神戸空港 国際線誘致の状況

 神戸空港は2025年4月から国際チャーター便の運航が解禁されるが、実際に就航する国際便は、どのような就航先となるのだろうか。

 朝日新聞では、このままいけば有力な就航先は韓国と台湾だけになるとの見方を紹介しており、神戸空港国際化について不安をあおる記事を掲載している。

 最近の神戸空港国際化に関する報道記事を拾ってみた。

 

 神戸空港へ国際便を就航させようと、アジア各国にはたらきかけてきた神戸市が、対象国側への支援金拠出を2024年度は見送る方針を固めた。誘致方針を見直した。空港の国際化は25年に迫るが、このままいけば有力な就航先は韓国と台湾だけになるとの見方もある

 

朝日新聞 2024/2/2)

 

 神戸市の今西正男副市長は7日の神戸市議会本会議で、2025年4月からの神戸空港での国際チャーター便就航に向けて、神戸空港に国内線を就航させているANAホールディングス傘下の全日本空輸(ANA)や、スカイマークと同市が意見交換したことを明らかにした。(略)

 今西氏は上畠寛弘議員(自民)の一般質問に答弁した。11月22〜25日に坊恭寿議長を含む神戸市議の議員団が台湾を訪問し、台湾の交通部(国土交通省に相当)と現地航空会社から神戸空港に対する高い評価を得たことについては、「台湾人観光局の約9割が訪日回数2回以上のリピーターであり、台湾は大きなマーケットの1つ」「国際チャーター便の誘致に向けて、非常に力強い後押しになると感じている」と述べた。

 

(神戸経済ニュース 2023/12/8)

 

 関西3空港を運営する関西エアポートの山谷佳之社長は5日に開いた2023年4〜9月期決算の記者会見で、神戸空港への就航する国際便について「具体的な検討段階の前の段階では(準備が)始まっている」と現在の状況を説明した。「具体的に何かを検討しているかは、まだ私の耳には届いていない」とする一方で、航空会社からの「問い合わせは少なからずある」と明かした。

 神戸空港は2025年の国際博覧会(大阪・関西万博)に合わせて、国内線の発着枠が1日120便に拡大(現在は80便)したうえで、国際チャーター便を就航させることで経済界や関係自治体が合意した。「この方向で進んでおり、エアライン(航空会社)も頭に入っていることかと思う」との認識を山谷社長は示した。

 国際チャーター便の就航に向けて、神戸市は神戸空港島にサブターミナルを建設中。関西エアポートには「本当に国際チャーター便が可能になるのか、あるいはターミナルの建設が間に合うのか、また国内についてはどうか、みたいな問い合わせ」が入っているという。具体的な話は出ていないが、関心を持っている航空会社は少なくないとみているようだ。

 

(神戸経済ニュース 2023/12/7)

 

 韓国の航空大手大韓航空は24日、神戸空港への就航に意欲を示した。同空港は2025年に国際チャーター便、30年前後の国際定期便の就航を見込む。昨年5月に尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が就任して以降、日韓関係の改善が進展。人的交流がさらに活発化すれば、双方の観光客を安定的に運ぶことができると期待する。「国際化されて最初の路線は、ぜひ韓国に」とアピールした

 

神戸新聞 2023/8/26)

 

 神戸空港で2025年春に運航が解禁される国際チャーター便について、神戸市が東アジア・東南アジアの計7カ国・地域に照準を定め、誘致を目指していることが分かった。旅行会社を対象にした視察ツアーを企画するなど海外での知名度アップも狙い、30年前後に迫る国際定期便の就航に向けて弾みをつける。

 

神戸新聞 2024/1/6)

 

 市はこれまで韓国、台湾、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシアシンガポールの7カ国・地域に照準をあわせ、現地の旅行会社などと交渉し、就航を促してきた。東南アジアでは神戸の認知度は高くないとして、市は年間数億円規模の予算を計上して対象国の旅行会社に一定の支援金を出し、旅行代金を抑えられるようにする考えだった。

(略)

 市は結局、新年度予算では旅行会社への支援金の原資を計上しないことにした。30年ごろの定期便就航を目指し、航空会社との交渉に力を入れるという。

 一方、神戸への観光需要がもともとある韓国、台湾からは、25年の就航の可能性が高いされている。大韓航空は取材に対し、「韓国人から見て神戸をはじめ関西地域は大変人気のある目的地。(就航を)前向きに検討する。」と答えた

(略)

 

朝日新聞 2024/2/2)

 

 神戸空港のセールスポイントは、国土軸沿いにあって、都市部に近く、最寄りの新幹線駅への距離が短く、時間・費用とも少なく済むこと、風向明媚であることなど、枚挙に暇がない。交通機関は合理性が貫徹するものだから、すでに神戸空港は十分な優位性を持っている。また、東南アジアの交通関係者の中で神戸の知名度が低いとも思えない。(たとえば、2023年5 月にACI(国際空港評議会)アジア太平洋地域総会は神戸で開催されている。)

 支援金が必要なのは、こうした合理性を欠く場合である。おそらく市の当局は、支援金を用いずとも十分に路線の誘致が可能だと判断したのだろう。

 冒頭の記事が書くように、「有力な就航先は韓国と台湾だけになる」と書いているが、韓国と台湾だけでも十分な利点があるのだが、先行きについては心配する必要はないと考える。