大河ドラマ「鎌倉殿の13人」と神戸

 今年度のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の放映が、1月9日から始まった。

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」

 

 今年度のドラマは、平安末から鎌倉前期を舞台に、源平合戦鎌倉幕府が誕生する過程で繰り広げられる権力の座を巡る駆け引きを、その勝利者となり北条得宗家の祖となった北条義時を主人公に描くものと紹介されている。脚本は、「新撰組!」、「真田丸」に続く、大河ドラマ第3作目となる三谷幸喜である。出演は、主役の北条義時小栗旬源頼朝大泉洋源義経菅田将暉など、当代の人気俳優が名を連ねている。そして、対立する平家の総帥 平清盛には松平健後白河法皇西田敏行と、豪華なラインナップであり、脚本は三谷幸喜であることも合わせて、今後が非常に楽しみだ。初回から、大勢の登場人物が、それぞれ明確なキャラクターを与えられ、生き生きと動き始め、テンポよく、スリリングな展開は期待を裏切らないものだった。

 その第1回の最後の部分で、平清盛が大和田の泊を背景に登場し、ナレーションでは「大和田の泊、後の神戸」に湊を広げ、宋との交易で莫大な富を得、絶頂期を迎えていたと紹介されていた。

 今年の大河ドラマの前半は、源氏と平家の相克を描くことになると思われる。その一方の主役ともいうべき平家は福原(現在の神戸)、大和田の泊に拠点を構え、史上空前の繁栄を謳歌した。今後、ドラマにおいても、平清盛及び福原が重要な舞台として登場すると期待されるところであるが、第1回から早速、紹介され、しかも「後の神戸」とまで紹介してくれた。

 2012年の大河ドラマ平清盛」は、主役の平清盛松山ケンイチ、そのライバルとなる源義朝玉木宏後白河法皇松田翔太という布陣であったが、ドラマの人気は今ひとつ盛り上がりに欠け、兵庫県知事が「画面が汚い」とクレームをつけたことが話題となった。その知事のクレームのせいか視聴率は振るわず、当時の史上最低を記録し、地元神戸では観光ブームを期待していたが、拍子抜けとなったことがあった。今年度の大河ドラマの前半部では、平清盛、福原が重要な役割を与えられると予想される。大河ドラマは、視聴者が格段に多く、社会、経済面でも大きな影響力を持っている。この絶好の機会を兵庫県や神戸市はどのように考えているのだろう。ちゃんと、地元をアピールすることを考えているのだろうか。筆者は、平清盛を、偉大な政治家、神戸を開いた恩人として、その業績、神戸に残された足跡を大いに顕彰すべきと考えている。ぜひこの機会を逃さず、平清盛と神戸、兵庫との結びつきをアピールし、観光振興や街作りに活かしてもらいたい。