人口減少数 神戸市がワースト1に(その4)

 神戸市の人口減少に歯止めがかからず、7月10日に総務省が発表した住民基本台帳に基づく人口動態調査では、日本人住民の人口減少数で全国一になったと報じられた。神戸市の「地盤沈下」は誰の目にもあきらかになってきている。このニュースそのものが、先の福岡市、川崎市との人口逆転に続く大きなショックとして、神戸市のブランドを大きく傷つけ、さらに人口減少に悪影響を及ぼすことになるおそれがある。さらに、今後は、マンション規制で、人口増加の中心であった中央区の人口増加も停止するだろうから、人口減少はもっと鮮明にあらわれてくるだろう。

 

 阪神淡路大震災以後、神戸市は、苦境の中にありながらも、神戸空港、医療産業都市、スパコンなど、将来の発展の礎となる事業については、着実に建設を進めてきた。そのため、かろうじて第一線の都市として踏みとどまっていた印象であったが、最近の神戸市のイメージは、もはや先進都市とは言いがたい。

 久元市長は、「輝ける未来創造都市」をうたって市長に当選したたはずだが、実際に取り組んだことはどうだっただろう。レトロなクラシック趣味、歩きやすい街を目指す「三宮クロススクエア構想」、農村部の茅葺き民家や農村部の農産物に「神戸」の名を冠してのアピール、「下町神戸」、「BE KOBE」の村おこし政策の数々、過疎の町のような「移住プロジェクト」、ひいては人口減少社会の過度の強調 等、神戸市の先進都市のイメージは急速に色あせてしまったように思う。

 

 「神戸ブランド」は、都市の繁栄に裏打ちされた、人々のあこがれによって作り出されたものだ。神戸の名前そのものにあこがれがあるわけではない。神戸と名前がつけば人があつまると考え、手当たり次第に、「神戸」の名前を冠し、事業に手をつけ、結果的に人々の神戸ブランドに対するイメージを傷つけている。もっと「神戸ブランド」の内容を精査し、長年の先人の遺産として大切にすべきではないだろうか。

 都市のブランドは一朝一夕にできるものではない、何十年にも及ぶ努力と成功に上に築かれたものだ。ここ数年で、「先進都市」としての神戸の都市ブランドは大きく揺らいでいる。神戸市は、以前のような、あこがれをもって見られる都市ではなくなりつつある。いったん失われたブランドを再び確立するためには、過去の成功に類する成功を収めなければならないが、それはきわめて難しいことだ。だからこそ、神戸ブランドの重みを十分認識するべきだ。