少子化問題に対するネット上の意見について

 我が国の少子化問題については、ネット上でも様々な意見が提示されている。

 

 次の論説は、少子化の要因を、経済問題や労働環境に求める意見である。 

 わが国で少子化が深刻化した根源的な要因は、以下の3つに集約されます。

 

実質所得の減少により経済的余裕がなくなっている

学費が高騰している

仕事と子育ての両立が難しい劣悪な労働環境と社会風土

 

 育児休業制度は、子育ての初期に限定されています。しかし、育児休業を最大限に取得したとしても、子どもはまだ2歳です。子育てはそのあとも果てしなく続きます。

 そうであるにもかかわらず、長時間労働が常態化し、あたかも労働者には家庭生活がないかのような扱いが、放置されてきたのです。

 とりわけ、犠牲になってきたのは母親です。子育ての負担は母親のほうが重く負わされ、女性が勤務先を退職しなければならなかったり、キャリアアップを諦めざるをえなくなったりという実態が当然のように放置されてきました。

 

(「こんな生活、つらすぎる」働く母の悲鳴…岸田首相「異次元の少子化対策」宣言も虚しく…育児休業制度に「早くも垂れ込める暗雲」(幻冬社GOLD ONLINE 2023/2/1)

 

 この論説に対するネット上での意見を拾ってみた。論説の考え方を支持する意見もあるが、否定する意見も見られる。

 

(意見1)

・実質所得の減少により経済的余裕がなくなっている

・学費が高騰している

・仕事と子育ての両立が難しい劣悪な労働環境と社会風土

 

少子化の原因は子供の産まれる前提となる法律婚夫婦数が減っているからです
親(特に母親)がいなければ子供は絶対産まれません。

やり直し。

 

(意見2)

少子化の問題は女性数の減少が原因なのは証明されていて、経済問題は違うと思う
日本は育児休業したときに国がある程度の所得を補償してくれる素晴らしい制度がある国ではあると思うが、休んでしまったときに周りに迷惑をかけるのだから、ありがとうございます、という気持ちがないと会社の人間関係はうまくいかないんじゃないかな?育児休業に限らず病気で休んだ時も迷惑をかけるのだから持ちつ持たれつの関係であることは忘れてはいけないと思う。
同時に経営者は欠勤した分、給与は支払わないで済んだのだから、フォローした人に賞与などで一時的に手厚く配分するべきだと思う。もちろん復帰時には元に戻るという約束は必須だと思う。
何でも権利だとゴリ押しすれば反感を持つ人は多いと思うよ。
特に女性の職場だと不妊治療している人もいるわけだし。

 

 (意見1)(意見2)の意見は、少子化の原因は母親の減少にあるという主張のようだ。母親の数が減っていれば、絶対的に子供の数が少なくなるのは当たり前である。しかし、ここで考えを止めてしまっては意味がない。もう少し考えを進めてほしいところだ。「少子化の原因は子供の産まれる前提となる法律婚夫婦数が減っているから」というなら、なぜ婚姻数が減っているのかを考えてみるべきだろう。

 

(意見3)

>>・実質所得の減少により経済的余裕がなくなっている
・学費が高騰している
・仕事と子育ての両立が難しい劣悪な労働環境と社会風土


間違いも甚だしい。

ベビーブーム期の実質所得は今より少ないし、大学も富裕層限定のものだった。労働環境は昭和期より確実に改善してる。

記事に上がる要因は、昔と比べるなら確実に良い方に行っている。

つまり、そんなことは原因じゃない。この事実は揺らがない。

本当の理由は、「子供を産むインセンティブが薄れた」これに尽きる。

昔は今より娯楽が少なくSEXは主要な娯楽で、家庭を築くこともステイタスだったし、子供は労働力や跡取りだった。

でも今では、娯楽はいくらでも溢れてるし、価値観が多様化し家庭以外のステイタスも増えたし、子供は労働力や跡取りでなくむしろ金食い虫。

だから子供を産まないんだ。

子供を産むインセンティブを高めない限り少子化は改善しない。

 

 (意見3)に対する答えは「少子化問題について(3)」で述べた。それに加えて、社会の先行きと子供たちの将来に不安を持っていることも少なからず影響していると推測する。

 

firemountain.hatenablog.jp

 

(意見4)

> わが国で少子化が深刻化した根源的な要因は、以下の3つに集約されます。
> ・実質所得の減少により経済的余裕がなくなっている
> ・学費が高騰している


↑これは不正解
少子化の直接的な原因は結婚する人が減ったからだ。
そして結婚する人が減ったのは恋愛をする人が減ったからだ。
恋愛をする人が減ったのはネットゲームや動画配信などの普及で独りで家に居てもそこそこ楽しい時間を過ごせるようになり、傷つく恐れのある恋愛をする動機が乏しくなったからだ。
「いやお金が…」という若者の言葉を信じてはならない。
彼らは経済事情を理由に言い訳したいのだ。

だが…
> ・仕事と子育ての両立が難しい劣悪な労働環境と社会風土
↑これは正解
恋愛をするとその先にはこうした面倒が待ち受けているわけで、こんなことに立ち向かうくらいなら家でネットゲームしていたほうがストレス少ないというのが語られることのない本音だ。

 

 (意見4)については、少子化を若者が結婚したがらないという個人の指向の変化で説明しようとするものである。「少子化問題について(2)」で述べたように、若い世代の結婚意思が昔と比べてそれほど変化しているわけではない。結婚の意欲があっても結婚ができる客観的条件が若者に十分に与えられているのかどうかを考えてみるべきだろう。

 

firemountain.hatenablog.jp

 

 

 以上、少子化の要因を経済問題や労働環境に求める意見に対するネット上での否定的意見を見たが、いずれにしても、こうした意見は、なぜ、かくも自信満々なのだろうか。そして、なぜ、かくも強く否定するのだろうか。