神戸港とシンガポール

 

 

 1980年頃までは、神戸港は、香港、釜山、シンガポールを凌ぐ世界有数のコンテナ港であった。その後、神戸港が足踏みをする中、これらの諸港は急激に成長し、現在ではシンガポールの取扱量は神戸港の10倍以上となっている。神戸港を尻目にアジアの諸港は急激に伸長したのだが、日本全体の取扱量は、これらの諸港と同様のトレンドで拡大をしていたことは注目される。つまり、日本でもコンテナ取扱量は拡大していたが、集中投資が行われず逆に分散化を進めるような方向で国内の公共投資が行われ、ハブ機能を海外の港湾に頼るようになったことが神戸港凋落の大きな原因と考えられる。

http://www3.boj.or.jp/kobe/kouhyou/report/report131120.pdf

 

 神戸の将来像の議論で感じることは、いつも、異人館や異国情緒等の神戸らしさを活かした街づくりという主張があるのだが、これは当然のことで、そこから先どうするのかということを考えないと、結局、現状維持という結論を導くだけではないのかと思う。現状に止まることは後退を意味する。結果的に、周囲に埋没し、都市として存在意義を失っていくことになるのではないかと思う。