大型アリーナの建設について(2019.9.24 兵庫県知事会見)

 

 井戸兵庫県知事が9月24日の定例会見で、大阪府の吉村洋文知事が万博公園に大規模アリーナの建設を目指すと述べたことについて、神戸ワールド記念ホールへの影響をどのように考えるかとの記者の質問に対して次のように答えた。

知事:ワールド記念ホールも、収容人数は1万人くらいです。最近は、15,000人とか20,000人規模のアリーナを中心とした屋内施設に対する期待が大きいです。私は、ワールド記念ホールのようなところでの音楽会は、非常に音響もいいですし、そう逃げていくとは思いません。適正規模のいろんな催しがあり得ると思っています。ただやはり規模でかなわないということになりかねませんので、我々自身も、アリーナについてはしっかり検討していかなくてはいけない課題ではないかと思っています。ただ、例えば神戸市内、明石市、西宮市などを考えてみると、なかなか容易ではないです。土地の確保が難しいと思います。だから、どういうところにどれだけの規模のアリーナ等を検討するのかということは、大きな課題だと、我々自身も受け止めています。
 県庁建替えまではいかなくても、15,000人~20,000人くらいのアリーナを造ろうとすると、400億円~500億円規模になってしまいます。それだけの財政余力もあるのかという問題もありますので、慎重な検討が必要ですが、やはり置いて行かれないような対応も、しっかり検討していかないといけないと思っています。今、あてがあるわけではありません。

兵庫県HP)

  井戸知事は、アリーナについてしっかり検討していかなくてはならない課題であると述べ、土地の確保と財政余力を問題点として挙げた。

 当ブログでは、たびたび神戸都心でのアリーナの建設を主張してきたので、他都市の動きに注意を払い、影響を考慮し、課題に真正面から取り組もうとする知事の姿勢を高く評価したい。

 2~3万規模のアリーナを建設しようとすると、それだけの人数を短時間で集中、散開させるだけの大量交通機関の存在が不可欠だ。その点では、ポートアイランドは現状のポートライナーだけではワールド記念ホール規模が限界であり、それ以上の規模の設置は、新たな交通機関を導入しない限りは不可能だ。また、それだけの規模のコンサートになると全国的なイベントになり、全国からの集客に便利な場所である必要がある。そうした条件を備えるのは、神戸の臨海地帯、みなとのもり公園付近が最適だと考える。みなとのもり公園は、JR、阪神、阪急、市営地下鉄の三宮駅と隣接し、近畿圏各所と高速鉄道で結ばれ、きわめて利便性が高い。また、ポートライナー神戸空港とも直結している。新幹線からも地下鉄で1駅の便利さだ。また、今後、ポートライナー新神戸に延伸すれば、さらに新神戸とのアクセスがよくなるだろう。

 近年の神戸は人口減少に悩まされており、都心部を歩く人も目立って少なくなってきているように感じる。神戸に足りないものは都心の賑わいだ。都心に賑わいをもたらすには、集客施設を設置することが最も直接的な答であるはずだ。しかるに、久元市長は、賑わいの回復のために、ゆったりしたヒューマンサイズの街をつくることだと考えて、車を都心から排除し、歩道を拡幅して歩きやすい街をつくろうとしている。

 いろいろと課題はあるだろうが、ぜひとも神戸の都心に大規模アリーナを建設してほしい。本来、神戸はこうした施設を建設するのにふさわしい基礎条件を持っているのだから。それを活かさず、元来人口が少ない地方のまちづくりの模倣では仕方ない。

 井戸知事のリーダーシップに大いに期待したい。

 ついでに、もう少し欲を言うと、他都市がやるからというのではなく、普段から、都市の可能性をよく把握して、他都市を先取りするぐらいに施策を打ち出していってほしい。

 

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