人口減少が都市間競争に与える影響のモデル

 国全体の人口が減少する傾向となった場合、それが都市に与える影響を考える時に、どのようなモデルが考えられるだろう。

 国全体の人口減少は、国土全体の地盤沈下にたとえられるだろう。

 国土全体が均等に沈下をしていくならば、低いところから水面下に水没していく。この場合、人口密度、経済的集積が高いほど標高が高いと想定する。

 国土全体が一様に沈下して行った場合、標高の低い地域から水没していく。その場合、局地的には、水没しかかった地域を捨ててより標高の高い都市に集約しようとする動きが生じるだろう。その結果、全体として水没しながらも、局地的にはより集積を強める動きも生じる。水没しかかった都市では、自然に水没するのを待つことなく、地盤沈下が加速し、さらに水没が早まるかもしれない。このように、国土全体が地盤沈下を起こす場合、沈下を早める地域と、標高を高める都市との二極分化を生じさせる傾向がある。結果として、都市の淘汰が進んでいく。したがって、各都市としては、できるかぎり地盤沈下を防ぐため、他都市よりも少しでも頭を高くするように努めなければならない。つまりは、各都市間に生き残り競争が生じるのだ。

 その様子は、巨大な船が沈んでいく姿にもたとえられる。船が浸水し、傾いていくと、乗客は低いところを脱して、より高い方に集中しようとするだろう。

 国の人口動態の変化は、もっと長期間のものだが、全体として人口が減少していくと、これと同様の動きが生じるだろう。そして、今、そのような動きが徐々に現れつつあるのだと考えられる。

 このモデルで考えると、神戸市は、「人口減少社会にふさわしい都市作り」などとのんびり構えていていいものだろうか。