神戸アリーナ 高まる期待

 2025年春に新港第2突堤で完成を予定する1万人規模の新アリーナ(仮称・神戸アリーナ)について、運営会社One Bright Kobe(ワンブライト神戸、神戸市中央区)の渋谷順社長は、開館当初に当たる「25年の4月から9月までの6カ月間について、いくつかの関係先に需要調査を含めて仮の仮ぐらいの予約を取ったところ、調査の形にもかかわらず一瞬で週末が全部満杯になった」と述べ、興行主による同アリーナへの関心の高さを示した。渋谷社長は神戸商工会議所が3日に開いた、同アリーナとの協業提案に関する説明会で話した。

 

(神戸経済ニュース 2023/8/5)

 

新港2突の新アリーナ「25年4〜9月の週末は一瞬で満杯」 年300万人を目標 - 神戸経済ニュース (kobekeizai.jp)

 

 

(出典:株式会社One Bright KOBE KOBE Arena Project)

「神戸アリーナプロジェクト」2025年春開業に向けて本格始動 (kobearena.jp)

 

 

 2025年春に新港第2突堤で完成予定の新アリーナに対する期待は予想以上に高いようだ。上記の記事によると、開業から半年間の週末は一瞬で仮予約で全て埋まってしまったそうだ。

 

 これまでも、交通条件の素晴らしさから、神戸が大規模アリーナの立地に非常に適していることを指摘してきたが、それが裏付けられた形だ。

 

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 この神戸アリーナは1万人規模の施設であるが、前の井戸兵庫県知事はスポーツの国際大会の誘致も可能な2万人規模のアリーナの建設を構想していた。斉藤知事が構想を凍結してしまったが、ぜひこちらも計画を復活させてほしいものだ。

 

 

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 そのような中、一般社団法人コンサートプロモーターズ協会 関西支部が、「関西地区のアリーナ建設計画に関する声明」を発表した(2024年2月15日)。

関西地区のアリーナ建設計画に関する声明/一般社団法人コンサートプロモーターズ協会:ACPC

 

 同声明は次のように説明する。コロナ禍が終わってエンタテインメント公演が急激に復活し、コンサートの数は過去最高に増加しているが、公演は首都圏に集中しているのが実態である。その要因として関西圏では大規模な会場が不足していることを挙げ、新しいアリーナの建設や開業も首都圏に集中していることから、このままでは首都圏一極集中がますます進み、公演地としての関西飛ばしが発生し、関西のエンタメ産業が衰退してしまう可能性がある。ついては、関西圏でも大規模アリーナの計画を早急に進める必要があるという主張だ。

 同声明によると、関西では現存するアリーナ施設がスポーツ目的で建設されており、コンサート利用には元々制約があり、またコンサート利用に限らず多くの催事にも利用されているため、関西でのスケジュール確保が非常に困難となっているとのことだ。また、大型エンタテインメント・コンテンツのほぼ全てが東京ベースで発信・主導されるため、東京では採算に乗る10000席規模の公演を関西地区で開催すると、移動交通費、宿泊費、運送費等の経費増により採算が取れなくなってしまうとのことだ。こうしたことから、関西圏でもより大規模なアリーナ施設の建設を進めなければ、大型公演の東京一極集中が進む懸念があるという。

 

 その声明に付された「基礎調査データ」を見ると、首都圏と関西圏の2023年上半期の大型公演(スタジアム、アリーナ公演)の動員数、公演数の差が対2019年と比較して開きつつあることが示されている。

 

アリーナ公演

 

スタジアム公演

 

 そこでは、現在、大阪で計画が進められている「森ノ宮アリーナ」を例に上げ、その収容能力が10000席規模となることから、10000席以下の規模の施設では、公演の収支・採算は困難となり、積極的な利用が困難な状況となることを、強く懸念している。ついては、今後の大阪・関西のエンタテインメントおよび文化事業発展の為、大型コンテンツが実現可能な規模感での建設が必要不可欠であると主張している。

 声明の最後に、建設計画の規模の再検討と、エンタテインメント公演事業者と早期に意見交換会・協議の場を設けることを要望している。

 

 

 以上が同声明の内容である。

 

 アリーナ運営によるエンターテインメント事業は、西日本有数の交通の要衝たる神戸市には優れた立地適性があり、その強化はきわめて重要な課題であると考えられ、上記の声明は非常に興味深い。神戸市は、早急に、これらの情報収集にあたり、同協会とも積極的な意見交換にあたるべきだろう。

 

 近時の神戸市は、かつて誇りとしていた、国際都市としての進取の気風を失ってしまったように見える。本来、神戸が持っている優位性に気づかず、神戸を可憐な美しい「地方都市」と位置づけ、地方の小都市の成功事例をお手本とした後追いの「村おこし」のような施策ばかりを行っている。大都市には大都市の役割がある。そのような「村おこし」の施策が大都市を動かす起爆剤になることは決してない。

 神戸の復活は、まず、神戸の持つ優位性に気がつくことだ。自らの自画像を見直すべきだ。

 

 次の言葉は、先の神戸市長 原口忠治郎氏の言葉である。

 

 私は、神戸は未来をひらく都市だと考える。他のどこよりもすぐれた条件に恵まれており、工夫の余地が山ほどあるからだ。問題はそれを生かすかどうかにかかってくる。

 

 我々は今一度、この言葉を思い起こすべきだろう。

 

 

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