先日、数年ぶりに広島を訪れ、JR広島駅の現況を見ることができた。現在、広島駅では大規模な整備事業が進められており、3月には新駅ビルが開業し、この8月3日には整備事業の目玉とも言える「駅前大橋ルート」が営業開始したばかりだ。
広島駅ビル
広島・瀬戸内の玄関にふさわしく、賑わいや交流・感動を生む新拠点へ
2025年3月24日広島駅ビルが開業
JR西日本グループでは、2014年9月に広島市が策定した「広島駅南口広場の再整備等に係る基本方針」に基づき、広島駅橋上・高架下施設「ekie(エキエ)」や新幹線コンコースの整備に続き、駅ビルの建替え計画を推進してきました。2025年3月24日には、広島駅ビル(minamoa・HOTEL GRANVIA HIROSHIMA SOUTH GATE))が開業し、今後は広島駅南口広場の再整備等事業による、駅周辺のビルとつながる歩行者デッキや、路面電車の駅前大橋ルートが整備され、広島駅と紙屋町・八丁堀地区とのとも相互に回遊性を高め 、都市の活気と賑わいを創出する整備が進行中です。
(JR西日本ホームページ)
JR広島駅の駅ビルに路面電車が乗り入れる広島電鉄の「駅前大橋ルート」が3日、開業し、始発電車の出発にあわせて地元の住民や鉄道ファンが開業を祝いました。
広島電鉄の「駅前大橋ルート」は、広島市南区の比治山町交差点と広島駅をつなぐ全長1.1キロの新しい路線で、路面電車が駅前大橋を通って駅ビルの2階に乗り入れます。
広島電鉄によりますと、駅ビルの2階以上に高架で路面電車が乗り入れるのは全国で初めてだということです。
紙屋町・八丁堀地区など、市中心部に行く際はこれまで的場町交差点を回り込んでいましたが、新しいルートを使うと、2駅分短縮される上、経路も直線的になるので、移動時間が平均で4分短縮されます。
(NHK NEWSWEB 2025/08/03)
広島駅の改札を抜けると、目の前に、駅の線路を南北に跨ぐ自由通路を行き交う人波が現れる。その通路に沿って真新しいショッピング街がはるか視界の先まで延々と続き、その自由通路の南端に広島電鉄の路面電車の新しいターミナルがあった。
数年ぶりの広島駅は、面目を一新していた。




ターミナルでは多くの利用客が乗り降りし、開業間もないこともあって写真撮影を行っている人々の姿も見られる。ターミナルは、ビルの2階部分の、改札階と同じフロアに本来地面を走行している路面電車が高架橋により駅ビルの内部に直接乗り入れるという大胆な構造となっている。ターミナルの上部は吹き抜けとなっており、高い天井はすこぶる壮観である。
路面電車の乗り場はAからDに分かれ、ターミナル正面の上部に黒地の一文字の乗り場案内板がしつらえられ、乗り場ごとに路線の色分け、行き先と発車時刻が明瞭に表示されている。また、路線の案内板が同じく黒地の統一されたデザインで、人の目の高さに設置されており、視線を上に持ち上げることなく間近に見ることができるので、とても見やすく感じる。
そして、なにより、改札からほとんど距離なく、改札階と同じ高さで、まったく昇降を要しないで乗り降りできるのは、利用者にとってきわめて快適である。屋内にあるので、天候に関わりなく利用できるのも大きなメリットだ。
今後は、さらに、駅の周囲にペデストリアンデッキが構築される予定であり、その組み立てが進められている様子を見ることができた。
広島駅は、広島市の中心市街地からはやや離れた位置にあるため、駅と市街地をどのように一体化させるかということは長年の課題となっていた。また、駅の線路部分が非常に広大であるため、分断された南北の市街地をいかに結びつけるかも課題であった。これらの課題を、広島市は非常に大胆な発想で、それらの条件を逆手にとり、出された答えがこの駅ビルとターミナルだと言えるだろう。そして、このターミナルの形は他都市に例がなく、発展する広島の新たなシンボルとなるだろう。
一方、神戸市のメインターミナル、JR三ノ宮駅も現在、建て替え事業が進められている。都市の玄関口というべきターミナルの整備事業において、神戸市が広島市の後塵を拝することになったことは事実としかいいようがない。しかし、この先、三ノ宮駅の再整備事業が完成したとしても、この新・広島駅のターミナルの機能性、壮大さ、斬新さの点において、比肩しうるだろうか。三ノ宮駅は確かに新しくなるのには違いないが、交通機関の位置やスペックはほとんど現状のままで、改変はほとんど見送られた。新神戸駅との接続の問題やポートライナーの輸送力増強、神戸空港アクセス新線などの課題はすべて手つかずとなった。唯一、新たな基軸は、三宮交差点の車道を削減して歩道を広げる「三宮クロススクエア」のみである。
広島駅と三ノ宮駅の現状を見ると、広島市の方が神戸市よりも勢いがあり、かつ着実で、以前にははるか先進都市であった神戸市が、すでに大きく劣後してしまったのではないかという印象を受けざるを得ない。
神戸市の都市づくりは、今のままでよいのだろうか。大都市の一角にありながら、抜本的な課題を解決できず、都心の発展と関わりのない、茅葺き家屋や下町神戸のアピールに余念がない。もっと、真正面に問題と取り組み、大胆な発想をもって、新たな基軸・構想を打ち出していく必要があるのではないだろうか。
神戸の都市づくりに関わる人、関心のあるすべての人は、必ず新・広島駅の姿を見るべきである。