須磨海浜水族園再整備 事業者決定過程について(2)

 今回の事業者決定に対して、どのように考えるか。

 委員会議事録要旨をみると、次点となったGグループは、周辺住民の意見を積極的に取り入れ、地域の要望に沿ったプランであったことがわかる。だから、周辺から反対論が生じるのは理解できる。しかし、委員からも指摘があったように、集客力という点では疑問があり、おそらく、採用されていたとしても、現状の須磨水族園レベルの集客しかできなかったであろう。今回、神戸市が事業者に求めたのは、高度の集客力とともに、施設の自立であったことと思われる。だから、周辺の住民のためにはよいプランであっても、それをまかなうだけの集客力を持たなければ採用は難しかったと思う。

 たしかに採用案では入場料が大きく跳ね上がるが、神戸市は小中学生に対しては、遠足等の学校行事では無料扱いとし、年間1回は500円で入場できる措置を設けるとのことである。年に何回も利用するヘビーユーザーはいるだろうが、ほとんどは年に1回行くかどうかだろう。また、今回のプランでは、無料の公園エリアも整備されるのであり、それ以上を求めることはできないだろう。それでも、どうしても、ということであれば、もし可能なら児童向けの小規模の施設だけを低料金で解放することを考えてもよいかもしれない。

 委員会では、採用事業者は、「日本有数の水族館をつくる」ことをめざし、そのために「イルカなしの提案は考えられない」と述べるなど、誠実な回答をしているように感じる。もし、このまま順調に事業が進めば、現実のものとなるだろう。確かに料金は跳ね上がるが、神戸市民は、遠方へ出かけずとも、身近にこのようなすぐれた施設ができるというメリットを享受することができる。表面的な理由で反対をして、計画が頓挫することがないようにしたい。

 神戸には、過去に関西国際空港を反対したがために、巨大な損失を被った例がある。

 後1点、今回の議事録を読むと、委員会の委員の事業者に対する質問の仕方が、高圧的な印象を受ける。せっかく提案をしてもらっているのだから、もっと丁寧に、対等に話しをすべきではないか。神戸は、過去の神戸がそうであったように、外部の人々にどんどん入ってきてもらって、一緒に街作りを行う姿勢でなければならないと思う。外部の事業者をもっと丁重にもてなすべきだ。