神戸港を中心に様々な高速交通網が広がる神戸は、西日本の交通の中心地である。神戸は、幕末に開港地として選ばれ、その後、営々と港を起点とする交通網の建設を続け、それに従って発展してきた都市だ。神戸が果たしてきた役割は、「世界につながる西日本の玄関口」だと思う。今、神戸はその役割に自信を失っているように見える。しかし、地理や交通などの客観的条件は、神戸が再びその地位に返り咲く条件を失っていないと思う。一時的に人為的な要因が作用しても、長期的に見れば合理性は貫徹するものだ。
交通の中心地であるということは、その圏域で人や物が集まるのに最も便利な場所であるということだ。これまでの歴史がそうであったように、神戸の地で、外来の多くの人や物が出会い、そこから新しいものが生まれる、だから神戸は「出会いと始まりの街」なのだ。固有のカラーを強く発揮し、来た者を自分達の色に染め上げるのではなく、日本中、世界中の人や物をなんでも自由に受け入れ、それらが出会い、新しい何かが始まる、神戸はそのような都市だ。開港150年を機会に、先人の偉業、神戸にかけた希望に思いを致すことは重要である。