関西3空港懇談会とりまとめを読む(その4)

4.各空港の役割

各空港の位置づけと役割は基本的に変更しない。

 関西空港は、西日本を中心とする国際拠点空港、関西圏の国内線の基幹空港。今後は、関西さらには西日本のゲートウェイ空港として、内際ネットワークの一層の充実が重要である。

 伊丹空港は、国内線の基幹空港、環境と調和した都市型空港。

 神戸空港は、神戸市及びその周辺の航空需要に対応する地方空港。今後は、関西全体で一つの空港システムを構築する観点から、需要に応じて、関西空港伊丹空港を補完する機能が求められる。

 

(コメント)

  各空港の役割として、各空港の位置づけと役割は基本的に変更しないと述べている。しかし、位置づけをどのように書こうとも、大切なのは実態である。

 昨年(2018年)の旅客数を見ると、関西空港は国際線2289万人、国内線651万人、伊丹空港は1618万人、神戸空港は318万人であった。国内線の規模は、伊丹空港神戸空港の合計が1936万人に対して関西空港は651万人と、およそ3:1で、周辺人口にほぼ比例した値となる。(1時間以内人口は、伊丹空港 1500万人、神戸空港 1000万人、関西空港 400万人)

 また、国土が狭く、鉄道網が発達している我が国では、おそらく、国際線と国内線の乗り継ぎ需要も少ないのだと考えられる。そうした事情から、関西空港の国内線の需要が限定的であることがわかる。関西空港を「関西圏の国内線の基幹空港」と呼んでみたところで、厳しい運用制限を受けている神戸空港の2倍でしかない。空港の価値は最終的には利用者や航空会社が決めるのだ。

 ここに、各空港の役割をわざわざ書いたのは、今後、神戸空港の利用が拡大することにより、関西空港の地位が相対化していくことに対する関西空港周辺自治体の反発への配慮であると想像する。