神戸空港国際化先送り

神戸空港国際化先送り

~ 関西エア方針 コロナ禍で需要激減 ~

 関西、大阪(伊丹)、神戸の3空港を運営する関西エアポートの山谷佳之社長が朝日新聞のインタビューに応じ、神戸空港に国際線を就航させるかどうかの検討を当面先送りする考えを明らかにした。地元財界や関係自治体と2年前に交わした合意では、検討時期を「2025年ごろまで」としていたが、コロナ禍で需要が激減し、慎重にならざるを得なくなった。

(2021/7/21 朝日新聞

 

 神戸空港の国際化は2019年5月の関西3空港懇談会の取りまとめの中で、「2025年大阪・関西万博の開催、IR誘致などを見据え、概ね2025 年頃までを目途に実現をめざす取組」として盛り込まれた。 

 

2019/5/11 関西3空港懇談会取りまとめ(抜粋) 

 

(2)中期の視点に立った取組

 2025年大阪・関西万博の開催、IR誘致などを見据え、概ね2025 年頃までを目途に実現をめざす取組は、以下のとおりである。

 関西空港については、拡大基調が続く航空需要を適切に受け止めることができるよう、旅客処理能力の拡大(ターミナル1リノベーション等)に継続的に取り組むとともに、年間発着回数23 万回到達を見据えた環境影響調査の検証に着手する。また、国をはじめ関係機関との連携・協力を得て、将来の需要に応じた発着容量の拡張可能性に関する検討を行う。また、関西の官民連携の下、内際ネットワークのさらなる充実など、国際拠点空港としての競争力強化と需要拡大に取り組む。

 神戸空港については、上記の関西空港の取組を踏まえつつ、関西空港伊丹空港を補完する観点から、国際化を含む空港機能のあり方等について関係機関との検討を行う

 

 

 2019年5月の「取りまとめ」は、大阪・関西万博の開催に伴って関西圏での国際航空需要の増大が予想されることから、受け入れ能力拡大のため、万博が開催される2025年までに神戸空港の国際化が実現するよう検討するという趣旨と理解されるが、朝日新聞の記事は、関西エアポートはこれを先送りすると伝えている。

 ここで、神戸空港の国際化を見送ってしまうと、今後の神戸空港の国際化については、契機を失い、実現までの道程はほぼ白紙ということになってしまうのではないだろうか。

 これまで、神戸空港の国際化を最も強固に主張をしていたのは兵庫県の井戸知事であった。神戸空港の国際化は、兵庫県を関西万博に協力させるための材料として提示されたものであろう。しかし、このたびの兵庫県知事選挙で情勢は激変し、何も与えることなく、兵庫県を関西万博に全面的に協力させることができる状況となった。そうなれば、もはや、兵庫県に対して「エサ」を与える必要はない。

 

 この記事が兵庫県知事選挙直後の7月21日に出たのは偶然だったのだろうか。

 今後の兵庫県の歩む未来を暗示するようだ。

 

 

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兵庫県知事選挙の結果について

 任期満了に伴う兵庫県知事選は18日投開票され、総務官僚出身で元大阪府財政課長の斎藤元彦氏(43)=自民、維新推薦=が無所属新人5人による争いを制し、初当選した。県政史上初めて自民分裂選挙となったが、5期20年務めた井戸敏三知事(75)の後継として、党方針に反発する自民県議らが支えた前兵庫県副知事、金沢和夫氏(65)をかわした。

(2021/7/18 神戸新聞

 

 7月18日に行われた任期満了に伴う兵庫県知事選は、自民、維新が推薦する総務官僚出身で元大阪府財政課長の斎藤元彦氏が当選した。

 確定投票数は次のとおりであった。

  斎藤元彦 858,782

  金沢和夫 600,728

  金田峰生 184,811

  中川暢三 140,575

  服部 修  46,019

 

 2021年7月18日は、兵庫県民にとって歴史的な日となった。

 新しい知事は、元大阪府の財政課長であり、選挙戦でも吉村大阪府知事、松井大阪市長大阪維新の会(維新)の全面的な支援を受けて当選を果たした。新知事が維新の系列に属することは間違いない。吉村知事の部下であり、その全面的支援を受けて知事となった人物が、大阪府の意向に反して行動することはあり得ないだろう。これまで兵庫県は全国有数の大県として、大阪府と対等の立場で、良きにつけ悪しきにつけ対抗関係にあった。その兵庫県大阪府の軍門に降ったのが今回の選挙結果の歴史的意義である。

 

 今後起きるであろうことを予想してみよう。

(1)身を切る改革として、県職員の人件費抑制、人員の削減、非正規職員化、公的セクターの縮減、独自事業の見直しなど。

(2)しがらみを断ち切る改革として、これまで兵庫県と密接な協力関係を築いてきた文化団体等への支援の見直しと再編。

(3)兵庫県と神戸市の二重行政問題

(4)関西圏全体における二重行政問題

 

 (1)については、新知事はすでに県知事の報酬や退職金の減額、センチュリーの即時廃止を表明している。今後、兵庫県庁舎の建て替え、兵庫津博物館の建設などの井戸カラーの施策はことごとく見直しの憂き目にあうだろう。

 (2)では、これまでの兵庫県庁に連なる各種団体の支配関係が再編され、各所で権力の交代が生じるだろう。

 特に問題は、(3)と(4)である。

 (3)について、兵庫県と神戸市との間の二重行政による無駄の解消の名の下に、神戸市の権限・財源の縮小が議論に上がる可能性がある。

 (4)について、維新が目指すのは関西圏における大阪一極集中である。兵庫県大阪府の間の二重行政として、兵庫県下で進められてきた事業の縮減が議論に上がるかもしれない。たとえば、伊丹空港神戸空港、医療産業都市構想、大規模アリーナ構想など、それらは大阪と重複する無駄な投資として指弾されるかもしれない。(この構図は、神戸空港の建設時によく見られたものだ。)今後、兵庫県では大阪と競合するような都市施設は持つことは許されなくなるかもしれない。

 これらの改革、兵庫県の変質が、「行政の無駄の排除」の名の下に、在阪マスコミや一部の市民の熱烈な支持を受けて進められることになるのではないだろうか。

 今後、兵庫県は、大阪との連携、「強い関西」の名の下に、大阪への一方的協力を求められるだけの存在となるかもしれない。そして、それらの連携・協力の行く先は、大阪が進める万博やIRということになるだろう。

 それらの改革の行き着く先は、関西の都市機能の大阪への一元化、つまりは「道州制」の実現である。そして、それは、大阪と並び立つ独立した兵庫県、神戸の終焉だ。

 今回のことは、単に兵庫県下で起きた出来事ではなく、もっと大きな流れの中で、周到に準備が進められたものかもしれない。そして、早い段階から井戸知事に対しての印象操作など在阪マスコミも一体となって実行に移されたものかもしれない。もしかすると、三宮再開発の凍結もその流れの中の一局面なのかもしれない。

 

 かつて、兵庫県兵庫県民の利益を守る存在であった。関西国際空港泉州沖設置に最後まで同意をしなかったり、伊丹空港の廃港に反対したり、大阪府と対立しながらも、兵庫県民の利益のために立ちはだかっていたのが兵庫県であった。神戸空港規制緩和を神戸市以上に主張をしていたのも兵庫県だった。兵庫県の高い城壁の中で神戸は穏やかな日常を送ることができていた。しかし、その兵庫県は、もう過去の兵庫県ではない。兵庫県民を守る兵庫県ではなく、大阪府の利益のために奉仕する存在となった。今後、神戸は身を守る城壁を失ったまま、暴風の中にさらされることになるだろう。

 再び、兵庫県民のための兵庫県を回復することは可能だろうか。20年間兵庫県下の隅々まで統治し、盤石の体制を誇っていた井戸県政においてさえ、この大風の前にひとたまりもなく吹き飛ばされてしまった。今後、兵庫県の再編が進められていく中で、再び昔日の兵庫県を回復することについて悲観的である。

 2021年7月18日は、兵庫県兵庫県民の手から失われた日として記憶されることになるのかもしれない。

 

六甲アイランドの活性化

 六甲アイランドは、ポートアイランドに続く神戸市第2の人工島で1988年3月に街開きをした。島の周囲はコンテナターミナル等の港湾施設が取り囲み、それに隣接して物流・工場地帯が配置され、その内側に緑地帯を挟み、中心部は「六甲アイランドシティ」と名付けられた住宅街・業務街となっている。その住宅街・業務街の中央を新交通システム六甲ライナーが南北に縦貫し、阪神電鉄魚崎駅、JR住吉駅に接続している。六甲アイランドにはかつてP&Gの極東本部も置かれたことから、外国人の駐在員向けの高規格の住宅が多く建設され、カナディアンアカデミー、ドイツ学院、ノルウェー学校など複数の外国人学校が進出している。島内には、外国人の子どもたちが遊ぶ姿が日常的に見られ、非常に国際色豊かな街である。街並みも、広い街路に大規模な公園が配置され、街開き当初は、バブル経済の潮流を受け、「海の手六甲」のキャッチフレーズの下、上質な住宅地として人気を博した。

 しかし、1995年1月の阪神淡路大震災が転機となった。島内では建物自体には大きな被害はなかったが、液状化現象が生じたり、島と本土を結ぶ六甲大橋が被害を受け、交通やインフラが途絶して孤立化し、六甲アイランドが島であることの脆弱性が意識されるようになり、人気は急激に低下した。また、2018年8月の台風21号では高潮に見舞われ、住宅街・業務街に被害はなかったが、周囲の港湾施設や物流施設が水没し、コンテナが流出するなどの大きな被害が発生し、さらに人工島の信頼感を低下させることになった。

 こうした流れの中で、当初は華々しく街開きをした六甲アイランドであったが、次第に業務施設の転出が目立つようになり、2016年5月にはP&Gが中央区の三宮へ移転したのは六甲アイランド衰退の象徴的な出来事であった。今では、中心部の業務街では空き店舗が目立ち、一部にはビルごとテナントが撤退し、灯りが消え、非常に寂れた風景となっている。

 一方で、六甲アイランドにとっての明るい材料としては、大阪湾岸線の西伸部の建設が決まり、ポートアイランドと巨大な橋梁で結ばれることになったことが挙げられる。また、島の南部に六甲アイランド南の埋め立てが進み、次第にその姿を現しており、将来的には両者が結ばれる予定である。

 

 

 さて、この六甲アイランドを活性化するにはどうしたらよいだろうか。

 神戸市でも、いろいろと検討しているようだが、どうも決定的な案はなさそうだ。

神戸市:六甲アイランドまちの将来像検討会 (kobe.lg.jp)

 

 そこで、六甲アイランドの活性化策を考えてみる。

 すっかり活気がなくなってしまった六甲アイランドであるが、住宅地として人気が高い阪神間に位置しており、貴重な住宅地と言えるだろう。しかも、バブル時代に建設された贅沢なインフラや外国人学校が集積する等のすばらしい住環境を持っている。おまけに、六甲の稜線が見渡せる風景はすばらしい。(六甲の稜線は、三宮ではなく、六甲アイランドで守ればよいだろう。)さらに、外国人が生活するのに適した住環境は、今後の神戸の企業誘致の強力な武器になり得るものだろう。これらは神戸の財産と言うべきで、有効に活用されずにいるのは非常に残念なことである。

 

 六甲アイランドの人気が下降するきっかけになったのは、やはり阪神大震災であろう。その時の本土からの孤立に対する恐怖感が、人々の住宅地としてのあこがれを吹き飛ばしてしまったのだ。だから、六甲アイランドの再浮上のためには、本土からの孤立感を解消し、住民の安心感を高めるように施策を講じればよいということになるだろう。

 現在、本土との交通は、一般道では六甲大橋が唯一であるが、実は六甲大橋は歩いても、自転車でも渡ることができる。しかし、それは余り知られていないようで、インターネットを検索すると、六甲アイランドへの自転車や徒歩での渡り方を写真付きで説明するブログが多数見受けられる。このことは、一般の人々にとって、六甲アイランドへの自転車や徒歩での渡り方がわからないということを表しているだろう。これらのブログが説明するところを見ると、エレベーターを乗り降りをしたり、出入り口がわかりづらかったり、勾配がきつかったり、なかなか複雑なルートのように思われる。また、その周辺には工場街が広がっており、大型車が頻繁に走り、振動や騒音や排ガスで、誰もが安心して散策を楽しめるような状況ではない。六甲アイランドの活性化の第一は、まず、六甲アイランドと本土の間を、気軽に安心して歩いたり、自転車に乗ったりして往来できる環境を整えることであると考える。現在のように工場街の中を縫って道を探すような状況ではいけない。子供でも安心して簡単に渡れるような環境を作ることだ。神戸市は「人間中心の街」を目指しているのだから、こうした場所にこそ、その原理を適用すべきだ。本土と六甲アイランドとの歩行者・自転車の導線を設定し、それをシンボルロードとなるように歩道や植栽、街灯、立体交差などを計画してはどうか。場合によっては、三宮クロススクエアのように、自動車を排除する区間を設けてもよいかもしれない。これらの施策は六甲アイランドの住民だけでなく、東灘区民全体の生活環境の向上にも役立つはずだ。

 東灘区では、元来、市民が日常的に気軽にウォーキングを楽しむ習慣が根付いている。休日には多くの市民が住吉川の河岸を散歩している。もしも、そのように人々が気軽に六甲アイランドへ散歩して訪れることができるなら、広々とした公園やグラウンド、プール、美術館など、六甲アイランドはすばらしい環境を市民に提供することができるだろう。また、それによって、島内の住民の安心感も高まるに違いない。

 本土とのアクセス路は、現在は六甲大橋1本しかないが、それでは心許なく、複数のルートを確保すべきだろう。六甲アイランドのアクセス路が少ないのは、六甲アイランドが「島」であることが理由と思われるが、六甲アイランドと本土との間にあれほど広大な水路が必要なのだろうか。つまり、六甲アイランドは島である必要があるのだろうか。場合によっては、最低限を残して水路を埋め立て、地続きの半島にしてもよいのではないだろうか。六甲大橋は、大型の船舶が通行できるよう、海面からの高さもかなりある。それは大きな勾配を必要とし、人々の通行を困難にする。地続きであれば、平坦に通行することができる。そうなれば、もっと本土との往来が容易になるだろう。

 交通路が十分に確保されると、元々阪神間の貴重な宅地であり、住宅地としての人気も再び高まるのではないだろうか。現在の人口だけでは、島内の商業施設等を維持することも難しいだろうから、さらに住宅地を拡大して、人口をもっと増やすことを考えてもよいかもしれない。

 また、六甲ライナーの値段が高いとの声もある。現在の最高250円の運賃を市バスと同じ一律210円にすることも考えてはどうだろうか。島の活性化のために巨費を投じることを考えると、検討してもよいのではないだろうか。

 高潮や津波の脅威から住民の安全を確保できるように防災対策を強化する必要があることは言うまでもない。

神戸市が、新神戸駅前広場再整備の進め方(案)を公表

 JR新神戸駅は、市内で唯一の新幹線駅であり、1972 年(昭和47 年)に山陽新幹線新大阪駅岡山駅間の開通と同時に開業しました。当駅は、広域的な交通における神戸の玄関口であるとともに、地下鉄(西神山手線・北神線)やバス・タクシー等の公共交通の重要な結節点となっています。また、六甲山の山裾に位置し、布引の滝や布引ハーブ園等の豊かな自然環境へのアクセスの起点であるとともに、市内有数の観光地である北野エリアと隣接するという特徴も有しています。
 現在の駅前広場に関しては、これまでに「バスの乗り場が点在しており、乗換えが分かりづらい」「北野や布引の滝等の周辺エリアへのアクセスが分かりづらい」「神戸を感じられる雰囲気づくりができていない」等の意見をいただいています。
 このような状況に対し神戸市では、令和元年度からまちの質・暮らしの質を一層高めることで、都市ブランドの向上と人口誘引につなげるプロジェクト「リノベーション・神戸」をスタートし、新神戸駅を対象駅の一つとして位置づけました。新神戸駅の駅前広場については、利便性・魅力向上を図り、人と公共交通優先の空間とするため、再整備を行います。

(「新神戸駅前広場再整備の進め方(案)」令和 3 年7月 神戸市)

 

神戸市:新神戸駅前広場再整備の進め方(案)の公表 (kobe.lg.jp) 

 

 7月8日に神戸市が、新神戸駅前広場の整備方針案を発表した。そこには3つの再整備の方向性が示されている。

 

方向性1 公共交通の利便性向上(交通機能の再編)

・来街者にとって分かりやすく利用しやすい駅前となるように、新幹線改札口と同じ2階に公共交通(バス・タクシー)の乗降場所を集約するとともに、待合環境等の向上を図るなど、乗換え利便性を向上させます。
・1階と2階で一般車と公共交通を分離することで、交通の円滑化を図ります。

  

方向性2 周辺エリアへの歩行者動線の改善

・初めて訪れる方が目的地へスムーズに移動できるように、新幹線改札前の出入口部において、あらゆる方面への歩行者動線の起点となる結節点を整備します(視認性の高い空間づくりや分かりやすい案内表示等)。
・北野や布引の滝等の周辺エリアへのアクセス改善を図るため、案内サインの整備や、高架下空間のリニューアルを含む歩行者動線の改良を行います。
・生田川沿いの駐輪場を集約し、歩きやすい歩道空間を整備します。 

 

方向性3 玄関口としてふさわしい空間の創出

・神戸を訪れる方に対し、玄関口としてふさわしい空間を創出するため、駐車場の上部にデッキを整備し、新幹線改札から駅前広場南側の生田川公園(再整備予定)にかけて一体となった、神戸らしさを感じられるシンボル空間を整備します。

 

 

 これについての意見を述べてみる。

 

 整備の方向性は次の3つである。

(方針1) 新幹線改札口と同じ2階に公共交通(バス・タクシー)の乗降場所を集約し、乗換え利便性を向上させる

(方針2)周辺エリアへのアクセス改善を図るため、案内サインの整備や歩行者動線の改良を行う

(方針3)神戸の玄関口としてふさわしい空間を創出するため、駐車場の上部にデッキを整備し、神戸らしさを感じられるシンボル空間を整備する

 

 発表された資料によると、今回の整備を行おうとする目的については、「都市ブランドの向上と人口誘引につなげるため」であるという。そのために、新神戸駅の駅前広場については、「利便性・魅力向上を図り、人と公共交通優先の空間とする」というのが全体の考え方のようだ。

 具体的には、「バスの乗り場が点在しており、乗換えが分かりづらい」「北野や布引の滝等の周辺エリアへのアクセスが分かりづらい」「神戸を感じられる雰囲気づくりができていない」という意見があるため、そこから導かれたのが、上記の方針1~3ということのようだ。

 

 これらの問題点の指摘が一般多数の意見なのかどうかわからないが、それはさておき、この方針1~3を読んで明らかなように、これらは問題に対して対策を講じる「対症療法」であって、内容は「改善」のレベルだ。つまり、抜本的に、新神戸駅周辺の状況を分析し、どうあるべきかを考え、解決策を提示したものではない。だから、新神戸駅再整備の基本方針と言いながら、三宮、神戸の整備方針とほとんど何も違いのないような内容だ。新神戸駅周辺の現状をどう捉え、どのようにしたいのかよくわからない。これらの方策によって、都市ブランドの向上と人口誘因につなげる結果をもたらすことができると言えるのだろうか。乗り換え利便性の向上、案内サインや歩行者導線の改良、シンボル空間の整備の3つの施策だけで、都市ブランドの向上と人口誘因につなげるというのは飛躍がある。仮に駅前広場の利便性と魅力が向上するとして、どういう連関をもって、どういう具体的な効果を及ぼすか全くわからない。数値的な実態の把握がされていないし、目標値も示されていない。

 整備方針案の前提問題として、新神戸駅周辺の現状把握が正しく行われているのだろうか。他都市と比較した場合の新神戸駅の現状、低利用となっている周囲の状況をどう捉えているのか。新神戸駅に隣接した商業施設をあのような寂れた状態のままにしておいて、都市ブランドの向上が図れると考えているのだろうか。新神戸駅は県外から来客を迎える文字通りの「神戸の玄関口」である。都市の玄関口があのように照明が消え、昼なお暗いという、そのような大都市がいったい他にあるだろうか。玄関口をあのような姿で放置して、これ以上の都市ブランドのイメージダウンはないだろう。

 「都市ブランドの向上と人口誘引につなげるため」を目的に掲げるのであれば、これだけでは実質的に何もしていないことになってしまうのではないだろうか。

 

 

 

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原口市長の都市構想

 世界の貿易港をもち、国際空港をもち、そして循環道路でつながれるならば、瀬戸内圏は一つのまとまりある広域経済圏として、集積の力をじゅうぶんに発揮できるであろう。それは東海道「陸のメガロポリス」に対する瀬戸内「水のメガロポリス」である。瀬戸内は日本歴史にあって文化と産業の先進地であった。その恵まれた風土と海、そして人々の頭脳と労働が、国際環境の中で日本をリードするエネルギーとしてよみがえるであろう。
 瀬戸内はいま新しい形の中枢地域として形成されつつある。ここに日本列島は、陸のメガロポリスと水のメガロポリスによって形成されていくことであろう。阪神はこの両メガロポリスの結節点という重要な位置を占めている。
 神戸はこの両メガロポリスのかなめとして、世界貿易の門戸として、海と陸とを結ぶ近代的交通・輸送体系の起終点として、都市全体をつくりあげてきた。海に直結する高速道路、背後へつなぐ六甲トンネル、そして近代的港湾都市をめざし、海にポートアイランドを築く。そして日本の成長のため、私は「水のメガロポリス」を橋と道路と船と飛行機で結びたい。


(原口忠次郎「過密都市への挑戦 : ある大都市の記録」1968年)

 

 これは、1968年に、当時神戸市長であった原口忠次郎が著した「過密都市への挑戦:ある大都市の記録」の一節である。


 一般人は、神戸という都市について、兵庫県の県庁所在都市で、人口は○万人で、日本で○番目の都市で・・・というように捉えるのではないだろうか。しかし、それでは、神戸という都市は、地方都市圏の中枢都市でもないし、人口が目立って多い訳でもなく、ごくごく特徴のない地方都市の姿に収まってしまうのではないだろうか。そこから導かれる結論としては、静かで美しい地方都市という静的な姿であろう。


 しかし、原口市長は違った。日本列島を東海道の「陸のメガロポリス」と瀬戸内の「水のメガロポリス」という二つの異なる地理や歴史を有するブロックの複合体と捉え、その結節点として近代的交通・輸送体系の起終点となるべく、神戸という都市がつくられたという、神戸の日本の近代における位置づけと都市の姿を読み取っている。この姿は目に見えるものではなく、慧眼を持った者にのみ描きだすことができるものだろう。原口市長は、読み取った日本列島の構造、神戸の位置づけに基づいて、神戸の進むべき方針を人々に指し示している。


 都市の構想とはこういうものではないだろうか。目に見えないものを読み取り、都市の姿を立体的に描き出し、来し方、行く末を見通し、都市を新たな高みに押し上げるための施策を提示する、これこそを構想力というのではないだろうか。これは政治家にとって、非常に重要な資質ではないだろうか。
 残念ながら、現在の神戸にこのような都市観や構想がない。再び神戸に、原口市長のような偉大な構想力、実行力を持つ人物が現れないだろうか。

 

 

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新神戸駅の活性化(2)

 新神戸駅には、かつて新神戸オリエンタルホテルを基幹施設とする大規模な商業施設が営業していた。しかし、都市の中心部から外れた立地条件は如何ともしがたく、次第に退店が相次ぎ、ついにはゴーストタウンのような状態になり果ててしまった。このことが意味するところは商業施設等の立地における立地条件の重要性だ。土壌が異なるところに植生が異なるものを移植をしても根付かない。余所から新たなものを移植しようとしても立ち枯れとなるばかりだ。

 新神戸駅を活性化しようとするなら、新神戸駅の本来の効用に従って活性化する以外にはない。新神戸駅の本来の効用とは、長距離交通拠点であるということである。つまり、新神戸駅の活性化は、長距離交通拠点としての活性化を目指す以外にはないと考える。長距離交通拠点としての可能性を伸ばしてこそ、産業が集積してくるのだ。努力をするときは、正しいポイントに正しい努力をすべきだ。井戸は水脈のあるところを掘るべきで、水脈がないところをいくら掘っても水は湧いてこない。

 東海道・山陽新幹線九州新幹線の全列車が停車するという素晴らしい条件を持っている新神戸駅を現在のような低利用のまま放置しているのはきわめて残念なことだ。これは筆者だけではなく多くの人が指摘しているところだ。

 

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 これまで神戸市がやったことといえば、新神戸駅から地下鉄へ続く地下道を化粧直しをした程度だ。さらに、周辺の導線を整備しようとしているが、それだけで駅の利用が増えると考えているのだろうか。

 これまで、市が新神戸駅の利用客数の増加に取り組んだという話は聞いたことがない。市は新神戸駅の利用客数の増加について、まず目標を立てるべきだ。当面、現在の2倍の2万人程度を目標にしてはどうか。いきなり2倍は非現実的だと思われるかもしれない。しかし、他都市との比較で考えるならば不自然でない数字だ。その上で、どうすれば利用客数が目標に達するかを考えるべきだ。利用客数が2倍に増えれば、駅の賑わいが変わってくるだろう。

 

新神戸駅の活性化

 前回、神戸駅周辺の活性化について書いたので、今回は新神戸駅の活性化について書く。

 新神戸駅は、東海道・山陽新幹線九州新幹線のすべての列車が停車する非常に重要な駅だ。しかしながら、新神戸駅の1日の利用客数は1万人にも満たず、人口が神戸市の半分にも満たない岡山市岡山駅の新幹線利用客数にも及ばないという状態である。神戸市では新神戸駅の活性化に取り組んではいるが、単なる地下鉄や駅周辺への導線の改善程度で、抜本的な対策がとられていない。

 久元市長は既存の施設の有効活用を謳い、北神急行電鉄阪急電鉄から200億円で買い取り、さらに運賃を半額にするなど、これに巨額の費用を投じている。しかし、北神急行の運賃を引き下げたとしても、利益を享受するのは北神急行沿線の住民のみで、これが神戸市全体の発展につながるということは期待できそうにもない。既存の施設の有効活用を謳うなら、まず新神戸駅について考えるべきだろう。

 

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 新神戸駅の利用客数が少ない理由は明らかだ。第一に、新神戸駅がJRの在来線と接続していないこと。新大阪駅西明石駅、京都駅、姫路駅など、周辺を見回してもJRの在来線と接続していないのは新神戸駅ぐらいのものだ。第二に、新神戸駅が都市の中心部から少し外れていること。在来線と接続していないので、余分の時間と運賃をかけて新神戸駅まで乗り継がなければならない。この二つが主な理由となり、神戸市内に住所を有する者、または神戸市内に目的地がある場合であっても、新神戸駅を使うよりも、周辺の新大阪駅西明石駅等の方が便利で経済的なため、利用者が他へ流れてしまうことになる。その結果として、駅そのものは、他都市も羨むような全国有数クラスの利便性を有するにもかかわらず、十分に利用されていないという「宝の持ち腐れ」状態となっているのだ。その一方で、駅周辺は寂れて、一部にはゴーストタウンのような様相を呈している所がある。これは都市を管理する神戸市の責任は重大だと言わなければならないだろう。さらに言うと、政令指定都市に存在する新幹線駅で在来線と接続していないのは新神戸駅だけだ。全国の政令指定都市の住民で、神戸市民だけが新幹線への乗り継ぎのための余分の運賃を負担している。このような状態を放置しておいていいのだろうか。神戸駅から湊川神社が見えないことを怒るぐらいなら、こちらの方こそ怒るべきだろう。

 この状態を根本的に解消しようとするならば、新神戸駅を三ノ宮へ乗り入れ、在来線と一体化させることが必要であるが、それには莫大な費用がかかり事実上不可能だ。

 これを解消する方法として、以前にも提案をしたが、新幹線の利用者に対して地下鉄の三宮から新神戸の間の運賃を無料にすることを提唱する。新神戸と三宮の間は、距離的には1.5キロ程度であり、元々それほど離れてはいない。地下鉄での所要時間はわずか2分程度だから、駅周辺の導線を適切に改良するならば、地下鉄を「水平エレベーター」のようなものとしての利用が可能となるであろう。

 その効果として、これまで新神戸駅以外の新幹線駅を利用していた人たちの需要を取り戻すことができるようになるだろう。利用客数が増えれば、新神戸駅界隈ににぎわいが増加し、その利用客のための飲食、商業施設等も集積するだろう。そうなれば、今の新神戸駅の手狭な駅舎を大勢の人が滞留できるように拡張する必要も出てくるだろう。また、駅にホテルなども併設されるかもしれない。新神戸駅のターミナルビルも欲しいところだ。

 一方、これに要するコストは、現在、新幹線を利用するために市営地下鉄の運賃を負担している人の運賃を無料にするだけで、新たに新神戸駅を利用するようになる人の運賃は元々発生していなかったものなので、新たな費用が発生することにはならない。もしも効果に確証が持てなければ、社会実験として一定期間の試行をしてもよいだろう。要は、神戸市内に本来ある新幹線利用客の需要を、市内でしっかり受け止めることができるようにすることだ。そして、それは神戸市だけの判断でできることだ。

 また、新神戸駅をもっと利用してもらうよう、神戸市がもっと広報を行い、場合によっては、他のインセンティブ(利用者に対する市内観光施設の割引券、抽選券、粗品(PRを兼ねた地場産品など)の配布など)を設けることも考えられるだろう。

 

 これに対して、現在行っている駅周辺の改良は、見栄えをよくする模様替えのようなものだ。模様替えをすれば利用客は増加するだろうか。何か機能面の改善がなければ、利用者は増加しないだろう。利用者が増えなければ、駅の活性化につながらない。

 久元市長がお題目のように唱える「回遊性の向上」とは駅から徒歩での回遊性だけではなく、市内の交通網を活用した移動の活性化を考えるべきだ。

 

 さらに、筆者は新神戸駅から三宮を経由し神戸空港までを結ぶ交通機関の導入を提唱している。

 神戸は、歴史的に、神戸港東海道本線山陽本線と、交通の中心地として発展してきた都市だ。だから、神戸はこれからも、交通拠点たるべく、その維持、発展に資源を投入すべきだ。なぜならばそれが神戸の都市の発展の源泉だからだ。

 新神戸駅は、これまで神戸市内の長距離交通の拠点とは位置づけられてきたが、もっと新しい位置づけを与えるべきだろう。それは、西日本を代表する交通拠点だ。新神戸駅三ノ宮駅神戸空港と、それらを緊密に結ぶ交通機関を構築し、これを軸に西日本最大の交通拠点の地位を目指すべきだ。

 

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