斎藤兵庫県知事 就任2年を終えて

 新しい兵庫県知事が就任したのは2021年8月であるが、影が薄く、存在感のない印象だ。県民に語りかける姿はもちろん、その声すら思い浮かべることができない。

 聞こえてくるのは、大阪万博への全面協力姿勢と、ツイッターでの自撮りの話題ばかりだ。この間、世間で話題になったことと言えば、関西広域連合のコロナ対策会議を欠席して神戸コレクションに自ら出演したことや、兵庫県が公開した県下のPR動画で、人気TVタレントを揶揄する発言を行ったとする「舌禍事件」が全国各紙を賑わせたこと位だ。

 

 昨年12月には、兵庫県は行財政運営方針の見直し案を公表し、財政健全化対策として、前の井戸知事が進めていた県庁舎の建て替え事業の撤回、大規模アリーナ建設の凍結の方針などが示された。そして、今年の3月には次のような報道があった。

 

 兵庫県の斎藤元彦知事は29日の定例記者会見で、兵庫県庁の本庁舎1・2号館などの解体を26年度に着手すると発表した。(略)

 24年度までに移転先などを確保し、25年度に移転を開始する。移転先には県庁舎3号館や生田庁舎、兵庫県公館など近隣の既存施設を「最大限活用」(斎藤知事)。1・2号館には通常2500人の職員が勤務するが、テレワークなどの「働き方改革」で出勤する職員数を4割程度、およそ1000人に抑えると、3号館など近隣の施設に収容できると見積もる。ただ業務内容に応じて民間の賃貸オフィスや、現在の県庁舎から離れた場所への移転もありうるとした。

(略)

 解体した跡地は28年度から「いったん市民緑地として暫定利用したい」(斎藤氏)という。(略)並行して兵庫県庁舎の新庁舎が必要かも検討するが、斎藤氏は「かなりダウンサイジング(小型化)したものになる」と述べ、大きな費用がかかる新たな庁舎建設には消極的な姿勢を見せた。

 

 (神戸経済ニュース 2023/3/29)

 

 現在の兵庫県知事は、大阪の利益のために働く人物であり、今後、兵庫県で、大阪に匹敵するような施設を持つことができなくなるだろうと予想したが、さすがにここまでとは思わなかった。兵庫県民は県庁舎を持つことも許されないのだ。県庁舎すら持てない都道府県が他にあるだろうか。県庁舎も持てない兵庫県は、もはや独立した県といえるのだろうか。県のエリアがあり、その行政を行う正常な機能を持つ県庁があってこそ、はじめて自治というものが成り立つ。すなわち、兵庫県民は最早、自治を失ったということなのだ。事の重大性を県民皆が真剣に考えるべきだろう。

 

 前任の井戸知事は在阪マスコミにひどく叩かれ、これが現知事の誕生に与えた影響は大である。そして、兵庫県民は、前知事の後継ではない候補を選んだ。しかし、そのようにして選ばれた現知事は兵庫県民が望んだ「新しい知事」だったのだろうか。

 

 森の中の小さな沼に蛙たちが住んでいた。蛙たちは自分たちを治める立派な王様がいないことを不満に思い、神様に「私たちに王様を与えてください」と願い出た。

 願いを聞き入れた神様はカエルたちの住む沼に丸太を落とした。

 蛙たちは、落ちてきた丸太をはじめは恐れたが、次第にただ池に浮かんでいるだけだということがわかってきた。見栄えのしないただの丸太に不満を抱いた蛙たちは「もっと立派な王様を与えてください」と再び神様に願い出た。神様は彼らの願いをかなえることを約束した。

 ある日、待ち望んだ新しい王様が蛙たちの沼にやってきた。それは白く立派な翼を持つコウノトリだった。新しい王様は、沼に着くなり蛙をばくばくと食べはじめ、間もなく沼には蛙は1匹もいなくなった。

イソップ童話

 

 

firemountain.hatenablog.jp

 

firemountain.hatenablog.jp