ポートライナーの混雑緩和対策(その1)

  ポートライナーの混雑率は、ピークの8時台では160%にも及んでいるという。つまり、定員の1.6倍の人が乗っていることになる。おそらく、この他にも、混雑を避けて、タクシーや乗用車、送迎バスを利用している人も多いだろうから、実際にはもっと多くの需要があるのだろう。

  こうした状況に対して、神戸市では、乗客に時差利用の呼びかけをしている。

 神戸新交通株式会社では、朝ラッシュ時間帯の混雑の分散化を図るため、降車されるお客さまが多い市民広場駅において、混雑のピーク時間帯からオフピーク時間帯への利用シフトを促すキャンペーンを実施します。

 ポートライナーの朝ラッシュ時間帯のピークは、市民広場駅では8時10分から8時30分頃となっており、市民広場駅を利用しているお客さまに、利用時間を前倒ししていただくためのキャンペーンを実施します。
 利用時間の前倒しにつきましては、市民広場駅を7時20分から7時50分頃に降車されたお客さまを対象に、改札付近で飲料等を無料で配布します。お客さまに混雑する前のポートライナーを利用していただき、オフピーク乗車を体感していただくよう努めてまいります。
 また、平成31年3月からはポートライナーの混雑状況が一目でわかる「混雑の見える化」について、ポスターやホームページ等でお客さまに周知しております。

(神戸市HP 記者資料提供(平成31年3月27日))

 

 交通機関に課せられている役割は、乗客の需要に応じて、快適に旅客を運送することだ。輸送力にあわせて乗客に使用の自粛を呼びかけるのでは本末転倒だ。一時的な要因で、供給不足が生じているのならともかく、ポートアイランドに企業や学校、その他の施設の定着が進んだから生じている事態だ。

 利用が増加しているのは、本来喜ぶべきことなのだが、それが「問題」としてしか捉えられていないようだ。仮に、これらの努力で、表面上、混雑緩和ができたとしても、それでいいのだろうか。輸送力のボトルネックのために、もっと大きな需要を取りこぼしているおそれはないのだろうか。解決方法は、供給の増加以外にないはずだ。乗客の需要に応えられるだけの十分な輸送力を確保すべきだ。