関西3空港強化へ議論再開 万博見据え今春にも 関経連の松本会長

 関西経済連合会の松本正義会長はインタビューに応じ、関西国際、大阪国際(伊丹)、神戸各空港の役割分担や機能強化を検討する「関西3空港懇談会」を今春にも再開する考えを明らかにした。座長を務める松本氏は、2025年の大阪・関西万博を見据え「今から(議論を)やらないと間に合わない」と強調した。(中略) 
 松本氏は「3空港一体となって関西の(部品製造などを含めた)航空産業を発展させたい」と意欲を示した。
 (時事通信 2020/1/1)

 

 3空港懇談会の座長を務める関経連の松本会長が、同懇談会を今春にも再開する意向を時事通信のインタビューで明らかにした。大阪府・市がカジノを含む統合型リゾート(IR)施設の誘致を目指していることも踏まえ、関空の発着回数引き上げや神戸空港の国際化などが今後の議題となる見通しとのことだ。

 神戸空港は、大阪が進めている統合型リゾート誘致の「前提条件」になっているので、早急に国際化を進めなければならないという背景があるものと考えられる。また、関西圏の新産業として航空産業の発展も意図しているようだ。

 今後、神戸空港の活用は、急速に進んでいくことになるだろう。

 関西圏は、関西国際空港の活況の報道とは裏腹に長期低迷、相対的地位の低下が続いている。実際に、関西国際空港が開港した1994年から2018年の25年間の人口を比較すると、次のとおりである。

大阪府  875万人 →  881万人 倍率1.006

東京都 1179万人 → 1382万人 倍率1.172

愛知県  683万人 →  753万人 倍率1.102

 

 この結果を見れば、関西圏の低迷、地盤沈下は明らかだ。

 長期低迷が続いている背景には、神戸空港の運用を制限してきた航空政策が影響していないのだろうか。

 関西空港は二つの側面を持っている。一つは関西圏南部の航空拠点であると同時に、関西圏北部の航空機能を制約する存在である。関西空港は、関西圏の航空需要の独占をもくろみ、関西圏北部に利便性の高い神戸空港の利用を制限してきた。もしも、神戸空港を自由に運用させれば、関西圏北部の交通利便性は大いに高まるだろう。これを逆に言うと、本来得られるであろう関西圏の交通利便性を制約していることにもなる。

  在阪マスコミは、関西空港の活況のみを伝えるが、関西空港がもたらしたものはどうだったのだろうか。確かに関西空港はLCCで活況であるが、空港の機能は観光だけではない。他の経済活動に対しては十分な効果をもたらしているのだろうか。光の面ばかりではなく、関西空港がもたらしている負の影響も実は大きいのではないだろうか。全国的な視点から見れば、関西圏のこの25年のパフォーマンスは満足なものとは言えない。関西経済の低迷に、なんらかの負の影響を及ぼしているのではないのだろうか。

 今後、3空港懇談会で神戸空港の規制を一段と緩和し、本来得られるであろう利便性をできるだけ早期に発揮させるべきだ。そして、交通の中心地としての関西圏の地位を高め、関西圏全体が成長軌道に乗るようにしなければならない。