兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラなどの疑惑を内部告発された問題で、兵庫県議会は19日開会の9月定例会で、知事への不信任決議案を全会派で共同提案し、全会一致で可決した。斎藤知事は失職か、議会解散かの選択を迫られる。
不信任決議案の可決後、斎藤知事は記者団の取材に応じたが、今後の対応については明言を避けた。(以下略)
(読売新聞 2024/9/19)
(2024年9月19日 兵庫県議会 斎藤知事不信任決議の中継動画)
(提案説明)
2:00 戸井田 ゆうすけ(自由民主党)
(賛成討論)
11:00 徳安 淳子(維新の会)
19:00 越田 浩矢(公明党)
24:20 迎山 志保(ひょうご県民連合)
36:00 庄本 えつこ(日本共産党)
42:10 石井 秀武(無所属)
51:20 丸尾 まき(無所属)
19日、兵庫県議会において、斉藤兵庫県知事に対する不信任決議案が全会一致で可決された。斎藤知事は、10日以内に失職か、議会解散かの選択を行うことになる。
仮に議会を解散したとしても、改選後の議会において出席議員の過半数の議決で再度不信任の議決を行えば知事は失職することになる。いずれを選択するとしても、斉藤知事が任期満了を待たずに失職することはほぼ確実な情勢となった。
しかし、知事が失職することをもって、すべての問題が解決するわけではない。すなわち、新しい知事の下に、信用を失い、機能不全に陥った兵庫県政を一日も早く正常化することが求められるところである。そして、斉藤知事の独裁的・強権的な運営を改め、法律に則り、道理に基づいた、公正かつ民主的な、兵庫県民のための県政を取り戻すことが必要である。今回の不信任決議はその第一歩であり、まだまだ道半ばであるといえるだろう。
ついては、来る県知事選挙が大きな関門となるだろう。新しい知事を選び、この混乱状態を早期に正常化していくのと同時に、旧弊を一掃し、清新な新たな県政を構築しなければならない。その際、斉藤県政における数々の疑惑の徹底した究明と、不正を行った者に対する厳正な処分が必ず行われなければならない。
ここで、重大な問題は、斉藤知事は、全会一致の不信任を受けても職を辞するどころか、よもやの再選を狙っているのではないかということである。
人権無視の重大な法令違反を犯し、これだけの県政の大混乱をもたらしている斉藤知事が、再び兵庫県知事の座に舞い戻ることは悪夢のシナリオである。
ところが、斉藤知事は、この期に至っても、従来と同様、自らの非を一切認めず、未だに元県民局長の懲戒処分を解こうとすらしていない。そして、県政を前に進めることが自らの責任であるとうそぶいている。
さらに懸念されることは、この数日のうちに、斉藤知事を擁護する意見が突然に噴出するようになってきたことである。「斉藤知事は利権構造の改革に手をつけようとしたため抵抗勢力から報復を受けている」という降ってわいたような理屈で、知事を擁護しようとする動きが急速に広がっている。
マスコミの報道にも異変が見える。
ある民放のテレビニュース内で不信任決議が行われる日の映像として、一般の市民という人物が、県庁の敷地内で、ただ一人県知事に歩み寄って知事を激励し、知事がそれに応じるというきわめて不自然な動画が報じられた。このような作為的な映像が堂々と公共の放送で流されるのは、何か不気味だ。
あるニュース番組では、「ある県議の話」として、次の3つのコメントが紹介された。
不信任案には泣く泣く賛成した
県政が停滞していることは事実
しかし、文書問題の真相究明には
至っておらず、結論が出てからでも
よかったのではないか
県政停滞の理由が何なのか検証すべき
斎藤知事になったからなのか
内部調査の扱いを間違ったからか
県議会が百条委を設置したことが
元県民局長を追い詰めた可能性はないか
どっちもやめたらいい
知事と議会のどちらも
県民の信を問えば良いのではないか
上記のような、これまでの県議会での議論の流れと異なるような意見が、わざわざ紹介されていた。
番組の中のコメンテーターも、斎藤知事は「政策としての実績があった」、「知事は仕事はしっかりしていたと思う」、「反対派に足元をすくわれた」と発言し、今回の問題の論点をすり替えるような見方を広めようとする動きがある。
(サンテレビニュース 2024/9/20)
この他、斉藤知事は不信任決議後、複数のテレビ局のニュースショーに出演し、反対意見がない中で、一方的な言説をまきちらし自己の正当化とPRに努めていた。
これらの動きがこれ程大規模かつ一斉に始まったことを考えると、その背景には何らかの大きな力が存在しているのではないかと疑われる。
そもそも、現在の斉藤体制は、兵庫県の内発的な動きから生じたものではなく、外部からの強引な介入があって、いわば落下傘的な候補として誕生したものだ。(斉藤氏は、選挙戦の当時、神戸の地理を全く理解していなかったという話がある。)その体制から脱却することは、並大抵なことではないのかもしれない。
県政刷新のためには、まず、新しい知事を選ぶことが最重要事項である。新しい知事は人格が高潔であることはもちろんであるが、これ程の大混乱を収めるだけの行政手腕も求められる。誰か適任の者があるだろうか。選挙まで残された日はそう多くない。早急に人選を進めなければならない。
今後の展開は、決して予断を許さない。仮に斉藤氏を含めた出直し選挙となった場合、これまでマスコミの話題を集め続けた斎藤氏の知名度は決して侮れない。対立候補の準備が整わないうちに、早期の知事選挙に打って出ることも考えられる。そこに、「改革を進めようとした知事と抵抗勢力」という構図を持ち込まれると、一気に風向きが変わることもあるかもしれない。場合によると、対立候補が乱立し、票が割れるようなことも考えられないことではない。むしろ、そうした構図を意図的に作り出してくることも予想される。
今回、県議会が一体となって県知事の不信任決議を行うという「挙国一致体制」が実現したが、今後、候補者の選定にあたって、各会派の結束が乱れることも十分考えられる。ここは、兵庫県史上未曾有の「国難」と捉え、県議会が結束して統一候補を選定することが必要だ。そして、真に兵庫県民のための兵庫県政を取り戻さなければならない。