元町商店街(元町通)の活性化(2)

元町商店街 東ゲートの夜景)


(5)フォトスポットの確立

 「神戸元町商店街」と聞いて、人々はどのようなイメージを思い浮かべるだろうか。試みに元町通のすぐ南にある「南京町」をその名前で検索してみると、朱塗りの楼門(長安門)や東屋が直ちに表示される。ところが、「元町商店街」と検索してみると、表示される画像は様々で、人々の間でも定まったイメージがないことが推測される。かろうじて東ゲートやアーケードの風景が表示されるが、どれも観光風の写真としてではなく、街の風景の一部として表示されるだけだ。元町商店街の観光地化を考えるのであれば、元町商店街とはこれだといえるような、「名刺」のような光景が必要だ。つまり、元町商店街を観光地だと人々に認識をしてもらうためには、誰もが思い浮かべるようなビジュアルが必要だ。

 現在の元町商店街で他にはない、他と区別するための光景としては東ゲートだろうか。現在ネット上に見かける東ゲートの写真は、そのものを客体として捉えたものではなく、風景の一部として写り込んだものだ。そのような背景としてではなく、きちんとプロの写真家(元町商店街にもいるに違いない)に頼んで、最も美しい姿、最も美しいアングルで、つまり「正装」の写真を用意した方がよい。東ゲートは、ステンドグラスのようで、おそらく夜間に点灯された状態が最も美しいに違いない。よく見ると、ゲートの両サイドの支柱の部分にも、なんらかの装飾が見て取れるが、夜間にはよく見えない。せっかくの装飾なのだから、支柱も含めて、適切にライトアップすればなお美しいのではないか。このように、東ゲートをできる限り美しく飾り、最も美しい状態で、まさに「奇跡の一枚」という写真を撮って、その写真を広く流布すべきだ。そうすると、人々がその美しい姿を見物しにやってくるだろう。元町商店街の南側には南京町の楼門、東側を眺めると旧居留地の西北端に建つ大丸百貨店の壮麗で美しいライトアップされた姿を見ることができる。このスクランブル交差点から北を眺めると山腹に大きな碇(いかり)マークの電飾がしつらえられた碇山が見える。南側にはメリケンパークの北東端が見え、帆船などが停泊していると、帆柱が見えることがある。このユニークな交差点は、もっと人々の注目を集める可能性があるように思う。元町商店街も、その有力な一角として、その光景作りに一役買うべきだろう。

 この東ゲートだけでなく、人々がここが神戸元町商店街であると認識できる光景づくりに努めることが必要ではないだろうか。その一つの素材として、西ゲートがある。西ゲートは壮麗な東ゲートと異なり、いたって簡素なものである。元町商店街(元町通)の役割として、三宮地区と神戸駅ハーバーランド地区を結ぶ東西の回廊とすることを前回記載したが、そのためには、神戸駅ハーバーランドから歩いて元町商店街の西ゲートまで来てもらうことが大切だ。したがって、その入り口となる西ゲートも東ゲートに負けないだけのインパクトのあるものに置き換えるべきだろう。西ゲートは西向きだから、西日を活かしたステンドグラスのようなものはどうだろうか。そして、東ゲートと同様に、「正装」の写真を撮り、広く周知をする、そして、両者に印象に残るネーミングをして、観光スポット化する。人々が集まって、そこで記念撮影をするぐらいのフォトスポットになればよいと思う。

 また、商店街の内部にも、南京町の東屋のような誰もが思い起こすような印象的なモニュメントを設置することも考えられる。昔、そごう神戸店の正面広場にあったような、時計仕掛けの人形などどうだろう。こうしたモニュメントの設置に神戸文化をはぐくんだ、元町商店街の審美眼を大いに発揮してほしい。

 

(5)明るさの向上

 元町商店街は、4丁目以西は、3丁目以東と比べて明らかに暗い。この明るさの不足は、商店街の人通りの差から起因したものかもしれないが、今後、神戸都心の東西の回廊を目指す上では、是非とも改善すべき課題だ。神戸市は、「人口減少対策」として街の明るさの向上に取り組んでいるが、このような中心部の繁華街にもその考えを適用すべきだ。街全体の発展の背骨ともいうべき、元町通の西半分を、このような薄暗い状態に放置しておいてよいはずがない。まずは、明るく、華やかな雰囲気にすれば、その先に神戸駅ハーバーランドがあるのだから、自然と人の足は伸びるはずだ。そして、その間を神戸ゆかりの魅力的な商店や飲食店を統一的、集中的に誘致すれば、自然と元町商店街は、神戸文化を代表するゾーン、まさに「神戸の良さは元町に」となって、市内はもとより全国、世界から人々が訪れる街になるに違いない。

 

(6)まとめ

 以上のように、神戸の現在の交通の中心地である三宮には、時代の最先端を目指す国際的、全国的なブランドを集めて、過去にとらわれない最新の街づくりを行い、元町通は、これまで育んできた古くからある神戸のハイカラ、モダン文化を次世代につなぐ場として役割を明確に分け、それぞれの方向性にそって、協調して質を高め、量を拡げていくようにするのがよいのではないかと考える。

 現在、神戸は三宮を中心に、西日本最大の広域交通の中心地を目指して、神戸空港、西日本最大級のバスターミナルなどの整備を行っている。これにより、再び広域から神戸に人が集まるようになるだろう。これを三宮の中心部だけにとどめることなく、元町、神戸・ハーバーランド、新開地にまで効果を及ぼさなければならない。その回廊として、元町通の役割は極めて大きいと考える。そして、伝統ある神戸文化を育んだ街として、決して下町などに流れずに、国際港湾都市神戸の真髄・精華として、全国、否、世界に名を轟かせてほしい。

 

 

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元町商店街 東ゲート前、大丸前交差点から南(メリケンパーク)を臨む)

 

(美しい旧居留地の高級ブランド街)