原口忠治郎の顕彰(補)

 先日、NHKの「新プロジェクトX」というテレビ番組において、明石海峡大橋が取り上げられ、その中で、この大橋を構想し、実現に心血を注いだ当時の神戸市長 原口忠治郎に注目が集まった。特に、彼が残した「人生すべからく夢なくしてはかないません」という言葉は、多くの人々に強い感銘を与えたようだ。

 原口忠治郎は、やはり神戸の繁栄をもたらした偉大な恩人である。その彼の功績を讃える顕彰碑が、実は、これもまた彼が構想し実現したポートアイランドにある。筆者はこれまで訪れたことがなかったが、先日、現地を訪れてみた。

 顕彰碑のある場所は、ポートアイランドの中公園という公園で、実は「原口記念公園」という呼び名まで与えられているようだ。碑の足下には功績を讃える石版が置かれ、原口忠治郎顕彰会の名前で碑文が捧げられている。

 

(原口忠治郎顕彰像)

 

 

 

 この顕彰碑がある中公園の場所は、ポートアイランドの北部、ポートライナー中公園駅の東側の位置にあるが、決して観光地というわけでもなく、どちらかというと島内の住民の憩いの場という感じで、筆者が訪れた当日も、地元の高齢者がゲートボールを行っている位で、広い公園はひっそりとした様子であった。

 

(顕彰碑の前面の中公園の全景)

 

 そこでの筆者の感想であるが、せっかくの顕彰碑を、このような地元の住民しか訪れない公園に置くのは、顕彰されている御当人に少し気の毒にも思えた。もっと多くの人々、特に遠来の人々にその功績を示すことができるような場所に設置した方がよいのではないだろうか。中公園は周囲を鬱蒼とした樹木に囲まれて、まるで公園の中に顕彰碑が封じ込められているようかのようだ。

 顕彰碑にもっとふさわしい場所はないだろうか。筆者は、ポートアイランドの北端にある北公園を推奨したい。北公園は、ポートアイランドにあって、市街地と六甲山の美しい景観を見晴らし、海を挟んで市街地とを結ぶ巨大な深紅の神戸大橋の偉容を同時に臨むことができる。

 人はこの地に立てば、人間の想像力からはじまり、多くの人々が知恵を絞り、力を合わせることで、どれだけ巨大なものを生み出すことができるのか、人間の偉大さ、科学、技術の素晴らしさを実感することができる。そのような場所にこそ、この偉大な神戸の恩人を顕彰する碑を設置するのがふさわしいと思うのだが、どうだろうか。

 

ポートアイランド 北公園からの眺望)

 

 

 

 

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