神戸市の移住促進政策について

 居住地というものは、どのように決まるのだろうか。居住地の選択については、次のような傾向があると考えられる。

 まず、大前提として、人は住みたいところに住めるわけではない。住みたいところと住めるところは異なることは珍しいことではない。人は生きるためには職の確保が必要だ。職のあるところと住むところは強い相関関係がある。なぜならば、毎日、通勤することを考えれば、あまり職場と遠いところに住むことは不経済だからだ。また、他の地方の住人が、神戸で暮らしたいと思っても、現在の職をなげうって転居することはなかなかできるものではない。したがって、居住地は職に縛られることが多い。

 また、高級住宅地にあこがれていても、経済力が伴わなければ、そこに住むことはできない。自らの財布と相談の上、住居を選択せざるを得ないのだ。

 神戸市の社会増減の不振(転出>転入)は、住宅の供給側よりも、需要側の問題であることは間違いない。

 

 神戸市は、神戸市への転入者の確保を目的として移住ポータルサイトを公開している。

 神戸市外在住で、神戸の暮らしに興味を持っている人や、具体的に移住(転職・転居等)を考えている人に対し、神戸の魅力や優位性を発信するとともに、神戸での生活を考える際に必要な情報を一体的かつ分かりやすく提供するウェブサイトを開設しました。

(神戸市HP)

神戸市公式移住ポータルサイト KOBE address

 神戸市のこうした努力は功を奏するだろうか。住居の選択は、その人が有する物理的制約の下に選択されるもので、とりわけ自分の財産をかけて決断をするものだから、人生の中で相当重大な決断の一つだ。したがって、人から言われずとも情報収集は相当に行っているだろう。その真剣な営みの中で、行政がイメージで作った広報がどれだけの影響を与えうるだろうか。実際に何人の人が、この施策により神戸市に移住したのだろうか。その実績を公表してほしいものだ。