ユニバーサルスタジオジャパンについて

 東京ディズニーリゾート(TDR)と並ぶ我が国の2大テーマパークともいうべきユニバーサルスタジオジャパン(USJ)が大阪市にあるが、2001年3月にオープンしてから今年で20年目になる。運営は合同会社ユー・エス・ジェイであるが、当初は大阪市筆頭株主として出資していたが、2005年に手を引き、現在は民間資本となっている。

(USJ入場者数の推移)

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 入園者数は、開園初年度の2001年には1100万人を超えたものの、2年目には700万人台に失速、その後800万人台で推移していたが、2011年度から増勢に転じた。2017年度からは入場者数が非公表となっているが、おそらく1500万人程度の入場者数になっていると思われる。

 

 開園当初は、ハリウッド映画のテーマパークとして開園したが、施設の一体感もなく、映像施設、ライドが集合した巨大な遊園地という風情であった。その後、次第にエンターテイメント的要素を強めてきたが、それでもなおTDRには遠く及ばずその劣化版のようであった。しかし、次第に洗練の度を深め、独自性を模索し、徐々に入園者数が回復してきた。そして、2014年7月の、ハリーポッターをテーマにしたエリア、「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」のオープンにより人気が沸騰することになった。

 USJには、TDRのような強力なキャラクターがなく、ウッドペッカーから、セサミストリート、ピーナッツ、ハローキティ妖怪ウォッチなど、なんでもありの感を呈していたが、2014年のハリーポッターや2017年のミニオンズの導入により、キャラクター面での柱が確立し、テーマパークとして安定感を持つようになってきた。

 TDRが、あくまでもディズニーアニメのファンタジーの世界の追求であるのに対して、USJは実写映画を基本として架空の世界の現実性を追求するところに特徴があるといえよう。前者がディズニーアニメの枠組みを逸脱することができないため表現に一定の制限が課せられるのに対して、後者はこうした縛りがなく、その場その場で自由にテーマを与えることができる。アニメから、スペクタクル、ホラー、SF、ファンタジーまで非常に幅が広く、なんでも受容できてしまうところが強みだ。それを最新の技術によって提供する。まさに「世界最高を、お届けしたい。」である。その最大の成功例が、ハリーポッターエリアである。実際に現地を歩いてみると、映画の舞台が忠実に再現され、映画の中に入り込んだかのような感覚に陥る。これは、ファンタジーを基調とするTDRにはなかったもので、この点においては、USJはTDRを凌駕することに成功している。

 そのほか、屋外での夜間のショーではプロジェクションマッピングを導入し、大規模な映像と演技が融合し、その壮大さと美しさは息をのむばかりだ。また、夜間のパレードは、以前はTDRのエレクトリカルパレード劣化コピーのようであったが、最近ではハリーポッタージュラシックパークトランスフォーマーなどのコンテンツを実物大で再現し、映画の世界が目の前で繰り広げられ、その迫力には圧倒される。

 TDRも、こうしたUSJの動向に対して一定の注意を払っており、近年のTDRにおけるスターウォーズなど実写映画のコンテンツの導入や新エリアの開発などは、そうした背景によるものであろう。

 

 USJは、最初から、このように素晴らしいものであったわけではなく長らくの試行錯誤の期間があったように思う。しかし、10年、20年と継続する中で、ノウハウを蓄積し、改良を重ね、現在の隆盛を迎えることになった。

  USJを見て感じることは、人間の想像力の素晴らしさである。ここで繰り広げられているものは、すべて人間の想像の産物である。誰かが本を書き、それに形を与え、映像化する。そこに、美術、音楽、衣装、技術など、様々な才能が結集され、生まれるのが映画であり、それに現実の舞台を与えることがUSJの役割なのだ。それによって、特定の場所が与えられ、そこに人々が集まり、映像の世界を体感することができるようになった。映像だけでは十分に理解ができなかったものが、体感される。

 そこに場所が与えられることにより、それを支える人々がその地に結集することになる。それを核として物販や飲食など一大産業が形成される。そして、そのノウハウや技術がさらに蓄積されていく循環が生じる。テーマパークが存続する限り、新たなエンターテイメントを生み出し続けるだろう。