新神戸駅の活性化(2)

 新神戸駅には、かつて新神戸オリエンタルホテルを基幹施設とする大規模な商業施設が営業していた。しかし、都市の中心部から外れた立地条件は如何ともしがたく、次第に退店が相次ぎ、ついにはゴーストタウンのような状態になり果ててしまった。このことが意味するところは商業施設の存立における立地条件の重要性だ。土壌が異なるところに植生が異なるものを移植をしても根付かない。余所から新たなものを移植しようとしても立ち枯れとなるばかりだ。

 新神戸駅を活性化しようとするなら、新神戸駅の本来の効用に従って活性化する以外にはない。新神戸駅の本来の効用とは、長距離交通拠点であるということである。つまり、新神戸駅の活性化は、長距離交通拠点としての活性化を目指す以外にはないと考える。長距離交通拠点としての可能性を伸ばしてこそ、駅とその周辺の発展の道が開けるのだ。努力をするときは、正しいポイントに正しい努力をすべきだ。井戸は水脈のあるところを掘るべきで、水脈がないところをいくら掘っても水は湧いてこない。

 東海道・山陽新幹線九州新幹線の全列車が停車するという素晴らしい条件を持っている新神戸駅を現在のような低利用のまま放置しているのはきわめて残念なことだ。これは筆者だけではなく多くの人が指摘しているところだ。

 

firemountain.hatenablog.jp

 

 これまで神戸市がやったことといえば、新神戸駅から地下鉄へ続く地下道の化粧直しをした程度だ。さらに、周辺の導線を整備しようとしているが、それだけで駅の利用が増えると考えているのだろうか。

 これまで、市が新神戸駅の利用客数の増加に取り組んだという話は聞いたことがない。市は新神戸駅の利用客数の増加について、まず目標を立てるべきだ。当面、現在の2倍の2万人程度を目標にしてはどうか。いきなり2倍は非現実的だと思われるかもしれない。しかし、他都市との比較で考えるならば不自然でない数字だ。その上で、どうすれば利用客数が目標に達するかを考えるべきだ。利用客数が2倍に増えれば、駅の賑わいが変わってくるだろう。