斉藤兵庫県知事に対する内部告発問題(2)

地方自治法

 

第百条 普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の事務(略)に関する調査を行うことができる。この場合において、当該調査を行うため特に必要があると認めるときは、選挙人その他の関係人の 出頭及び証言 並びに 記録の提出 を請求することができる

② 民事訴訟に関する法令の規定中 証人の訊問に関する規定は、この法律に特別の定めがあるものを除くほか、前項後段の規定により議会が当該普通地方公共団体の事務に関する調査のため選挙人その他の関係人の証言を請求する場合に、これを準用する。(略)

③ 第一項後段の規定により 出頭又は記録の提出の請求を受けた選挙人その他の関係人が、正当の理由がないのに、議会に出頭せず 若しくは 記録を提出しないとき 又は 証言を拒んだときは 、六箇月以下の禁錮 又は 十万円以下の罰金に処する

④~⑥ (略)

⑦ 第二項において準用する民事訴訟に関する法令の規定により宣誓した選挙人その他の関係人が 虚偽の陳述 をしたときは、これを三箇月以上五年以下の禁錮に処する

⑧以下 (略)

 

 

 斉藤兵庫県知事に対する内部告発は波紋を広げ、ついに、地方自治法に基づく百条委員会が設置されるに至った。「百条調査」は、出頭や証言の拒否、虚偽の陳述に対して禁錮や罰金という刑事罰も科せられるという強力な調査である。その強力さ故、実際にこれが発動されることは極めて希(まれ)であり、兵庫県では、約半世紀、実に51年ぶりの開催であるという。「百条委員会だけは」ということから、なんとかこれを回避しようという動きがあったのは、こうした事情からだろう。

 

 今回の内部告発で問題となっている斉藤知事の違法行為、県庁職員に対するパワハラ行為の疑いについては、日を追って、次々と告発内容を裏付けるような証言が報じられる事態となっている。

 斉藤知事の説明では、今回の告発に対する人事当局の調査は「一定」客観的な調査で、告発された事項は「核心的な部分で」事実無根と言うなど、妙な留保が付けられていることが注目される。つまり、文字通りの意味の「事実無根」(証拠も根拠もなく、でたらめであること。根も葉もないこと。出典「学研 四字熟語辞典」)ではなく、基本的には事実であるが、核心的部分は事実ではない、と言っているように聞こえる。その核心的部分とは何だろうか?「そんなつもりではなかった」ということなのだろうか。もしかすると、知事本人も、調査は客観的でなく、事実無根ではないことをわかっているのではないだろうか。もし、そうであるとすれば、告発した職員を懲戒処分に処したことについては「職権の濫用」という別の問題が生じる。

 

 前回も記したが、このたびの内部告発を行った者に対して懲戒処分を行ったことは、通報を行った者に対する不利益な取扱いを禁じる「公益通報者保護法」に違反している。処分を取り消し、名誉の回復を図るべきだ。

 

 斉藤知事は勘違いしているのではないか。

 兵庫県知事は、兵庫県民から県民のために兵庫県庁の運営を委ねられた者にすぎない。しかるに、選挙で選ばれた兵庫県知事は兵庫県の絶対権力者であって、兵庫県庁はすべて自分の物だと思い、職員は県知事の使用人であって、県知事である自分に対して絶対服従すべきである、と思っているのではないか。そんな考えの中では、職員が自分を批判することは「あるまじきこと」、「公務員倫理に反すること」と思うのではないだろうか。

 兵庫県庁舎の建設計画の凍結など、県庁に対する恣(ほしいまま)も同根のものだろう。

 

 兵庫県庁は兵庫県民のものだ。兵庫県知事の私物ではない。県庁舎や行政機構、県職員は、これまで先人が営々と築き上げてきた県民の財産だ。他人の財産は丁寧に扱うものだ。県民の財産を軽々しく、乱暴に扱うのはやめてもらいたいものだ。

 

 

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