久元市長 就任6周年インタビュー

 久元市長が、就任6年を迎えるにあたって、神戸新聞社のインタビューに答えた。

 これまでの成果について、三宮再整備が実行の段階に入ったこと、大阪湾岸道路西伸部の本格着工、神戸空港規制緩和を挙げる一方、「人口減少の幅が拡大している。公約の大半は実現できたが、神戸市政が順調に進展しているとは言えず、申し訳ない。強力な人口減少対策を打ち出していかないといけない」と述べ、強力な対策として、駅前開発、里山居住の推進を挙げた。

 また、外郭団体や教育委員会の不祥事について、「近年、大きく批判されてきたことの多くは、神戸市政で長く行われてきたこと」として、『株式会社神戸市』と呼ばれた宮崎市政の手法が「負の遺産」になっている、これを一掃して職員が政策を展開できる条件をつくらない限り、神戸の閉塞感を打破できないと述べ、庁内の組織改革に取り組む姿勢を強調した。

 

 このインタビューで注目すべきは、久元市長自身が神戸(市政)に「閉塞感」があると認識していることを吐露していることだ。「閉塞感」とは、「閉じふさがっている感じ。また、比喩的に、閉じふさがったように先行きが見えないさま。」(デジタル大辞泉)という意味だ。つまり、久元市長自身が、神戸の現状について打開策が見いだせていないということを表している。そして、その原因が有効な政策を展開できない神戸市役所の組織にあると認識しているということだ。

 神戸が閉塞しているのは市役所の職員が打開策となる政策を展開できる条件がないからだ、打開策を展開させるためには、宮崎市政の「負の遺産」を一掃しなければならない、という論理展開だ。

 しかし、本来、市政の政策の方針を示すのは市長の役割なのではないかと思うが、そもそも久元市長に閉塞感を打開する政策の方針はあるのだろうか。自ら打開策の方針を有していないなら、打開策を考えない市の組織の問題だと主張するのはどうなのだろうか。

 また、本当に打開策はないのだろうか。市民や団体から様々な提案がなされている。本当は答があるのに、これを取り上げていないだけなのではないのだろうか。

 かくして、戦線は拡がっていくが、そもそも方向が違っているのであれば、決して解決に向かうことはないだろう。