神戸空港開港10周年にあたり

 神戸空港の開港10周年についての民放各社の報道を視た。いずれも実績が計画にはるかに及ばないとしつつも地方空港第一の旅客数を上げている実績を一定評価し、開港当時のような「ムダな公共事業」との批判は消え、神戸空港に課せられている制約の厳しさについて言及し、「同じ関西圏として盛り上げていきたい」と言及するものまであったことが印象的だった。

 これまで、神戸空港規制緩和について話が及ぶと、必ず神戸市がただ一度反対したことが持ち出されて封殺されてきた。当時は飛行機の性能が悪く騒音問題が深刻であったので、伊丹空港の廃止決議と同様に、その当時の条件では神戸市が反対と判断をしたことも仕方がなかったのだろう。しかし、今は当時と状況が異なる。神戸空港を開港したことには、なんらやましいところはない。

 そもそも、関西国際空港神戸空港は利用者の圏域が異なっている。船舶の港湾ですら神戸港と大阪港にユーザーが分かれて利用をしているのだから、まして速さが勝負の航空機の空港を神戸に設置して悪いわけがない。神戸市が関西国際空港の設置に一度反対したからといって、現在の神戸市民に一体何の関係があるというのだろうか。もっと便利に使えるものを、あえて使わせないことこそムダではないだろうか。神戸空港の利用をかように制限し、神戸市民をはじめとする利用者に不自由を強い続けようとすることに一体何の合理性があるのか。このような理不尽な扱いを受けていることに神戸市民はもっと声を発してもよいと思う。

 関西国際空港は本来、西日本の国際空港であるべきなのに、立地条件が偏るが故に、「関西地方の国際空港」にしかなれていない。神戸空港が自由に活用できるなら、近畿圏だけではなく、中国・四国地方からもアクセスしやすい広域のユーザーのための空港として、全国的な地盤沈下が止まらない近畿圏の競争力強化に寄与できるはずだ。