新型コロナウイルス禍のJR西日本への影響

 JR西日本が31日発表した令和2年4~6月期連結決算は、最終損益が767億円の赤字(前年同期は425億円の黒字)に転落した。四半期ベースの赤字幅は、277億円の最終赤字だった1~3月期に続き、過去最大に。新型コロナウイルスの感染拡大で、山陽新幹線北陸新幹線や在来線の利用客が激減した。

 会見した長谷川一明社長は「(昭和62年4月の)会社発足以来の赤字。未曾有の危機にある」と話した。

 本業の鉄道だけでなく、商業施設やホテルなど全ての事業が苦戦した。

 売上高は前年同期比55・3%減の1633億円、本業のもうけを示す営業損益は942億円の赤字(前年同期は660憶円の黒字)だった。単体での運輸収入は新幹線が80・4%減で、在来線も54・2%減と大幅に落ち込んだ。

産経新聞 2020/7/31)

 

  JR西日本の今年度の4~6月期決算が発表されたが、四半期ごとの決算としては最大の赤字に転落した。コロナウイルス感染症による減収は、鉄道事業で1460億円、全体で2070億円とのことであり、鉄道事業のみならず、非鉄道事業にも大きな影響を及ぼした。今後の事態の収束が見通せず、長期化の様相が強まる中で、同社は今後の対応を迫られることになり、それは神戸にも大きな影響を及ぼすことになるだろう。

 長谷川一明社長は同日の会見で「未曾有の危機的な状況。経費や投資を抑制する必要がある。」と強調した。コロナが収束したとしても、「利用者の生活様式は大きく変わる」とし、終電の繰り上げや時間帯ごとに運賃を変える仕組みについて準備を進める考えも明らかにした。

朝日新聞 2020/8/1)

 終電の繰り上げは、これまでもJR西日本は実施の意向を表明していたので、これをきっかけに実施されることは間違いないだろう。終電の繰り上げは、神戸空港の運行時間の延長問題にも影響することが予想され、運行時間の延長による利用拡大を目指す戦略の見直しが迫られることになるだろう。 

 また、三ノ宮駅の再開発への影響が予想される。上記の記事では、採用の抑制とともに、「経費や投資の抑制」が挙げられている。大幅な赤字が発生している状況では新規投資は抑制の対象となるだろうし、商業施設やホテルなどの需要も深刻な不振にあることを考えると、計画の延期はかなり現実性が高いのではないだろうか。今後、事態が収束したとしても、需要の回復如何によっては、阪急三宮ビルのように仮設の商業施設が建設され、ある程度の期間にわたって使用されることも考えられだろう。阪急三宮ビルが仮設からビル再建まで25年を要したことを考えると、新三ノ宮駅ビルが実現するのは、神戸市の三宮構想が言うように、30年以上先なのかもしれない。そうなれば、神戸は都心の中心地の中核施設を欠いたまま、長期にわたって都市間競争を戦わなければならない。だとすると、神戸の一層の地盤沈下は避けられないだろう。やはり、神戸市は時間をかけすぎたのだ。