ポートライナー延伸事業の記録

  2006年2月に開業したポートライナー延伸事業の記録である「切り替えて次世代につなぐ -神戸新交通ポートアイランド線延伸事業-」(神戸市企画調整局、神戸新交通株式会社)がインターネット上で公開されている。その一部を抜粋する。

 

切り替えて次世代につなぐ −神戸新交通ポートアイランド線延伸事業−(2005関西支部技術賞 技術賞)

 

 「神戸新交通ポートアイランド線延伸事業」は、ポートアイランドポートアイランド第2期・神戸空港の新たな交通需要に対応するため、中公園駅市民広場駅の約1kmの単線部分を複線化し、市民広場駅神戸空港駅の約4.4kmは新たに複線を建設するという事業です。

  

既存の路線を利用した複線化と延伸~
 既存線と連携した形で延伸することにより、新たに三宮~神戸空港を結ぶのに比べ、大幅な建設費の削減ができました。
 また、既存線の東側に新線(下り線)を建設し、既存線を上り線に改造することにより、線路切替工事に伴う運休日数の最小化(土日2日間×2回)に成功しました。

 

海上都市の形成~
 空港と都心との間にある海上都市では、複線化・延伸による利便性の向上や公共交通アクセスの確保により、都市再生緊急整備(埠頭の再開発)、医療産業都市の形成等の進捗が加速されています。

 

 本事業は、このように的確な工事管理・新形式橋梁の採用・様々な創意工夫のもとに、線路切替工事を始めとするあらゆる障害を乗り越え、開業いたしました。

 

 この事業の実施は、大変な難事業であったに違いない。気の遠くなるような多数の課題を、創意工夫のもと、「あらゆる障害を乗り越え、開業」したと述べている。

 これらの努力が、今日の神戸空港の飛躍の礎となっているのは間違いない。とてもすばらしい業績だ。

 

 これを読んで考えるのは、現在の神戸の姿だ。

 新神戸駅に延伸するとなると、ここに新たな駅をつくらなければなりません。これは全く不可能ではないかもしれませんが、現実にあのエリアはもう既に高度利用されているわけですから、あそこに新駅をつくるということは、広い意味での技術面でも非常に難しいと思います。(2019年6月13日 神戸市長会見)

 それほど昔の話ではないはずだが、今の神戸にこうした挑戦的な取り組みが全く失われてしまったようなのは、いったいどうした理由なのだろうか。不思議に思う。