新神戸駅の活性化

 前回、神戸駅周辺の活性化について書いたので、今回は新神戸駅の活性化について書く。

 新神戸駅は、東海道・山陽新幹線九州新幹線のすべての列車が停車する非常に重要な駅だ。しかしながら、新神戸駅の1日の利用客数は1万人にも満たず、人口が神戸市の半分にも満たない岡山市岡山駅の新幹線利用客数にも及ばないという状態である。神戸市では新神戸駅の活性化に取り組んではいるが、単なる地下鉄や駅周辺への導線の改善程度で、抜本的な対策がとられていない。

 久元市長は既存の施設の有効活用を謳い、北神急行電鉄阪急電鉄から200億円で買い取り、さらに運賃を半額にするなど、これに巨額の費用を投じている。しかし、北神急行の運賃を引き下げたとしても、利益を享受するのは北神急行沿線の住民のみで、これが神戸市全体の発展につながるということは期待できそうにもない。既存の施設の有効活用を謳うなら、まず新神戸駅について考えるべきだろう。

 

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 新神戸駅の利用客数が少ない理由は明らかだ。第一に、新神戸駅がJRの在来線と接続していないこと。新大阪駅西明石駅、京都駅、姫路駅など、周辺を見回してもJRの在来線と接続していないのは新神戸駅ぐらいのものだ。第二に、新神戸駅が都市の中心部から少し外れていること。在来線と接続していないので、余分の時間と運賃をかけて新神戸駅まで乗り継がなければならない。この二つが主な理由となり、神戸市内に住所を有する者、または神戸市内に目的地がある場合であっても、新神戸駅を使うよりも、周辺の新大阪駅西明石駅等の方が便利で経済的なため、利用者が他へ流れてしまうことになる。その結果として、駅そのものは、他都市も羨むような全国有数クラスの利便性を有するにもかかわらず、十分に利用されていないという「宝の持ち腐れ」状態となっているのだ。その一方で、駅周辺は寂れて、一部にはゴーストタウンのような様相を呈している所がある。これは都市を管理する神戸市の責任は重大だと言わなければならないだろう。さらに言うと、政令指定都市に存在する新幹線駅で在来線と接続していないのは新神戸駅だけだ。全国の政令指定都市の住民で、神戸市民だけが新幹線への乗り継ぎのための余分の運賃を負担している。このような状態を放置しておいていいのだろうか。神戸駅から湊川神社が見えないことを怒るぐらいなら、こちらの方こそ怒るべきだろう。

 この状態を根本的に解消しようとするならば、新神戸駅を三ノ宮へ乗り入れ、在来線と一体化させることが必要であるが、それには莫大な費用がかかり事実上不可能だ。

 これを解消する方法として、以前にも提案をしたが、新幹線の利用者に対して地下鉄の三宮から新神戸の間の運賃を無料にすることを提唱する。新神戸と三宮の間は、距離的には1.5キロ程度であり、元々それほど離れてはいない。地下鉄での所要時間はわずか2分程度だから、駅周辺の導線を適切に改良するならば、地下鉄を「水平エレベーター」のようなものとしての利用が可能となるであろう。

 その効果として、これまで新神戸駅以外の新幹線駅を利用していた人たちの需要を取り戻すことができるようになるだろう。利用客数が増えれば、新神戸駅界隈ににぎわいが増加し、その利用客のための飲食、商業施設等も集積するだろう。そうなれば、今の新神戸駅の手狭な駅舎を大勢の人が滞留できるように拡張する必要も出てくるだろう。また、駅にホテルなども併設されるかもしれない。新神戸駅のターミナルビルも欲しいところだ。

 一方、これに要するコストは、現在、新幹線を利用するために市営地下鉄の運賃を負担している人の運賃を無料にするだけで、新たに新神戸駅を利用するようになる人の運賃は元々発生していなかったものなので、新たな費用が発生することにはならない。もしも効果に確証が持てなければ、社会実験として一定期間の試行をしてもよいだろう。要は、神戸市内に本来ある新幹線利用客の需要を、市内でしっかり受け止めることができるようにすることだ。そして、それは神戸市だけの判断でできることだ。

 また、新神戸駅をもっと利用してもらうよう、神戸市がもっと広報を行い、場合によっては、他のインセンティブ(利用者に対する市内観光施設の割引券、抽選券、粗品(PRを兼ねた地場産品など)の配布など)を設けることも考えられるだろう。

 

 これに対して、現在行っている駅周辺の改良は、見栄えをよくする模様替えのようなものだ。模様替えをすれば利用客は増加するだろうか。何か機能面の改善がなければ、利用者は増加しないだろう。利用者が増えなければ、駅の活性化につながらない。

 久元市長がお題目のように唱える「回遊性の向上」とは駅から徒歩での回遊性だけではなく、市内の交通網を活用した移動の活性化を考えるべきだ。

 

 さらに、筆者は新神戸駅から三宮を経由し神戸空港までを結ぶ交通機関の導入を提唱している。

 神戸は、歴史的に、神戸港東海道本線山陽本線と、交通の中心地として発展してきた都市だ。だから、神戸はこれからも、交通拠点たるべく、その維持、発展に資源を投入すべきだ。なぜならばそれが神戸の都市の発展の源泉だからだ。

 新神戸駅は、これまで神戸市内の長距離交通の拠点とは位置づけられてきたが、もっと新しい位置づけを与えるべきだろう。それは、西日本を代表する交通拠点だ。新神戸駅三ノ宮駅神戸空港と、それらを緊密に結ぶ交通機関を構築し、これを軸に西日本最大の交通拠点の地位を目指すべきだ。

 

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