ポートライナーの輸送力増強問題

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 ポートライナーの混雑緩和が課題となっている。神戸空港規制緩和の足かせになりかねない状況だ。

 その解決策を考えてみる。

 神戸空港のアクセスの混雑は、神戸空港の利用客によるものではなく、唯一の交通手段であるポートライナーポートアイランドの利用客と空港利用客が共用していることが原因だ。言ってみれば、三宮からポートアイランド南までの間を神戸空港のアクセスが間借りしている状態だ。もともと利用客が増加傾向にあるポートアイランド線に、大きな荷物を持ち込む空港利用客が同乗することで、より混雑感が増していると考えられる。解決策は、神戸空港利用客とポートアイランド利用客、両者のアクセスを切り離すことだ。そのためには、三宮からポートアイランド南までに、もう1本新交通の新線を建設すればよい。

 Wikipediaによると、ポートライナー神戸空港延伸では、距離 5.4kmで、事業費は590億円であったと書いてある。現在のポートライナーの三宮~京コンピュータ前までが5.4kmだから、ほぼ同程度の費用で建設が可能なのではないだろうか。さらに、この際、長年の懸案である新神戸までの延伸を一気に実現してしまえばよい。

 ルートは、新神戸から生田川を南下し、国道2号線を西に向かい新バスターミナル前に(新)三宮駅を建設する。そこから、新交通ポートアイランド線の東側の通りを南下し、磯上公園、みなとのもり公園を横切り、港島トンネルの西側を通ってポートアイランドに渡る。さらに、新交通の北埠頭線に沿って、そのまま南下し、京コンピュータ前の東側のカーブ地点で接続し、神戸空港に至るルートを想定する。

 この案のメリットは、現在の三宮駅から新神戸に延伸をしようとすると、駅の移設や分岐施設の再構築など多額の費用が予想されるが、新たに(新)三宮駅を建設することになるので、新神戸までの延伸が容易となることだ。また、新交通の規格を採用することから、京コンピュータ前~神戸空港間は、既存の施設が利用でき、建設の必要がないこともメリットだ。

 これが実現すると、ポートライナーの混雑解消、輸送力の増強だけでなく、新神戸から神戸空港間の、新幹線(全車両停車)と空港の2ウェイアクセスという、全国的にも稀な利便性を有する長大な沿線が出現する。しかも、三宮東部やポートアイランドの東側など、広大な開発適地が生まれる。この沿線の土地の用途には、新幹線や空港を利用して全国から集客する施設を考える。例えば、国際会議場や、幕張メッセのような巨大な展示場などのコンベンション施設、東京ドームや大阪ドームさいたまスーパーアリーナのような大規模コンサートが可能な集客施設などである。これらの施設を沿線に数珠繋ぎに立地させ、相互の連携を図る。利用客は、広域交通機関から集客施設までの間の移動が中心と想定し、駅数は極力しぼりこみ、ポートアイランド線より高速化を図る。

 この案は十分可能ではないかと思う。多額の投資になるのは間違いないが、都心に新幹線と空港の2ウェイアクセスを有する巨大な開発適地が出現し、神戸の起死回生の策になるのではないかと考える。神戸市は北神急行の買収に約200億円を投じるという。運賃が引き下げられれば沿線の住民の利益には違いないが、神戸市全体を再浮上させる効果はないだろう。その財源があるなら、神戸市の将来を見越し、発展のエンジン、動脈となる、新線の建設が実現できないものだろうか。