神戸市 震災復旧債完済へ

 阪神・淡路大震災がれき処理など「復旧」のために神戸市が発行した市債2788億円が3月に完済される見通しとなった。一方、再開発などの「復興」や避難所運営など「生活支援」で発行した市債は1526億円残る。兵庫県の震災関連の県債の残高は3615億円にも上り、いずれも完済にはまだ10年以上かかる見通しだ。震災から25年となるが、自治体財政に爪痕は残っている。

 これまで神戸市や県は震災の復旧や復興のため、多額の借金を背負って財政が悪化して財政再建に取り組んできたが、市の復旧事業では一区切りとなる。

朝日新聞2020/1/17)

 

 新聞の報道によると、神戸市は、がれき処理や道路の補修などの「災害復旧事業費」として市債2788億円を発行したが、今年度末で完済するとのことだ。

 またこれとは別に、再開発などの復興対策や避難所運営などの生活支援のため(「復興対策費」)、市は計1兆565億円の市債を発行し、残高は18年度末現在で計1526億円という。

 災害復旧事業費と復興対策費のための市債の合計は、1兆3353億円となる。これを、18年度末に1528億円まで減らしたということだ。つまり、1兆1825億円もの借金を返済したということだ。借金の返済は、市の財源を充てるしかない。ということは、返済した1兆1825億円は、本来ならば、他の事業に使えたはずのお金を使わず、返済に充てたということだ。

  実際、新聞の記事によると、市は借金返済対策のため、一般会計で公共事業など投資的経費について、06年度は約590億円と1994年度の4分の1にまで減らしたとしている。

 これだけの金額を返済し続けていれば、経済に相当の下押し圧力がかかったことは想像に難くない。むしろ、経済に対してこれだけの逆噴射をしながら、よくここまで経済を維持したものだとも思う。ある意味、この大逆風に耐えたのは、神戸経済の底力と言ってもよいだろう。この間、神戸市は、福岡市や川崎市に人口を追い抜かれたが、これを見ると全くやむをえないことだったと思わざるを得ない。

 同記事は、「これまで神戸市や県は震災の復旧や復興のため、多額の借金を背負って財政が悪化して財政再建に取り組んできたが、市の復旧事業では一区切りとなる。」と伝えている。

 神戸市は、今後、これらの借金の重荷から解放されることになる。足かせをつけて競争する状態から解き放たれる。逆噴射を止めて、正常にエンジンを吹かして飛行することができる日がやってきたのだ。神戸市民が再び力を合わせて、大阪や京都に負けない、すばらしい神戸のまちの建設に力を尽くしたいものだ。