人の流れと都心のにぎわい(3)

 交通機関は、一般に、目的地と目的地を直線的に結ぶものだが、そういった移動はもちろん重要ではあるけれど、観光という点では循環型の交通手段というものも有用だろう。特に、市内の回遊性を高めるという方針の下では、効率よく観光地を巡る手段を設けることは重要である。

 こうした交通機関として、ハワイのホノルルの例を挙げることができる。ハワイには鉄道がないが、空港からバスで市街地に入ってしまうと、トロリーという循環バスが頻繁に走っており、市内の観光地、ショッピングセンター等には、たいがいこれに乗ればどこでも自由に行き来できる。旅行社ごとに専用のトロリーがあり、ツアーを申し込むと、その期間内は自由に乗り降りができる。循環経路に沿って大規模なホテルが連なっており、ホテルの利用客が市内の観光に利用する形だ。循環経路も複数あり、主要なショッピングセンター等のバス停で乗り継ぎすることもできる。運行時間は、朝から夜22時ころまで、10分足らずで次々にやってきて、とても便利である。

 ハワイはリゾート観光地であるが、きわめて合理的で機能的な交通機関が整備されている。

 神戸の市街地にも、こういった循環バスを走らせると、神戸の観光地としての利便性が高まると考えられる。

 神戸市にはシティーループがあり、これがハワイのトロリーに近い。ただし、もう少し工夫の余地があるかもしれない。

(1)本数を十分に確保すること

(2)運行時間を延ばすこと

(3)ホテル、ショッピングセンターとの接続をよくすること

 現在、神戸市はLRTやBRTなどの運行を計画しているようだが、運行頻度は交通機関の利便性を決する重要な要素である。いたずらに交通手段を分散させずに、現在のシティループの交通機関としての利便性の充実を考えるべきだ。