関西国際空港 泉州沖決定の経緯(昭和49年航空審議会答申を読む(その2))

 新空港の位置を選定するにあたって、審議会は7項目を候補地の選定条件として定めた。

(1)航空機の発着が安全であること

(2)空港が利用者にとって便利な位置にあること

(3)建設が容易であること

(4)公害の少ないこと

(5)既存権益との摩擦が少ないこと

(6)周辺地域の将来の発展と調和がとれること

(7)空港設置の地域に及ぼす効果が大きいこと

 これについて、「(1)、(2)、(3)は主として空港の機能に係る条件」であり、「(4)、(5)、(6)、(7)は、空港と地域の調和にかかる条件」であると説明している。

 この7条件を総合的に評価して、結論を導くこととされた。

 新空港の候補地として、泉州沖、神戸沖、播磨灘、淡路島の4箇所を当初取り上げたが、審議の過程で、淡路島を候補地周辺に人口の集積があり、航空機の騒音の影響が広く及ぶこと、空港用地の造成によって大規模な自然破壊が避けられないという理由から、候補地から除かれることになった。

 審議会が約3年にわたって検討した資料を踏まえ、昭和49年7月17日に、関西国際空港部会は委員による投票を行った。

  17名の委員が各項目について、10点満点で評価を行い、その評価点の合計(B)に、あらかじめ定めておいた配分率(A)を乗じることにより加重を行った各項目の総評点の合計をもって、各候補地の優位性を評価した。その結果、泉州沖 140,567.2点、神戸沖 125,066.0点、播磨灘 129,194.0点という結果になり、泉州沖が関西国際空港の最適地と決定された。

 

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