「神戸の鉄道網は不便?」論争について

 神戸新聞に、小野秀明論説副委員長の「神戸の鉄道網は不便?」(2019/01/28)という論説が掲載された。

 

 神戸新聞NEXT|論ひょうご|神戸の鉄道網は不便? 論説副委員長 小野秀明 (kobe-np.co.jp)

 

 これに対して、久元神戸市長が自らのブログに「小野秀明・神戸新聞論説副委員長の批判に答えます。」という一文を掲載した。

 

 小野秀明・神戸新聞論説副委員長の批判に答えます。 – 久元 喜造ブログ (hisamoto-kizo.com)

 

 

 小野氏の論説の趣旨は、おおよそ次のとおりである。

 県外から来る知人に「不便だね」と言われたことがある。

(1)中心駅で別途新幹線へのアクセス費用がかかるのは神戸市だけだ。

(2)地下鉄山手線と海岸線は、異なる規格で建設されたので、相互乗り入れできない。

(3)地下鉄山手線と阪急神戸線は、長年の阪急側の申し入れに対し、神戸市は後ろ向きの態度だった。

(結論)

 神戸市はまちの将来的な観点から、地下鉄山手線と阪急神戸線との相互乗り入れを前向きに考えるべきだ。

 

 久元市長は、この論説に対して、次のような趣旨で答えた。

(1)について:新幹線と市営地下鉄は別事業者だから当然だ。

(2)について:関西で相互乗り入れの先陣を切ったのは神戸だった。

(3)について:阪急電鉄㈱との間で、新神戸・谷上間の神戸市交通局への譲渡を目指し、交渉をスタートさせることで合意した。

 結論として、この論説は、「結論ありき」、「都合の良い「事実」を寄せ集めた論説」、「事情を知った関係者は呆れ果てるだけ」と評価し、「神戸市政が、このような論説に影響を受けることはありません。過去の歴史に目をつぶり、現実を直視しない論説が、神戸の未来を指し示すことはないでしょう。残念ですが。」と締めくくる。

 

 

 このやり取りについては、次のように考える。

 小野氏の主張のうち、

(1)について:これは事実である。新神戸駅の乗降客数が他の新幹線駅と比べて大きく見劣りがする原因となっている。

(2)について:これも事実である。新神戸駅の乗り入れを考えるのであれば、同じ規格で建設するべきだった。

(3)について:これも事実であろう。

 

 このように並べて見ると、久元市長の主張は、全く違う話で反論にはなっていない。

 なによりも、新聞社の論説に、いちいち、感情的な反発を表明するのはいかがなものか。

 正直、ここまで反発し、叩く必要がある論説だろうか?

 論説に対しては、感情的にならず、論説で答えるべきだ。神戸市長という公の立場の者が、メディアの意見に対して歓迎こそすれ、一刀両断することは適切ではない。論者に対してもいささか礼を失しているのではないか。広く人々の意見を求め、世界から衆知を集めるべき神戸市長としてふさわしい振る舞いだろうか。