ハブ空港化する神戸空港

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神戸空港 2020年3月29日以後のダイヤ) 

 羽田 19便( 9往復半)

 札幌 13便( 6往復半)

 青森  2便( 1往復) 

 仙台  4便( 2往復)

 茨城  6便( 3往復)

 松本  2便( 1往復)

 出雲  2便( 1往復)

 高知  4便( 2往復)

 長崎  6便( 3往復)

 鹿児島 6便( 3往復)

 沖縄 16便( 8往復)

 全  80便(40往復)

 

 神戸空港の就航地を見ると、11空港と就航地が多数に上ることがわかる。このように多くの就航地を抱える空港というのは、実は国内にある多くの空港の中で、ごくわずかで、札幌、羽田、伊丹、福岡などの「拠点空港」を除けば、たとえば、広島空港の就航地は5空港(札幌、仙台、成田、羽田、沖縄)、岡山空港は3空港(札幌、羽田、沖縄)であるにすぎない。その他の空港も同様で、少数の拠点空港とを結ぶだけの「地方空港」なのだ。

 ここから見えることは、神戸空港のポジションは、単なる地方空港ではなく、大都市圏の巨大な人口を背景とする「拠点空港」だということだ。その姿が次第に見えてきた。今後、神戸空港規制緩和が進んでいくと、フジドリームエアラインズ(FDA)がすでに表明しているように、神戸空港を拠点に地方空港との路線が拡充され、今後、ますます「拠点空港」化が進んでいくことが予想される。

 それは具体的にはどのような姿だろうか。たとえば、先頃、FDAが、神戸=青森線の就航を決めたが、神戸空港青森空港にとって国内最西端の就航地となる。とすると、神戸空港より西の諸都市は、青森への直行便を利用しようとすると、最寄りの神戸空港を利用することになるだろう。また、逆に青森から西日本の諸都市を訪れようとする場合は、神戸空港まで空路で向かいそこから目的地に移動することになるだろう。

 今後、青森空港に続いて、花巻、山形、新潟などの諸都市と神戸空港との路線が開設されると予想されるが、いずれの場合も同様の状況が生じるはずだ。つまり、中国四国地方、場合によっては九州地方は神戸空港の「後背地」になるということなのだ。

 西日本の諸都市から神戸空港までの移動、神戸空港から西日本の諸都市までの移動は、新幹線や高速バスが移動手段になると考えられる。神戸空港は国内で新幹線駅に最も近接する空港の一つであり、短時間でのアクセスが可能だ。しかも新神戸駅は、東海道・山陽新幹線九州新幹線の全列車が停車するというきわめて高い利便性を有する駅だ。また、三宮には西日本最大級のバスターミナルが建設される。

 つまり、神戸空港は西日本の拠点空港となり、西日本の各地から鉄道や高速バスで乗客を集め、また、到着した乗客を西日本各地へ送り込む役割を果たすことになる。

 一般にハブ空港といわれるものは、航空機と航空機の乗り継ぎを行う空港をいうが、神戸空港をハブだとするとスポークは鉄道網と高速バス路線である。神戸空港は、鉄道と高速バス路線をスポークとするハブ空港となるのだ。この姿が次第に明らかになってきた、鉄道連携ハブ空港ともいうべき神戸空港の姿だ。

 関西空港は新幹線(新大阪駅)に接続するのに1時間以上を要する。神戸空港であれば約20分である。こうした基礎条件の違いから、FDAは関西空港ではなく敢えて神戸空港を拠点に選んだのだと考えられる。これまでも、スカイマークの佐山会長が「運用時間がもし24時間に伸びれば、関西の窓口は神戸になる」というのも、そういう意味だと考えられる。だから、神戸空港新神戸駅のアクセス強化を主張しているのだと思われる。

 今後、神戸空港は、規制緩和に従い新路線を拡充し、便数を増加させていくだろう。そうすると、今度は航空機同士の乗り継ぎも生じるようになるだろう。さらには、その利便性を求めて国際線も乗り入れを希望するようになるだろう。今後、神戸空港の利用は飛躍的に進んでいくと予想する。

  この事態は全く予想されていなかったことなのだろうか。実は、これは、その昔、1970年頃に神戸沖に関西国際空港の建設を計画したときに描かれていた姿だ。しかし、その計画はねじ曲げられてしまったのだ。

 しかし、一時的な攪乱要因があったとしても、合理性というものは決して見失われることはなく、長期の視点で眺めるならば、水が低きに流れるように貫徹され、姿を現すということだ。