知事定例記者会見(2020年1月7日) 今春予定の3空港懇談会について

 1月9日の兵庫県知事の定例記者会見において、記者から今春に開催される3空港懇談会について、県知事としてどのような姿勢で臨むかという質問があった。

兵庫県/知事定例記者会見(2020年1月7日(火曜日))

 

 井戸知事は、記者の質問に対して、神戸空港について、前回の懇談会で増枠された便数は、すでに、ほとんど使い切ってしまう見込みのため、さらなる増便枠の確保と運用時間の弾力化を進める必要があるとの考えを示した。

 また、国際便の就航については、今年開催されるオリンピック・パラリンピックに合わせて、神戸空港などの臨時便活用といったことも検討対象になりうると述べた。長期的には、関空が23万回の離発着回数を30万回に増やしたいという動きがあり、それと同時に、神戸空港の離発着回数や国際化についても積極的な検討が必要になるのではないかと述べた。

 

 さらに、記者から、関経連の松本会長が、神戸空港の国際化に向けて、まずは地元で空港設備とアクセスの充実への取り組みが必要と指摘していることについて、兵庫県として神戸市と一緒に取り組む考えがあるかという質問があった。

 それに対して、井戸知事は、現時点では、そういった考えはないとして、まずは、神戸市が主体的に考えるべきことであり、関西エアポートと神戸市でどのような展開が望ましいのか、スケジュールとゴールを明確にして行くことが必要であると述べた。

 

 井戸知事の言い分はもっともである。

 前回の3空港懇談会の「とりまとめ」の中で、「国内線発着枠、運用時間を段階的に拡大することとし、必要な措置について、国への理解・協力を求めていく。また、課題となっている空港アクセスの強化について検討する。」と明記されている。一見、神戸空港規制緩和をうたっているようだが、見ようによっては、この条件がクリアされない限り、神戸側の努力不足を理由に要望を拒否する、体のよい神戸空港封じ込めの口実にもなりかねないものだ。

 関西空港の離発着回数を年間23万回から30万回へ3割も増大させようという動きが進んでいる。関西空港側は、関空独占の姿勢を崩していない。さらには、関西エアポートが2030年をめどに、誘導路の増設と第2ターミナルを大幅に拡張する方向で検討に入ったとの報道もある。これが実現すると、関西空港の旅客の受け入れ能力は、現在の2倍以上の年間8000万人規模になるという。(日本経済新聞2019/12/5)

 ここでまた遅れをとると、神戸の劣勢がますます固定化してしまうおそれがある。だから、神戸空港アクセスを早期に検討すべきだ。神戸市は、日々の対症療法を細々考えるのではなく、できるかぎり早期に、神戸空港の将来像を提示すべきだ。

 神戸市は、これらの「宿題」に対して、なんらかの取り組みを進めているのだろうか。先日のアクセス改善については、ピーク時のバス便の増便(1時間で6本)を提示しただけで、抜本的な対策とは言いがたい。空港ターミナルの拡張についてはその後の情報もない。

 昨年7月14日掲載の神戸新聞でのインタビューでは、松本会長は「 アクセスであるポートライナーの混雑が心配されるが、インバウンドに不快感を与えてはならない。」と述べているので、空港利用客のバス便への誘導は、同会長が述べている趣旨とは異なるのではないだろうか。