関西エアポートが10月の関西3空港の運航状況を発表した。
これによると、国内線の旅客数は、ほぼ半分程度にまで回復している。3空港の中では伊丹空港が一番順調に回復していて、関西空港と神戸空港の回復は緩やかである。
旅客数 国内線発着回数
伊丹空港 △43% △34%
関西空港 △51% △37%
神戸空港 △49% △24%
国際線については、今なお運航停止と言ってよいような状況が続いている。
新型コロナウイルスの影響で国際線の利用者の回復がすぐには見込めない中、全日空は、羽田、成田、関西、中部の4つの空港で減便や休止している国際線を今後、需要が回復して再開する場合は羽田空港を優先させる方針を固めました。需要が回復するまでの間、羽田空港に集約することで、コストの削減を図る考えで、すでに関係機関との調整や航空機の売却を始めています。
(NHK NEWSWEB 2020/10/21)
全日空は、国際線の利用者の回復がすぐには見込めないことから、国際線を今後、需要が回復して再開する場合は羽田空港を優先させる方針を固めたと報じられている。これは国際線の話だが、国内線でも同様のことはあるだろう。関西3空港で考えると、伊丹空港へのシフトが顕著になるのではないだろうか。上記の3空港の旅客数の実績で伊丹空港の減少率が小さいのは、この事情が数字に表れているのではないだろうか。神戸空港でも同様の状況は生じるはずだが、神戸空港はスカイマークが拠点を置いており、その点では幸いである。スカイマークは国内線中心であり、国際線のウエイトが高いANAやJALよりは早期の回復が見込めるだろう。
スカイマーク(SKY)は12日、12月1日~来年1月12日の運航ダイヤを発表した。神戸空港発着便は、12月1日に長崎線1便を運休する以外は通常運航(1日46便)に戻す。国の観光支援事業「Go To トラベル」の効果などで需要が回復傾向で、年末年始の帰省にも対応する。
神戸発着便がほぼ通常運航に戻るのは約9カ月ぶり。(以下略)
(神戸新聞 2020/11/12)
新型コロナウイルス禍は、関西3空港の中では関西空港に最も大きな影響を及ぼすと予想される。しかし、神戸空港の規制緩和ということを考えると、関西空港が回復しない限り神戸空港の規制緩和に対する反対がやまないだろうから、神戸空港の国際化も先送りになるのではないかと予想する。
そんな中で、11月28日に関西3空港懇談会が開催された。
関西、大阪(伊丹)、神戸の3空港の役割を官民で話し合う「関西3空港懇談会」が28日、大阪市内で開かれた。新型コロナウイルス感染収束後の需要回復をにらみ、関西空港の就業者1万7千人の雇用を維持する必要性を確認。課題とする関西空港の発着枠拡大と、神戸空港の国際化は検討を継続することを申し合わせた。
2025年大阪・関西万博に向け、新型コロナの水際対策や関西空港第1ターミナル改修を進めることも確認。財政支援などを求める国への要望書も決議した。
(共同通信 2020/11/28)
現在のような状況下では、空港の規制緩和などの新たな枠組みを議論することは困難であろう。そのような中で開かれた関西3空港懇談会であるが、おそらくは主たる目的は、関西国際空港への国の財政支援を求めることにあったのだろう。その開催の体裁として、神戸空港の国際化の検討の継続が確認されたということだと推測する。