神戸市はなぜ人口減少都市となったのか

  神戸市は平成24年から人口減少に陥っている。平成25年11月に就任した久元市長は、それに対して有効な策を講じることができないでいる。

(神戸市の人口動態)

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 人口減少に陥っている要因を見ると、たとえば平成30年では、自然増減が△5,074人、社会増減が+22人、合計で△5,052人の減少となっている。つまり、神戸市の人口の減少は死亡数が出生数を上回る自然減によるものだということになる。この問題に対して、久元市長が、「人口減少社会」、「人口減少対策」と言うのは、一見もっともであるが、果たしてそうだろうか。

(大都市の人口増減 平成29年)

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 神戸市の人口の増減は、国内20大都市のうち、平成29年は19位で、神戸市より下位は北九州市のみである。この表を見ると、自然増減がプラスであるのは、福岡市、川崎市さいたま市の3市にすぎない。残りの17市は、やはり少子高齢社会を反映して自然減の状態である。しかし、それが直ちに都市の人口減少に結びつくわけではなく、20都市のうち、13市は人口増加となっている。人口増加となっている理由は社会増が自然減を上回っているからである。

 つまり、都市の人口の増減をみる場合に、少子高齢社会は全体の基調ではあっても、社会増減の状況の相違が各都市の状況を左右していることがわかる。

 

(神戸市の人口動態の趨勢)

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※ 趨勢をわかりやすくするために平成7~8年度は表示していない。

 

 上記のグラフでは、棒グラフは神戸市全体の人口の増減を表し、青線は自然増減、赤線は社会増減を表している。

 神戸市の自然増減は平成19年から減少局面に入っているが、人口減少となるのは平成24年からである。平成19年から23年までは自然増がそれを吸収した形となっている。神戸市が人口減少に陥るのは、社会増が自然減を吸収しきれなくなったということだ。

 ここで注目すべきは、赤色の社会増減が長期にわたって低落傾向にあることだ。仮に、社会増が現在においても平成初年度と同等の水準にあるならば、神戸市は未だに人口減少に見舞われることはなかったであろう。

 人口減少は我が国全体の傾向なので、自然減は神戸市単独ではどうにもならない面がある。しかし、社会増減は、他の人口増加都市のように、その都市の政策如何によっては動かすことができる要素なのだ。

 神戸市の自然増減がマイナスに転じるのは、我が国全体に共通する問題である「少子高齢社会」を反映したものなので、ある意味、やむを得ない現象である。だから、本当の問題は、神戸市の社会増減が長期にわたって低落傾向にある、すなわち、神戸市の都市の活力、具体的には都市の経済活動が不振に陥っていることなのだ。

 しかるに、久元市長は、ことあるごとに「人口減少社会」を唱え、それに対する対応を「人口減少対策」と呼ぶ。「人口減少社会」は、極論すると、神戸市だけではどうにもできない問題である。しかし、都市の活力の向上は神戸市の努力によってなんとかすることができる問題だ。なんともできない問題をクローズアップし、なんとかできる問題を閑却するならば、責任を覆い隠し、問題をミスリードすることになるだろう。まず、この点を明らかにして問題に取り組まなければ、神戸市は低迷から脱することができないだろう。