを要約すると次のとおりである。

(神戸を選択する理由)

1)神戸市は、新幹線、JR、私鉄、空路、高速道路網が充実しており、関西圏における交通の要衝であるため、広域アクセスに優れている。

2)神戸市は、多様な産業が集積する関西圏における経済活動の中心地の一つである。

3)神戸市は、兵庫県内でも有数の人口を擁する都市であり、多様なスキルと経験を持つ人材が豊富に存在する。また、近隣の大阪や京都からの通勤も容易であり、より広範な人材プールへのアクセスが可能である。

4)神戸市の持つ都市としての魅力や多様なライフスタイルへの適合性。

当社グループの企業イメージ向上を図り、より一層優秀な人材を惹きつけることにより、今後の持続的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

(本社移転の効果)

 企業イメージ向上を図り、より一層優秀な人材を惹きつけることにより、今後の持続的な企業価値の向上を目指す。

 

 

 上記のような理由、効果を想定して、本社を神戸市に移すことを決めたということである。

 これを、さらにまとめると次の3点に絞られる。

1)神戸は関西圏(西日本)の交通の要衝であること

2)関西圏の経済活動の中心地の一つで、圏域全体からの顧客や人材の獲得が可能

3)神戸の都市としてのアメニティ(快適性)の高さ

 

 

 これが、企業にとっての神戸市の魅力ということになるだろう。

 注目すべきは、2)の項目である。つまり、神戸が「関西圏にある」ということである。これは、当たり前のことだが、広島や仙台などの地方ブロック都市が有していない特徴だ。関西圏にあるということは、大阪や京都との競合が生じる反面、大阪や京都の人的、物的、文化的資源を共有できることであり、大きな利点でもあるということだ。そして、神戸は「関西圏の経済活動の中心地のひとつ」であると述べている。この点は極めて大事である。つまり、関西圏には中心地がいくつかあって、その中心地の一つが神戸であると述べており、関西圏の「衛星都心」や「副都心」として扱っていないということだ。この考え方こそ、神戸市の企業誘致政策が忘れてはならない視点だ。具体的に言うと、神戸に本拠地を置くことは大阪に置くことと等価であると主張することだ。そして、それに相応しい都市づくりを心掛けることだ。

 

 企業が本社を移転することは、特に大きな企業にとって、関係者や従業員などに対して十分な説得力をもって、納得を得なければならない。だから、神戸市が企業誘致を行うにあたって、企業が事業活動の拠点を置く場合にどういう点に着目し、関心をもっているのかを知ることが重要である。そして、企業が重視する事項について、いっそう自らの特質を磨くよう、政策を行い、企業にアピールすることが重要である。

 

 

 

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