大阪梅田に負けない三宮

 井戸兵庫県知事が10月15日の定例記者会見において、兵庫経済の商業の停滞に対して、今後、商業をどのように底上げしていくのかという記者の質問に対して次のように語った。

 街の魅力を高めなければだめですね。三宮で言えば、ポートピア博覧会以来投資がされていなかったため、(大阪より)一周遅れ、二周遅れになるのは当たり前です。その間に阪神・淡路大震災があって25年間は街の復旧・復興で街の改良に手が回っていなかったので、これから勝負ということではないかと思います。だから、これからしっかりと街づくりに力を置いて、そして、大阪梅田に負けない三宮にしていかなければならないと思います。(2019年10月15日 兵庫県知事会見)

 井戸知事は「大阪梅田に負けない三宮」という目標を提示しているが、非常に簡潔でわかりやすいメッセージだと思う。

 現在、神戸市のまちづくりを担っているのは久元市長であるが、就任から6年も経つのに、いまだに神戸のまちをどのようにしたいのか、さっぱりわからない。「大阪と同じようなまちになっても仕方ない」と言いつつ、では、どのようなまちを目指しているのか、具体的な方向性が示せていない。大阪と競争しても勝ち目がないと思うのか、正面から競争するのではなく、最初から第三の道を模索しようとして迷路にはまっているような印象だ。これでは、神戸市民の力を結集しようがないし、神戸市民もとまどうばかりだ。

 しかし、どのように言おうとも、一般の都市の評価は、最終的には、夜間人口や昼間人口の多寡で、いかにその街にたくさんの人を集中させるかにかかってくる。久元市長も、そのことはよくわかっていて、街ににぎわいをもたらすことを目標として、車を排除し、ゆったりとした人間サイズの街を目指すという政策をとろうとしている。つまり、ゆったりとした街の魅力で全国から神戸に人が押しかけることを期待しているのだ。これが久元市政のわかりにくさの原因の一つである。

 井戸知事は「大阪梅田に負けない三宮」という目標を掲げたが、こうしたわかりやすく力強いメッセージとリーダーシップを神戸市長に期待する神戸市民は多いのではないだろうか。