三宮クロススクエア交通社会実験

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(第二段階 2030年頃)

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(第一段階 2025年頃)

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 本市では、平成27年9月に策定した、三宮周辺地区の『再整備基本構想』において、三宮にある6つの駅と周辺のまちを一体的につなぎ、交通拠点としての機能や回遊性を高める空間「えきまち空間」を整備することとしています。その核となるのが、税関線(フラワーロード)と中央幹線の一部を、人と公共交通優先の空間とする「三宮クロススクエア」であり、快適で利便性が高く、美しい景観が備わり様々な市民活動や交流が展開される神戸の玄関口にふさわしい空間を創出します。この整備については、必要な交通対策を実施し、交通状況を見据えながら段階的に進めていきます。
 このたび、「三宮クロススクエア」の整備に向けた第一歩として、三宮交差点から中央区役所前交差点において、整備の第1段階を再現した10車線(最大)から6車線への交通規制を行う交通社会実験を行います。この社会実験では、規制区間及び周辺の主要交差点において交通量調査等を実施し、自動車交通への影響などについて検証を行ったうえで、設計に反映させていきます。(神戸市記者資料提供 2019年6月13日)

 現状は、東行き3車線、西行き7車線のところを、第一段階として2025年頃に東行き2車線、西行き4車線の6車線に減らし、将来的には、大阪湾岸道路の開通を見込んで、第二段階として東行き1車線、西行き2車線に減らす計画とのことである。

 これについて、どう考えるか。

 現在の三宮交差点は十分な車線数があって、それほど、車両交通が混雑している印象は受けない。したがって、第一段階として車線をいくらか減らしても、目に見えるような影響が生じないように思われる。これは、車線の減少により通過交通が迂回するからということではなく、これまでが十分余裕のある車線数であり、車線数の減少の影響を吸収できるのではないかいうことだ。

 しかし、第2段階として東行き1車線、西行き2車線の3車線、さらにはすべての車線を廃止しようとすると話は別だ。おそらく、市民経済にとって大きな支障が生じるだろう。なぜならば、現在、三宮交差点で発生している交通には都市機能にとって必要なものがあるからだ。

 神戸市は、実現が可能だという理由に、三宮交差点は、通過交通が多いことを挙げているが、この場合の「通過交通」とは何を指しているのだろうか。三宮駅を出発地・目的地としない交通すべてのことだろうか。三宮交差点は、広域からの通過交通というのではなく、域内の様々な方向からの交通を振り分けるジャンクションのような役割を果たしているのではないかと思う。それを無くしてしまうと、都市の機能性を損なうことになるのではないだろうか。

 将来の大阪湾岸道路の開通を見込んでいるというが、大阪湾岸道路は有料道路であって、一般道ではない。また、走行するのは湾岸部からポートアイランドで、中央幹線とは全く異なる性質の交通だ。大阪湾岸道路で代替できるとは考えにくい。

 また、通過交通を除いても、直接に駅やその近辺に車で乗り付けるような需要は必ずあるだろうから、自動車交通をすべて排除してしまうことはできないだろう。

 したがって、この計画を実施するとしても、第一段階が限度であって、第二段階は、実現が困難であり、無理に実現しようとするのは都市の機能にとって有害である。全面的な封鎖は、おそらく実現できないと考える。

 

 この予想が正しいとすると、仮に第一段階が実現するとしても、得られる結果は、車線数の減少、歩道の拡幅というだけの話で、なにか革新的なことが行われるというわけではない。しかし、将来的なクロススクエアのイメージ図を見せると、あたかも画期的な試み、大実験を行っているかのように見える。

  しかし、もし、クロススクエア構想がなかったとすれば、三宮再開発構想は、ほとんどからっぽな内容になってしまうだろう。つまり、三宮クロススクエアは、三宮再開発構想を美しく飾り立てる役割を果たしているのだ。

 三宮クロススクエアが実現するかどうか、その答がでるのは、2030年の話なので、現在、この計画を行っている者はすでにいなくなっているだろう。