人口減少数 神戸市がワースト1に(その2)

 神戸市がほかに比べて減少数が多かったというその要因についてという記者からの質問に対して、久元市長は次のとおり答えた。

 一番大きな原因は、東京一極集中です。東京23区の人口が大きく増えています。そして、東京と隣接する川崎、これも前もご説明をいたしましたけれども、東京の23区、大田区と世田谷区、多摩川を挟んですぐ対岸にある武蔵小杉に高層タワーマンションがたくさん増えて、人口が増えています。東京圏につきましては、全ての都市がプラスになっています。

 あわせまして、各ブロックの中心市に人口が、それぞれのブロックから人口は集中する傾向にありまして、北から言いますと、札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡の人口が伸びています。関西圏につきましても、関西圏全体ではマイナスですが、大阪市の人口増加が際立っていて、京都市堺市、そして神戸市が人口がマイナスになっている。そういうような全国的な人口移動の要因、そういう人口増が見られる都市のタイプに神戸市が入っていないということです。これが一番大きな要因だというふうに思います。

 2番目に、やはり神戸市は戦後大きく人口が伸びたわけですが、市街地面積が非常に少ない、可住地面積が少ないので、山麓部が無秩序に開発をされていきました。昭和40年代半ばの線引きの前に、なかなか開発適地と言えないようなところが開発をされていった。これが、今、相当空き家が増え、あるいは老朽危険家屋が増え、そこから人口が流出をしているということですね。

 それから、もう1つは、昭和30年代に入りまして、神戸市はこういう状況を改善しようとして、計画的に郊外の団地開発を進めました。山、海へ行くという大変評価された方法で郊外に団地をつくり、そこから生み出される土砂でポートアイランド六甲アイランドなどをつくっていったわけです。このニュータウンがオールドタウン化しています。もう既に40年以上の歳月が流れて、オールドタウン化している。そこからも人口が流出をしている。つまり、これら2つのエリアからの人口流出ということが今同時に起きているというふうに感じています。

 

 久元市長は、最大の原因は「東京一極集中」であると述べている。これを最大の理由ととらえるなら、神戸市だけではどうしようもない、せいぜい国に対して東京一極集中の是正を要望するにとどまらざるを得ないだろう。

 神戸市の特殊要因として、戦後の山麓部の開発の老朽化、ニュータウンのオールドニュータウン化を第二の原因とすると、山麓部の廃屋の解体、ニュータウンのリニューアルという施策が出てきたのも肯(うなづ)ける。

 しかし、本当の原因はそういうことなのだろうか。市街地の老朽化等で人がその地域から出ていくとしても、どうして、その人たちは市内にとどまらないのだろうか。また、ニュータウンから人が流出するとしても、どうしてそれを補うように人が流入しないのであろうか。十分な住宅需要があれば、街のリプレイスは自然に行われていくはずだ。神戸のニュータウンは、元来は神戸都心のベッドタウンとして開発されたので、大阪のベッドタウンとしては人気がないのは当然だ。大阪のベッドタウンとして明石と競り合おうとしても分が悪い。

 人口の社会減(転出>転入)がどうしておきるのかということを突き詰めて考えないと、事態を表面的に理解するにとどまり、的外れな対症療法、施策しか出てこないのではないだろうか。