幻の神戸沖国際空港計画案

 運輸省航空局が、昭和45年度までに実施した関西国際空港の計画に関する調査の結果をまとめた「関西国際空港計画に関する調査概要」(昭和46年9月)を読んでみた。そこには、幻となった神戸沖国際空港の計画案が示されていた。

 f:id:firemountain:20191019221146j:plain

 

 神戸沖国際空港は、同調査では関西国際空港のいくつかの候補地の中で、「ポートアイランド沖案」と呼ばれていたが、ここでは「神戸沖国際空港」と呼ぶ。まず、神戸沖国際空港の位置は、上図のとおりであった。現在の神戸空港よりかなり沖合にあることがわかる。

 神戸沖国際空港は、段階的に整備される計画で、第1期から第4期にわたって建設されることになり、最終的には滑走路6本の巨大な空港となる計画であった。全体完成時には、さらに沖合に張り出すことになり、神戸沖というよりは、大阪湾の中央部と言ってもよいぐらいだ。

 

 その平面図は次のとおりであった。

f:id:firemountain:20191019221316j:plain

 計画では東西方向に4,000mの滑走路が4本、それを横切る形で3,200mの2本の横風用滑走路が配置されていた。

 空港と本土とを結ぶ交通施設として、ポートアイランドからは道路が、和田岬からは鉄道敷設が構想されていた。海底の土質が軟弱で橋梁ではその基礎の構築が難しいことから、これらは沈埋型のトンネルが想定されていた。

 ポートアイランド内のシールド工法等の普通工法をとる区間は0.6km、沈埋区間4.5km、空港側取り付け区間0.8kmと、総延長5.7kmであった。沈埋トンネル施工部分の水深はマイナス14mで、海面からの水深もマイナス14mを維持することとされていた。トンネルは、コンクリート方式と鋼殻方式の2方式が検討されていた。

f:id:firemountain:20191019221441j:plain

 

f:id:firemountain:20191019221523j:plain

 

 鉄道も沈埋トンネルで建設され、和田岬付近から、和田岬付近の取り付け区間0.8km、沈埋区間5.1km、空港側の取り付け区間5.9km、合計11.8kmであった。

 

f:id:firemountain:20191019221710j:plain

 

 

 その後、この神戸沖国際空港案は、実現することはなく、泉州沖に関西国際空港が建設されることになった。

 そして、より小規模ではあるが、神戸空港が平成16年に開港することになった。この神戸沖国際空港計画が実現しなかったことは非常に残念ではあるが、いずれ現在の神戸空港を基礎にして新しい神戸沖国際空港が誕生することになるだろう。この神戸沖国際空港計画案を理想型とするならば、それが実現するまでには時間がかかるだろうが、長期的な視点で見れば、水が低きに流れるように、あるべき姿に修練をしていくことになるだろう。

 

 

firemountain.hatenablog.jp

 

 

firemountain.hatenablog.jp

 

 

firemountain.hatenablog.jp

 

 

firemountain.hatenablog.jp

 

 

firemountain.hatenablog.jp