昼間人口に見る都市の姿(1)

  常住地による人口を「夜間人口」といい、従業地・通学地による人口を「昼間人口」という。したがって、「昼間」人口には、「夜間」に勤務・通学する人が含まれる。また、買物客などの非定常的な移動は含まれない。

 

 昼間人口は次の数式で表される。

  昼間人口 = 夜間人口 + 流入人口 ー 流出人口

 

統計局ホームページ/従業地・通学地に関する用語

 

 夜間人口を分母とした場合の昼間人口との比率を昼夜間人口比率と呼び、昼間人口と夜間人口の関係を表す指標として使われる。

 

 その定義より、昼間人口は、市外からの通勤や通学が増えると増加することになり、一般に、その都市の都市圏の大きさを表すものであり、言わば「都市の吸引力」、都市の実力を表す一つの指標として利用される。

 平成27年度の国勢調査における、昼間人口の主要都市のランキングは次の通りである。

 

(平成27年国勢調査 常住人口・昼間人口)

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 神戸市は、この調査時点では、人口で6位、昼間人口で7位である。

 注目すべきは、昼間人口のランキングを見ると、都市の人口ランキングとは必ずしも一致しないことだ。例えば、現在の人口ランキングは、横浜市が1位であるが、昼間人口では大阪市が1位である。また、人口8位の京都市が昼間人口では6位である。昼夜間比率を見ると、大阪市は1.317、京都市は1.090と、両市は見かけ以上の都市の実力があるということになるだろう。一方、人口が300万人を超え、人口では1位の横浜市は、昼夜間比率は0.917と、値が1を割り込み、東京のベッドタウン的要素があるということがわかる。しかしながら、昼間人口は341万人と神戸市の2倍をはるかに超える数字であるから、巨大な集積を誇る大都市であることには違いない。昼夜間人口比率が1を下回る都市には、川崎市0.883、さいたま市0.930、千葉市0.979と、首都圏の都市が並ぶ。これは、首都圏の中でも、東京都に首都機能が集中していることによるものと考えられる。

 神戸市も大阪市ベッドタウン的要素があると言われるが、昼夜間人口比率は1.022と、1を超え、周囲から人口を吸引し、一定の都市圏を形成している都市としての性格がある。

 福岡市は、この調査時点で、人口が神戸市をわずかに上回っているだけだが、昼間人口では13万人以上も上回っており、この昼間人口の差から見ても、都市の実力では神戸市をはるかに上回っていると言わざるをえない。

 川崎市は、この調査時点では人口が神戸市より約6万人少ないが、今年になって神戸市を上回ることになった。しかし、昼間人口で見れば神戸市より約27万人少なく、昼夜間比率も0.883と大幅な流出超過となっている。川崎市は東京のベッドタウンとして人口が急拡大をしているのではないかということをうかがわせる。