WDBホールディングスが神戸に本社移転

 

 理系研究職の人材派遣大手、WDBホールディングス(HD、姫路市)は14日、神戸・旧居留地で建設中の自社ビルに、今年10月、本社を移すと発表した。事業拡大を目指す中、神戸への本社移転により、関西全域からの人材獲得を図る。

 

神戸新聞 2025/5/14)

 

 姫路に本社を置く人材派遣大手のWDBホールディングス株式会社が、今年の10月に本社を現在の姫路市から神戸市へ移転すると発表した。

  同社は、旧居留地内の江戸町に地上9階地下1階建ての自社ビルを建設し、本社を姫路市から神戸市に移すとともに、市内にある同社や関連会社の事業所を移す。同ビルでは数百人が勤務をすることになるそうだ。

 神戸市は、近年、都心部での企業誘致に力を入れているが、これまで発表されてきた実績では、従業員数が数人から10人未満の小規模の事業所の場合が多かったように思われる。そうした実績から考えると、今回のWDB社の神戸進出は、かなり大規模なものであり、神戸市の企業誘致政策にとって大きな成果であると評価されるだろう。

 同社の新本社ビル(写真)は、洋風の近代建築が建ち並ぶ旧居留地にふさわしく、外壁は石造りで、上部に装飾を戴く石柱が巡らされ、特に南面にはコリント式の円柱が用いられ、クラシカルで重厚なデザインである。旧居留地内で新しく建設されるビルは、周囲の景観になじむようクラシカルなデザインが選択されることが多いが、これほどまでに忠実に大正・昭和初期の近代建築が再現されることは稀である。既存の他の周囲の近代建築と比べても遜色がない程であり、現代においても、このような建築物が建設されうるということに驚きを覚える。その重厚な佇まいは、旧居留地に新たに本社を構え、大きく飛躍しようとする同社の意気込みを感じ取ることができる。今後、旧居留地内にこのような建築物が増えていけば、旧居留地、神戸の都市ブランドが一層高まるに違いない。

 

 神戸に本社を移すにいたった理由について、同社は次のとおり説明している。

 

 当社は、事業の更なる成長と企業価値の向上を目指し、本社を現在の姫路市から神戸市へ移転することを決定いたしました。

 神戸市は、新幹線、JR、私鉄、空路、高速道路網が充実しており、関西圏における交通の要衝であるため、広域アクセスに優れております。神戸市は多様な産業が集積する経済活動の中心地であり、既存顧客および潜在顧客への迅速なアクセス、並びに当社各拠点との連携強化や、新たなビジネスチャンスの創出、事業提携先の開拓にも有利な環境であると判断いたしました。また、神戸市は兵庫県内でも有数の人口を擁する都市であり、多様なスキルと経験を持つ人材が豊富に存在することを考慮いたしました。近隣の大阪や京都からの通勤も容易であり、より広範な人材プールへのアクセスが可能となります。

 神戸市の持つ都市としての魅力や多様なライフスタイルへの適合性は、従業員の満足度向上および優秀な人材の獲得に寄与するものと考えております。本社を神戸に移転することにより、当社グループの企業イメージ向上を図り、より一層優秀な人材を惹きつけることにより、今後の持続的な企業価値の向上を目指してまいります。 

 

( WDBホールディングス株式会社「本社移転に関するお知らせ」 2025/5/14)

 

本社移転に関するお知らせ

 

 これを要約すると次のとおりである。

(神戸を選択する理由)

1)神戸市は、新幹線、JR、私鉄、空路、高速道路網が充実しており、関西圏における交通の要衝であるため、広域アクセスに優れている。

2)神戸市は、多様な産業が集積する関西圏における経済活動の中心地の一つである。

3)神戸市は、兵庫県内でも有数の人口を擁する都市であり、多様なスキルと経験を持つ人材が豊富に存在する。また、近隣の大阪や京都からの通勤も容易であり、より広範な人材プールへのアクセスが可能である。

4)神戸市の持つ都市としての魅力や多様なライフスタイルへの適合性。

当社グループの企業イメージ向上を図り、より一層優秀な人材を惹きつけることにより、今後の持続的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

(本社移転の効果)

 企業イメージ向上を図り、より一層優秀な人材を惹きつけることにより、今後の持続的な企業価値の向上を目指す。

 

 

 上記のような理由、効果を想定して、本社を神戸市に移すことを決めたということである。

 これを、さらにまとめると次の3点に絞られる。

1)神戸は関西圏(西日本)の交通の要衝であること

2)関西圏の経済活動の中心地の一つで、圏域全体からの顧客や人材の獲得が可能

3)神戸の都市としてのアメニティ(快適性)の高さ

 

 

 これが、企業にとっての神戸市の魅力ということになるだろう。

 注目すべきは、2)の項目である。つまり、神戸が「関西圏にある」ということである。これは、当たり前のことだが、広島や仙台などの地方ブロック都市が有していない特徴だ。関西圏にあるということは、大阪や京都との競合が生じる反面、大阪や京都の人的、物的、文化的資源を共有できることであり、大きな利点でもあるということだ。そして、神戸は「関西圏の経済活動の中心地のひとつ」であると述べている。この点は極めて大事である。つまり、関西圏には中心地がいくつかあって、その中心地の一つが神戸であると述べており、関西圏の「衛星都心」や「副都心」として扱っていないということだ。この考え方こそ、神戸市の企業誘致政策が忘れてはならない視点だ。具体的に言うと、神戸に本拠地を置くことは大阪に置くことと等価であると主張することだ。そして、それに相応しい都市づくりを心掛けることだ。

 

 企業が本社を移転することは、特に大きな企業にとって、関係者や従業員などに対して十分な説得力をもって、納得を得なければならない。だから、神戸市が企業誘致を行うにあたって、企業が事業活動の拠点を置く場合にどういう点に着目し、関心をもっているのかを知ることが重要である。そして、企業が重視する事項について、いっそう自らの特質を磨くよう、政策を行い、企業にアピールすることが重要である。

 

 

 

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