都道府県人口 100年間の推移

 1920年から2018年までの約100年間の都道府県の人口の推移をグラフにしてみた。代表的な都道府県として、東京都、愛知県、大阪府兵庫県、福岡県の5つと、比較のために新潟県の6つを選んだ。

都道府県人口の推移 1920~2018)

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 概観すると、この100年間で、東京都が一番、大阪府が2番、愛知県、兵庫県、福岡県が3番グループといったところだ。戦後(1946年~)はこの3番手の伸び率が分かれ、愛知県、兵庫県、福岡県の順に伸び率が大きくなっている。新潟県は、戦前、戦後を通じて、伸びは見られず、長期の低迷が続いている。

 東京と大阪を比較すると、東京はこの期間では常に大阪を上回っている。両者の人口はほぼ同様の形状のカーブを描いて推移していたが、1990年代の後半以降、大阪がほぼ伸びがないのに対して、東京はさらに成長を続けており、この期間で東京の人口は200万人も増えている。また、愛知は、大阪が停滞する中でも着実に成長を続け、兵庫県を大きく引き離し、大阪に迫る勢いである。大阪は東京に次ぐ都市圏であったが、相対的な地位が低下しているということができる。関西国際空港が開港したのが1994年であるから、関西国際空港が関西経済に及ぼした影響については検証が必要だろう。

  この期間で、大きく人口が減少している部分がいくつかある。一つは1945年で、東京、大阪が著しく人口が減少し、愛知、兵庫、福岡も大きく減少し、各県の人口が一定の水準に収斂している。これは、戦災により、日本の大都市が完全に破壊されつくされたことを表している。また、1923年に東京都の人口が減少しているのが読み取れる。これは同年に発生した関東大震災の影響と考えられる。同様に、兵庫県が1995年に人口減少が見られるが、これは阪神淡路大震災の影響である。関東大震災阪神淡路大震災はいずれも甚大な被害をもたらした自然災害であったが、このように見ると、戦争の被害の巨大さの比ではない。自然災害は大きな被害をもたらすものの、人口の推移を変えてしまうほどの力はないといえそうだ。人間が生み出す破壊力の大きさは、もはや自然災害以上の脅威なのだ。