新型コロナウイルス禍の下での関西3空港の状況

 猛威を振るう新型コロナウイルス感染症拡大の影響を最も強く受けている産業の一つが航空産業である。関西、伊丹、神戸の3空港の航空旅客数の推移を見てみよう。

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(出典:関西エアポートのプレス資料から作成)

 

 新型コロナウイルスの影響が生じる前の2020年1月から、6月までの各空港の航空旅客数の推移を示したものである。

 各空港の1月と6月を比較してみた。( )は、1月に対する6月の旅客数の割合をパーセントで表したものである。

           1月      6月

 関西空港(国際線) 205万人 →  0.6万人( 0.3%)

 関西空港(国内線)  55万人 →  7.4万人(13.4%)

 伊丹空港(国内線) 129万人 → 31.7万人(24.6%)

 神戸空港(国内線)  28万人 →  5.2万人(18.6%)

 

 これを見ると、一番落ち込みが大きいのは、関西空港(国際線)で、1月の旅客数のわずか0.3%となり、まさに壊滅状態である。国内線を見ると、最も値が高いのが伊丹空港で24.6%、次が神戸空港で18.6%、関西空港は13.4%となっている。国内線も航空需要が激減したため、もっとも利用が多いと考えられる伊丹空港の便だけを残して、その他は減便されたということだろう。ここでも、関西空港が最も落ち込みが大きい。関西空港は元々後背地の需要が少なく、柱の国際線が事実上停止してしまったので、国内線の落ち込みも大きくなったものと考えられる。

 1月時点で、関西空港神戸空港の比率は、神戸空港を1とすると関西空港(国内線)は1.96であったが、6月時点では、その値は1.42にまで下がり、実数でも、その差はわずか2.1万人である。

 以上のとおり、関西圏においても航空業界の影響は甚大だ。今後の見通しとしては、国際線については、海外で感染者が爆発的に拡大している状況の下では、旧来の水準に戻るのはかなり長期の時間を要するだろう。国内線については、国際線ほどの困難さはないと思われるが、需要の回復は国内での感染の拡大状況に大きく左右されることは当然だ。この事態が長期に及ぶことになれば、業界の存続にも大きな影響を及ぼしかねない。仮に航空業界の一角に万一のことが起きれば、その影響は航空業界だけでは済まないだろう。航空業界の動向に政府は十分に注意を払い、適時に必要な支援を行うべきだ。