JR三ノ宮駅ビル跡地 期間限定でイベント会場に

 三宮再整備の一環で、JR西日本が建て替え計画を進める三ノ宮駅ビルの建設用地について、JR西や神戸市などが、一部を期間限定のイベント会場として活用する方針を固めた。新型コロナウイルスの影響で新ビル計画に遅れが生じ、都心の一等地がさら地のままという不測の事態を受けた対応。計画の進展が見込まれる来年9月下旬までを予定する。

神戸新聞 2020/12/9)

 新たに建て替えられるはずだった新JR三ノ宮駅ビルは、新型コロナウイルスによる影響を理由に建設計画が白紙になってしまった。その跡地の一部が期間限定のイベント会場として活用される方針が固まったと報じられた。イベント会場は、跡地のうち東側の3割程度を使用し、そこにステージなどを設け、週末に音楽ステージや飲食の屋台をはじめとする市民参加型の企画を計画しているそうだ。神戸市は三宮交差点一帯の道路を封鎖し歩行者空間に転換する「三宮クロススクエア構想」を計画しており、今回のイベント活用は、屋外空間を活用した駅前のにぎわいづくりの実証実験も兼ね、再整備の機運を高める狙いとのことだ。

 報道では、計画の進展が見込まれる来年9月下旬までの予定とのことだが、いったん白紙になった計画が来年9月に新たな計画がまとまり、具体化に向けて動き始めるとも考えにくいし、せいぜい仮設の商業施設の計画が動き始めるかどうかというところだろう。しかし、神戸市としては、やはり神戸の玄関口たる三ノ宮駅の駅前が更地で仮囲いで覆われている というのはあまりに見栄えが悪く、しかも来年7月には兵庫県知事選挙、10月には神戸市長選挙が行われることを考えると、これをそのまま放置できないと考えたのではないだろうか。また、逆に言うと、来年の9月に計画が具体化すると考えていないからこそ、このような方策を取っているとも考えられる。

 

 また、次のようなニュースがあった。

 兵庫県と神戸市は15日午前、両者にまたがる施策を中心に情報交換する「兵庫県・神戸市調整会議」を兵庫県公館で開催した。兵庫県井戸敏三知事や同県の幹部、神戸市の久元喜造市長や同市の幹部ら約40人が集まった。兵庫県が幕末に設置された当時の県庁舎を復元する「兵庫津ミュージアム」の建設を進めていることを兵庫県側が説明すると、久元市長は「先般の市長副市長会議で議論して、(兵庫津ミュージアム)周辺の集客を増やすためのプロジェクトチームを作った」と述べ、地域の活性化に向けて連携することを改めて確認した。

 

(神戸経済ニュース 2020/12/15)

 

 

  そこで、久元市長は兵庫津ミュージアムの沿線となる地下鉄海岸線の全駅に「ストリートピアノ」を設置する構想を明らかにしたと報じられている。久元市長は「すべての駅にピアノが入っている地下鉄の路線というのは世界中にないのではないか」と語ったそうだ。地下鉄のすべての駅にピアノを設置することは「構想」と呼ぶような大げさな話ではないように思う。兵庫県の「兵庫津ミュージアム」は、兵庫県の観光の活性化として計画されているのだと思われるが、それに呼応する地元自治体が取り組む周辺の集客増の方策としてストリートピアノの設置という発想に驚く。久元市長のこの話を兵庫県知事はどのような気持ちで聞いたのだろうか。