三宮と梅田の比較

 梅田に行くと、巨大なビルが林立し、三宮の規模と比べるとその差に圧倒されてしまう。おまけに梅田北地区にはまだまだ広大な土地が残されており、これでは神戸はとても太刀打ちできないと感じてしまう。

 三宮と梅田の地図を同じ縮尺にして並列し、比較してみた。

f:id:firemountain:20220108205500j:plain

f:id:firemountain:20220108205919j:plain

f:id:firemountain:20220108205936j:plain

 

 両地区を同一の縮尺で並べてみると、その地区全体の広さは、それほど違いがあるようには見えない。街区の区割りにしても、両者でそれほど広さに違いはないように思われる。違いは1街区あたりのビルの数であろうか。三宮は街区が細分化されているのに対して、梅田は1街区に概ね1ビルと、土地の集約化が進んでいる。

 梅田北の広大な土地にしても、神戸には、みなとの森公園や新港地区が周辺に存在しており、開発余地でも決して見劣りはしない。むしろ、神戸の方が広いくらいだ。

 

 そこで、神戸が進むべき方向性を考えてみよう。

 狭小な敷地のビルについて、土地の集約化を図り、ビルの大型化を目指すべきだろう。それは、1フロアあたりの面積の拡大によってビルの機能性の向上、高規格化につながり、都市の景観向上にも役立つはずだ。そして、それらのビルに大型のテナントを誘致し、企業の中枢機能を集め、都市全体の機能性の向上、都市のグレードの向上を目指すべきだ。大型のテナントを誘致しようにも、それを受け入れる器がなければ話にならない。だから、ビルの大型化、そのための大きな敷地が必要だ。

 現在、三宮東地区では、再開発ビルの再編成により西日本最大級のバスターミナルの建設を進めている。これを嚆矢として、同様にビルの集約化を計画的に進めていくべきだろう。さらに、三宮センター街でも、再開発ビルの再整備の動きがあるという。

 兵庫県内最大規模の商店街「三宮センター街」(神戸市中央区)にある商業施設の所有者らが、ビルの建て替えを含めた再整備を検討していることが2日、分かった。阪神・淡路大震災後では初。神戸市が再整備の具体化を支援し、2~3年で基本構想の策定を目指す。三宮では駅周辺やウオーターフロントの再整備が本格化しており、施設の老朽化が進むセンター街でも機運が高まりそうだ。

神戸新聞 2022/01/03)

 

 そのためには、まず、大きなビジョンを描くべきだ。神戸という都市の本来の立ち位置を再確認しよう。その際、「小さくともきらりと光る地方都市」という自画像を修正すべきだ。かつての五大都市で、戦前には日本第3の都市にまで発展した歴史を思いだそう。現在の神戸に欠けているものは、都市の将来像、ビジョンだ。東京や大阪、地方のブロック中心都市にはかなわないと勝手に思い込んで、その競争の場に立たず、脇道に潜り込もうとする姿勢を改めるべきだ。そのビジョンを示すのは市長の責任だ。