神戸市長選 久元氏が3選

 神戸市長選は31日投開票され、自民・立憲・公明・国民が推薦した現職の久元喜造氏(67)が3選を果たした。投票率は53・85%(前回47・58%)だった。

(2021/11/1 朝日新聞

 

 10月31日、神戸市長選挙が行われ、久元氏が3選を果たした。

  久元 喜造   439,749
  鴇田 香織    69,648
  中川 暢三    59,857
  岡崎 史典    59,722
  酒谷 敏生    20,269

  無効       22,082

   投票総数   671,357

 ※ 有権者数 1,248,191

 

 久元氏は史上最多得票での当選ということだが、市民全体から熱烈な支持を受けて当選したと言えるのだろうか。

 今回の選挙では、現職の久元氏が全方位にわたる網羅的な政策を展開したのに対して、これに競合できるだけの政策を打ち出せる対抗候補者が現れなかった。そのため、久元市政の実績に対する議論や政策論が戦わされることもなく、きわめて低調な選挙戦に終わった。市民にとっては選択肢がなかったと言ってよいだろう。

 実際、久元氏以外の候補者に投じられた票は、合計で209,496票と久元氏の得票数の約半数に相当し、有力な対抗候補者がいなかったにしては、かなりの数に上っている。これは、久元市政を支持していない市民もかなりの数が存在していることをうかがわせる結果である。それは、大幅な人口減少が続き、京都、大阪はもとより周辺都市にも遅れを取り、地盤沈下が著しい神戸市を活性化するという最大の課題に対して久元市政が有効な手を打てていないことから来ているのではないだろうか。

 

 当選後の会見で、久元氏は、神戸市の最大の課題は「人口減少」であると指摘したとのことだ。

 

 神戸市の最大の課題は「人口減少」だと改めて指摘。「全国的な課題ではあるが、神戸の場合はより強く意識しなくてはならない」とみている。1960年代に計画的な街づくりが始まる前に、無秩序に開発された山麓部で人口減少が顕著。加えてニュータウンのオールドタウン化もある。「腹をくくって、思い切ったことをやっていかなくてはならない」「これまでの取り組みは不十分」と決意をみせていた。 

(2021/11/1 神戸経済ニュース)

 

 久元市政のこれまでを振り返ると、久元氏は、2013年の市長就任後は神戸市の人口減少について、「人口規模を追わない」として、問題視しない姿勢であった。その後、2019年7月に総務省が発表した住民基本台帳に基づく人口動態調査で神戸市の人口減少数が全国のワースト1となるに及び、ようやく重い腰を上げ、「人口減少対策」に取り組み始めた。「リノベーション・神戸」と銘打ち、第一弾として市内の街灯、防犯カメラの増設、第二弾として名谷駅や西神中央駅、垂水駅など郊外の主要ターミナル周辺のリニューアルなどの施策を打ち出した。

 しかし、久元氏の基本的な姿勢は、神戸市の人口減少の最大の原因は「東京一極集中」であると指摘した(2019/7/11 記者会見)ように、なお、神戸市が抱える固有の問題について目を向けようとしなかった。

 そしてこのたび、「神戸市の最大の課題は「人口減少」」との表明に至り、「人口減少という全国的な課題を神戸はより強く抱えていると改めて感じた」、「これまでの取り組みは不十分。よほど腹をくくって思い切ったことをやらなければならない」(2021/11/2 朝日新聞)と述べたと伝えられている。

 神戸市の人口減少問題は、我が国全体の少子高齢化による人口減少の傾向と、もう一つの要因、こちらこそが重大な問題であるのだが、神戸市の大都市としての求心力の低下とが合わさって生じている現象である。人口減少はすべての大都市で起きているわけではない。福岡市や川崎市大阪市など、人口集中が続いている。このことは、多くの人々が気づき、指摘をしてきたことだ。

 久元氏は、当初、人口減少問題の原因を人口減少社会と東京一極集中と捉え、神戸市固有の問題については認識が不十分であった。ここに来てようやく、神戸市は人口減少の課題をより強く抱えていると、神戸市固有の要因があることを認識するようになった。正しく認識することは、正しい行動のために不可欠なことだ。2期8年をかけて、ようやくスタートラインについたようなものだ。

 

 では、その神戸市の固有の要因とは何であると考えているのだろうか。

 久元氏は、「人口減少は全国的な課題だが、神戸はより加速する要因を持っている。斬新でボリューム感ある政策を行わないと全国平均以上に加速していくことは間違いない」(2021/11/3 朝日新聞)と述べている。神戸が有する、人口減少が加速する要因とは何なのか、もっと具体的に示して、議論を加速してほしい。

 

 

 

 

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